ショートストーリー1 夜が流れる
Aが言うには、この世の中は平らかではないらしい。
「世の中ってのはほんとうに平らかじゃないよ。もうほんとにほんとにほんとに…!」
そんなことを言うAに私は
「平らかじゃないなんて、みんな言ってる。そんなの今さら改めて言うことでもないさー」
なんて嘯いてみる。
「そんなことは分かってる!分かってるけど、言わなくなったらお終いだ。気づいているのに気づかないふりをしてるのは分かってないのと一緒だ。
人間は分かっているふりをしながら実はその問題を忘れることができる、できてしまうのが人