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Photo by
mizunouta
ショートショート:縁の種
人恋しい秋、様々な出会いを記録してくれるアプリ『縁の種』をダウンロードした。中性的な機械音声が読み上げる日々のデータは、自分の行動に対する匿名の声。
「コンビニバイト中。会計した後、買い物袋を受け取りながらお礼を言ってくれて嬉しかった。疲れていたけど元気出た」
「道ですれ違った時、手を振った我が子に手を振り返してくれて良い人だと思った。我が子も嬉しそうにニコニコしていた」
「焼き芋屋さんの声を聞いて探していたら、場所を教えてくれた。そのまま一緒に買いに行って、食べたらいつもよりおいしかった」
縁の種ということは、この中にまた巡り合う相手がいるかもしれない。
しかし目当ての相手には、なかなか再会することができずにいた。
「……焼き芋屋さん、声が聞こえたらすぐ外に出るようにしてるのにな」
焼き芋屋が街を巡る季節の間に再び出会えなければ、春になっても縁の種が芽吹くことはないだろう。
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去年の秋書いたものです。
※みんなのフォトギャラリーから素敵な写真をお借りしました。ありがとうございます。
※また、ショートショートガーデンにも同じ名義で同じ作品を載せています。
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