バルカン300
長男のこだわりポイントは、イギリスのサッカーチームのマンチェスターシティ(略称としてマンCと呼ぶのは邪道でシティと略することはある)と、美食と、F1である。
だが幼い頃は違う3つだった。それは、ポケモンと、デジモンと、ガッシュだった。
我が家のティッシュケースは、ガッシュに出てくる、バルカン300になった。それは、20年以上経った今も、洗面所のティッシュボックスとして日夜使われている。
そして、その中身を入れ替える役目は、私が仰せつかっており。中身が切れると、家内や長女、次女から即時交換を要請される。
洗面所に、ティッシュボックスのストックをいつも置いていて。いつ言われても即座に対応できる準備はしている。
中身が切れると、家内も長女も次女も、こう言う。
コジくん、バルカン、切れた!
そして、私は、走る。
心の中の、リトルkojuroが、ぼそりと、呟いた。
ミッション、コンプリート。
今年のゴールデンウィーク。次女の荷物を少し片づけながら、こんなものを見つけた。
ゴン太くんだ。
長女は、我が家から独立したとき、ゴン太くんを一度、もって行った。いや、正確にいうと、家内が暫定的に、持って行った。だが、自分流のティシュケースを購入し、納戸に眠っていたのだ。
バルカン300も、かなりくたびれてきた。だから、試しに、長女に聞いたのだ。ゴン太くんと、交代してもらおうかと。
すると、長女は、こたえた。
いや、それよりも、ティシュが、絶対に切れないようにきちんと、前もって交換しておいて欲しい。
……。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
超現実的な要請だけなのね。ケースは、関係無いということね。
バルカン300には、もう少し、働いてもらうことにしている。バルカン300は、我が家に来て、とうとう、21年目に入った。まだ、もう少し、働いてもらおう。
家内が、ソファーで、言った。
バルカンが終わったら、マッサージね。
マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
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