連載手紙風SS:5通目
『天才なぼくからきみへ100通の手紙』
雲の下で暮らすみんなへ
4月になりましたね。みんな元気ですか。もう桜は咲いている頃かな?
桜といえば、入学式や卒業式。ぼくは学校に行ったことがないけれど、みんなと一緒に暮らした17年の間に、おねえちゃんとおにいちゃんは中学生になり、高校生になり、大学生になり、大人になりましたね。「大きくなったね」「がんばってね」って、親戚のみんなに何度もお祝いされていたことを覚えています。
おねえちゃんとおにいちゃんは、本当に大きくなりました。ぼくの頭を撫でる手は、出会った頃はとても小さかったのに、いつの間にかおとうさんとおかあさんと変わらないぐらいの大きさになっていましたから。びっくりです。ぼくももっと大きくなりたかったな。ぼくは『小型犬』なので、大人になってもみんなの膝の上に乗れるくらいの大きさでした。
……でも膝の上に乗れなかったら、それはそれで寂しいかもしれません。ぼくはみんなの膝の上で寝るのが、大好きだったので。
桜を見るたびに、みんなの笑顔を思い出すよ。
空の上で暮らすぼくより
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