ハチミツ入りヨーグルト
ながた師範からの夏休みの宿題が、ひとつ、残っていたのだ。
私は、毎日ヨーグルトを食する。しかも、ハチミツは、テーブルの上に、常に、ある。だから、この宿題は、簡単に実験して報告出来るはずだった。
だが、少し想像して欲しい。宿題をやってこない生徒の、宿題をやらない本当の理由は何か。私は、こたえは、ひとつだと思っている。
つまり、面倒くさいのである。
なぜ、宿題をやってこない生徒の気持ちが分かるかと言えば、そのこたえも容易に想像できるだろう。
そうだ。私が、その、宿題をやってこない生徒だったのだ。それも、筋金入りの宿題放棄生徒だった。
そんな姿勢が許されるわけもなく、常時単位を落としそうになるし、赤点は、何度となくとった。だが、不思議なことに、高校までは、無理やりにでも卒業させられる。欠席せず、登校さえしていれば。振り返れば、随分と不思議なことだ。
中学校までは、では、宿題を提出していたのか。いや。それは、まったく良く覚えていない。
さて、話を戻そう。
要するに、宿題に手をつけるのが、まあ、その、億劫だったので、記事を投稿するのが遅くなったのだが、本文に入る。
おっと、その前に。この宿題、相当な難題である。最後にそこに触れるが、百万歩ぐらい譲って頂いて、私が、師範からの宿題に手をつけられなかった事情を、察して頂ければ誠に有難い。
結論から言おう。
ハチミツを入れたヨーグルトを即座に食べる場合と、少しおいてから食べる場合とでは、味は、何ら、変わらない。
言っておくが、私は、味には、敏感なほうである。フードロスハンターを名乗っているだけあって、敏感だと自負している。
その私が言うのだから、本当の話だ。
心の中の、リトルkojuroが、顎に手をやりながら、つぶやいた。
いやいや。
フードロスハンターは、単に自称で。誰も、認めていない。
そもそも、フードロスハンターという言葉すら、勝手な造語だ。
増して、「敏感だと自負している」とは、なんだ?自負なんて言葉。ちんけな詐欺師でも使わない。
うむ。そうだ。これは、自己満足だ。
では、客観的な、定量的な測定方法は、無いのだろうか。
世の中には、糖度計というものがある。それを入手して計測しようかと画策しようとしたが、決裁者の女王陛下(注1)の前で、あえなく頓挫した。
そうは言っても、宿題だから、一応、実際にやったことを、証拠として簡単にレポートしておく。
ヨーグルトに、ハチミツを投入する。分量は、ヨーグルトカップ1杯に、ハチミツを大サジ1杯。
同じモノを、ふたつ。
1つは、すぐに食する。
うーん。甘い。
そしてもう1つは、翌日の夜に食する。丸一日寝かしていたわけだ。
うーん、甘い。
ということで、全く味は、変わらなかった。というよりも、わからなかった。
世の中には、勘のいい人も、いらっしゃる。
ふむふむなんて、思っていたら、師範が、こんなことを囁く。
いやいや、フードロスハンター(注2)なんて、冗談でしょ。私の、おふざけ造語ですよ。単なる。
だが、冷静を装って、私は、こう、返した。
すると、ながた師範からは、こう、さらりとかわされた。
また、こういう方も、いらっしゃる。
そして、こういう方も。
これが、こう、続く。
さらに、こう、続く。
だんだん、煽られてきたぞ。
そして、この方も、参戦されてきた。
うむ。これは、どうしてもその方向に持って行かれそうだ。
そして、この方も。
いやいやいや。
そんな、微妙な味の違いが、人の舌で、分かるわけ、無かろう。
ながた師範、そして皆様に報告しよう。この夏休みの宿題。難題過ぎた。ほんとうに……。
でも、こういうやりとりが、たまらなく、面白い。面白すぎる。コメント欄を読みながら、笑いしか出てこなかった。こんな、愉快なこと、世の中に、そうそう、あるものではない。
そして、おまけに、最後には、やはり、こうなった。
今、家内の足を、マッサージしている。
家内は、マッサージをすると、上機嫌になる。
家内が上機嫌になるの、我が家は明るくて平和である。
だから、
これで、いいのだ。
(注1)女王陛下とは、家内のことである。私に、ときどき、ミッションを与える、指揮命令系統の最上位者なので、ときに、家内のことを、そう呼ぶ。
(注2)世界中で社会問題にもなっている、フードロスを無くすために、まずは身の回りの賞味期限切れを無くすように、ひとたび賞味期限切れとなった商品をチェックし、たとえ賞味期限が切れていても、匂いや色や味見から食べられるかどうかを真剣に判断し、食べられるものと判断したものは、無闇に廃棄せずにきちんと頂く。そういう活動をする、ボランティアのこと。私が勝手に作った造語である。
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