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爪切り

久しぶりの、ミッション系の記事である。ミッション系とは言っても、キリスト教とは、一切関係がない。


家内と長女が、突然騒ぎ出した。爪切りが壊れたというのである。


さて。ミッション発動だ。




私の目の前には、いつもの、マイクロテープが置かれている。


お疲れ様。コジくん。

今回のミッションは、女王陛下(注1)の壊れた爪切りを元通り使用できるところまで直すことである。

わかっているとは思うが、途中で挫折したり、壊れた爪切りを廃棄したりして証拠隠滅を図るような、エージェントにあるまじき行為だけは、決してしないように。


例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。


プシュ〜。


マイクロテープは、瞬く間に消え失せた。


どれどれ。


バラバラじゃん!



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

まず、これ、何度も言うけれど、スパイ大作戦と、007が、混在している。

で、これ、今回は、一瞬じゃね?



うむ。まあ、落ち着いて、やろう。

爪切りは、簡単な構造をしている。小さい頃から、ものを分解する癖があった私は、そのあたりは、熟知している。

ものの10秒。戻った。


ちょちょいのちょいやで


家内に、すぐに渡したら、一言。

あら。たいしたこと、無かったのね。


ありがとうの一言も無かった。


夜、ソファーで、爪切りのことを切り出したら、家内が、こう言った。

朝飯前のことを褒められても、いい気はしないでしょ。プロの便利屋として。


心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

いや、せめて、嘘でもエージェント(注2)と言ってよ。便利屋じゃなくて。


マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。

家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。



だから。



これで、いいのだ。



あまりに短時間でミッション・コンプリートすると、「ありがとう」さえ言われない



(注1)女王陛下とは、家内のことである。私に、ときどき、インポッシブルなミッションを与える、指揮命令系統の最上位者なので、ときに、家内のことを、そう呼ぶ。少なくとも我が家では、いとやんごとなき人なのである。

(注2)私は、家庭内で、便利屋として活躍している。自分ことを、勝手に、エージェントと呼んでいて。家族から出るミッションを、いろいろとこなしていく。自称、エージェント・コジなのである。


■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。

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