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洗面所

家内と結婚をするときに、ひとつ、約束をしたことがある。それは、水回りの掃除は、私の役目だということである。

家内は、厳密に、ではなくて、軽く、そんな話をしたかなあ、くらいの記憶しかないので、そんなに、そこに固執することはないのである。

だが、私は、意外に真面目である。だから、水回りの掃除のミッションは、結婚してこの方、ずっと、遂行してきている。



心の中の、リトルkojuroが、ボソッと、つぶやいた。

コジは、真面目なんじゃなくて、意固地いこじなんだろうな。きっと。コジだけに。笑


うむ。


家内からの、ミッションは、出掛けのエレベーター内からのLINEコメントだった。

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心の中の、リトルkojuroが、なげきつつ、つぶやいた。

「よろしくねー」とは、人に頼むには、言葉が軽いな。

しかも、リキのせいにするとは、捨て置けぬ。


だが、相手は、女王陛下(注1)だから。


心の中の、リトルkojuroが、観念して、づぶやいた。

うむ。確かに。


私の目の前には、いつもの、マイクロテープが置かれている。

お疲れ様。コジくん。

今回のミッションは、洗面所の排水溝の掃除である。そして、第2王女からの、「土日、試合なんよ。湯船、ヌルってるから、掃除いておいてね。頼む」の言葉を合わせて考えると、自分がどうしなければならないか、分かると思う。

また、女王陛下の僕となったとき、水回りの仕事が、永遠のミッションになったことは、よもや、忘れていまい。


例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。


プシュ〜。


マイクロテープは、跡形もなく消え去った。



ひとり取り残された私は、しばし、洗面所で立ち尽くした。だが、ほどなく気を取り直し、掃除道具を持ち出した。

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そして、お風呂場から掃除をはじめ、家内から指示された、洗面所も掃除した。ちゃんと閉まるし、水がすいすい流れるように、綺麗になった。

お風呂掃除。最近、欠かせないものがある。それは、電動ブラシである。

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今まで、手で、ブラシ洗いをしていた。床も。壁も。天井も。だが、これのお陰で、時間がかなり短縮できる。今週は、徹底して掃除をした。そうすると、2時間では終わらない。3時間コースだ。

3時間の掃除が終わり、ふと、気付いた。トイレが、まだだ。

ちょっと疲れたので、トイレ掃除は、翌週ということにして、一息ついた。


心の中の、リトルkojuroが、ボソッとつぶやいた。

マッサージ、しなくていいぶん、楽だけれど。

でも、寂しくも、あるよね。


確かに。


誰もいない我が家の静けさは、いつもと違った雰囲気を、ずっと、醸し出していた。



(注1)女王陛下とは、家内のことである。私に、ときどき、ミッションを与える、指揮命令系統の最上位者なので、ときに、家内のことを、そう呼ぶ。

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