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得手不得手

私の家事の担当領域は、料理と裁縫を除いたほぼ全てだと思っている。

そしてそれは、きちんとさっちゃん(注1)に伝え。そして、家内には、きちんと長女のものも含め、料理を作るようにと言っていて。完全に合意、同意されているはずなのだ。

私は、帰宅するとまず、ゴミを捨てに行く。終わるとリキのケージの掃除とエサの用意。それが終わると、洗濯物を取り入れ、畳んで収納、洗い物が乾いていたらそれも収納する。お風呂と食事の前に。

既にルーチンワークとして決まっているのだが、なぜかさっちゃんは、イレギュラーワークをしたがる。

特に、洗濯機を回すこと。食洗機を回すこと。この2つを、よく、やっている。


まあ時には、洗濯物が残ってしまったり、洗い物が残ることもある。というのは、長女はそもそも仕事が夜にかかるので帰宅が遅い。帰路でどこかに立ち寄ったり人と会ったりすると、かなりの深夜になる。そこからさらにウォーキングに出たり、食事を最後に回されてしまうと、どうしても完了しない家事が出てくる。

そういうものを、私の領域のはずの家事を。なぜか、料理を作る手を置いて、手がけるのだ。我が家のさっちゃんは。

その傾向は今に始まったことではないので、この前、聞いてみた。


さっちゃん、あなた、機械にものを入れて、スイッチを押すのは、好きだよね。得意だよね。

さっちゃんは、こう、こたえた。

うん。そうなのよ。



でさ、料理の献立を考えたり、手をつけるのが、苦手だよね。


……?

いや、ちょっとだけ。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

いや。ちょっとじゃなくて、かなり、な。


とにかくきちんとした料理の献立を予め考え、食材を購入しておき、作って食べるようにと促した。


最後に、聞いてみた。

料理は、得意だとは、思っていないよね。


すると、少し顔を歪めて、こう、言い放った。


料理は得意だよ。献立を考えたり、その食材を準備したりするのが、苦手なんだよ。私はっ!



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

コジ、料理をコジが担当した方が、平和と安寧がこの世にやってくると思うよ。時間はかかるかも知れないけれど、これ、ライフワークだな。ある意味。


人には、得手不得手がある。だが。それから逃げられないのが、人というもので。苦手なことも含めてやり通していく営みのことを、人生というのである。


私は、リトルと共にある決意をしたのだ。

料理を、いずれ、自分自身でやろうと。

今は、包丁を持つのも覚束ず、リンゴの皮さえ剥けない、火が怖くて鍋さえかけられない、赤子同然の私だが。


私の野望をさっちゃんの耳に入れておこうと思って、今宵は、潔く自主トレ(注2)を申し出よう。


マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。


家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて、平和である。



だから。



これで、いいのだ。



(注1)我が家の家内の呼称は、「さっちゃん」である。さっちゃんは、女王陛下という別の呼称もある。だが、そもそも長男が飼い出したハリネズミのリキとの関係で、そもそもの飼い主が長男であることから、私は、おじいちゃんだが、家内に対して「おばあちゃん」なんて呼び方は、まかり間違っても、してはならないのである。

(注2)私は、家内のマッサージを、よくする。家内に促されずに、自らの申し出で家内のマッサージをすることを、自主トレと、勝手に呼んでいる。


■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。





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