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外資による「日本人買い」と経済再成長の始まり

多くの投資家たちを歓喜、そして困惑させた年明けからの日本株大飛躍。勢いは未だ衰えない中、浮足立つ人、持論を語る人、相場から消えていく人…今の市場は様々な感情と情報で溢れかえっています。市場で何が起こっているのか、この先はどんなシナリオになる可能性があるのか、今選べる選択肢は何なのか。改めて目線を整理しなければ、次の一手が見えてきません。

私は昨年12月から今年の2月半ばまでを「暴落の最警戒期間」と定めつつ、年明けも上昇していく株式市場を見て「確実性の高い選択肢を取るべき」とし、出遅れ好業績、好財務の銘柄に狙いを定めることを推奨してきました。
また、何が起こっているか見えてくるまでは無理な動きはしない方が無難だ、とも発信してきました。その期限を2月半ばと定めましたが、案の定確信を得られることが増えてきました。

今回は、昨年末から現在(3月3日)までの相場観察において私が感じたこと、発見したことについて説明をする内容となります。私は日本株、特に個別株を買う投資家であり、相場サイクル論をベースに投資を組み立てる長期目線の投資家です。その立場から見える相場観を提供しますので、役に立ちそうだと思える方は読んで頂ければ嬉しく思います。皆さんの投資に関する考え方のヒントになれば何よりです。

それでは、今回の具体的な内容はこちらです。

A:日経平均最高値の更新は日本を安売りした成果
B:「インフレ≒経済成長」の構図になっているか
C:現在の状況を私はどう見るか
D:まとめ

A:日経平均の最高値更新は日本を安売りした成果

①国を安売りするということ

まず、根本的にこの株高状況を作り出した一番の要因であろう円安政策について私見を述べます。一般的な認識として「通貨安(低金利)は株高に繋がる」という認識の人が多いと思います。理屈としては色んな説明が出来ますが「通貨価値を下げることは、通貨以外の資産買いを促す側面があるから」というのがわかりやすい説明の一つでしょう(現金、貯金の価値が勝手に下がってしまう)。

しかし当然、通貨安によって貯金の価値だけでなく、その国で働く人が貰う給料の価値も低くなります。ドルの経済圏で生活している海外の起業家や投資家から見た場合「日本人の人件費も安くなる」ということです。
ある程度の通貨安であれば、海外からの投資などを呼び込めるのでプラス効果が目立つでしょう。しかしあまりにも通貨安が過ぎると、その国の国民生活が苦しくなります。現在の日本はまさにこの状態になっていて、円安政策がやや行き過ぎています

シンプルに言うと「円安で外国人に対して国や国民を安売りして、外国人がお得に日本を買った」という構図になっています。しかも「日本株を買った」という以上に、日本に本格進出するために「日本企業をしっかり買った」と見た方がよいでしょう。円安政策を行っている背景には様々な理由がありそうですが、ハッキリ言ってもはや「国策」になっていて「日本人労働力が今なら安く使えますよ」というアピールを継続する意図が政府にあることは明白です。これが良いか悪いかという話は後でしますが、間違いなく国の方針は「日本を安売りする」ことで固まっています

②円安政策にもう株高効果はない

先程は通貨安が株高に繋がる側面があることを説明しました。政府は現在の株高を手柄にしようとしていますが、現段階では円安による株高効果はもう殆どありません。この話は昨年から述べてきた内容の一つですが、断言出来る段階まで来ています。株高効果が無くなったのは、やはり円安政策が行き過ぎているためです。

先程も述べた通り、日本株を買っている主体は外国人であり、ドル建ての買いが大半です。何より彼らはヘッジをしているので「円安だから」という理由で日本株を買っているわけではないと思います。

③円安政策の本当の効果は、外国企業の呼び込み

では、どうして外国人は日本株を買っているのでしょう。私は外国人勢が本格的に日本進出を考え始めたから、だと思っています。人件費が安いことも大きな理由の一つだだし、仕事が丁寧な日本人を使いたいという需要も生まれているのでしょう。
つまり、円安政策により株高効果が出て日本株が活況に見えますが、株高なんてものは本当は二の次で「経営権を含め本格的に日本企業を、日本人を買いに進出してきている」というのが一番重要な事実でしょう。

皆さんもご存じの通り、外資企業の進出は特に半導体を中心に熱が高まっています。しかし、半導体分野以外の外資企業も日本にやってくることはもう明白です。この現象をわかりやすく言えば、日本は「高度経済成長期をもう一度やる」ことになる、ということです。私はこれをよく「日本経済の『再』成長」と表現しています。

この失われた30年の間に、日本は様々な分野において技術的に、またはシェア率等において世界のトップを取った時期もありました。しかし結局長続きはしなかった…。日本人は結局その気質もあり、イノベーションが苦手だったし、世界の先頭を走る能力もハッキリ言ってありませんでした。

しかし、人に向き不向きがあるように、日本人という民族自体にも向き不向きがあります。日本人は外国人から器用に最新技術を学び、それを応用して発展する時期にこそ輝く民族なのでしょう。今は外国人からまた技術を学び直し、国を立て直すフェーズにあります。外国企業には積極的に日本に進出してもらい、日本人が技術を学ばなければならない。これが日本政府が国を挙げて安売りを進めている根拠でしょう。

この流れは閉塞して立ち行かなくなった日本経済には必要な流れです。だから私はこの流れ自体は受け入れるべきだと思っています。ただ、極端に安売りする必要はもうないと思っています。安売りしなくとも、日本人の技術力や気質は価値のある要素です。わざわざ国民を一旦貧しくする必要までは無いように見えます。

日本の経済再生長期はまだまだ数十年規模の長さで続くでしょう。遥か未来のことはわかりませんが、日本がいずれまた世界の先頭を走る様なことになれば、その気質により衰退していくかもしれません。その時にはまたデフレのフェーズが訪れるのでしょう。相場サイクルは短期~長期の様々なサイクルが存在していますが、これは長期サイクルを生み出している正体の話だということです。

④日本人は円安政策の恩恵を受けているか

これまでに述べた理由により、外国人勢は円安でも円高でも日本への投資を推し進めるでしょう。しかし日本円を使って日本で暮らしている日本人に株高の恩恵は無いのでしょうか?結論から述べると、無いと思います。厳密に言えば、恩恵を受ける選択肢もあったがそれを選ばなかった。大半の日本人は日本株を買わず、オルカンや米国株を中心に買い始めたからです。

これについて是非を述べるつもりはありませんが、多くの日本人は日本株よりも米国株の方が今後の伸び代がある、と思っているようです。どちらが良い選択肢なのかは誰にもわかりません。私は日本株が再評価されることや経済再成長期が到来する夢物語を2018年から語ってきた人間なので、個人的には日本株の方が圧倒的に割安で伸び代がある様に見えます。もちろん、日本の経済再成長は米国と一蓮托生であることも事実なので、私は米国株を蔑視するつもりも無いし、日本株よりも割高に見えるから今は買わないだけです。何らかの理由で安くなることがあれば買うと思います。

皆さんの考え方と私の考え方の違いがどうあれ、新NISAも始まって日本企業に投資しやすくなるはずの日本人は、その大半がオルカンや米国株を買っていることだけは現実です。①円安効果で日本人投資家が買ったのは外国株だったこと、②外国人投資家は円安かどうかに関わらず今後も日本株を買うこと…これらの背景を考えると、いよいよ円安政策は日本株上昇に貢献しているのか?という点は疑わしいのです。私が円安政策を止めても日本株人気は続くと考えている理由はコレです。現在の行き過ぎた円安政策は、ただ国民を貧しくする効果が大きいだけになってしまっている、と思っています。

B:「インフレ≒経済成長」の構図になっているか

①日本は「インフレ≒経済成長」の構図になっていない

私の話では、この「インフレ≒経済成長」の構図が何度も出てきます。何故この様な構図になるかは過去の記事で説明していますので、理解していない方は参考にしてください。

もうおわかりかもしれませんが、少なくとも今の日本はその様な構図にはなっていません。(適度な)インフレにより株価が上昇(株価は実態経済に先行する)し、その後で実態経済が潤うという流れが経済成長のセオリーです。しかし、先程説明した様に株高にはなっているものの、現在は過度なインフレが国や国民を安売りしている状態を引き起こしており、経済成長してるとは言えません。インフレが行き過ぎて経済成長になっていないのです。

株高自体は実態経済に対する先行指標となるため好意的に見てもよいのかもしれません。しかし、これも外国人主導で買われている状況なので手放しでは喜べません。後から実態経済が潤えばよいですが、最悪のシナリオは日本株は外国人主導で上昇し、多くの日本人が買っている米国株の上昇が鈍ったり暴落することです。その場合は結果的に外国人勢ばかりが潤ったことになります。それでも日本経済再成長が本格化すれば給与も上がるし新たな流れがやってくるので、次第に実態経済も良くはなると思います。ただ、投資のロケットスタートに失敗した日本人が多いほど、日本人同士の格差は広がるし、シンプルに勿体ない気がします。

②経済成長してるかどうかは「金利高の株高」になってこそわかる

過度なインフレが経済成長を阻む弊害を生んでいることはご理解頂けたと思います。もうお分かりかと思いますが、極端な円安政策を是正しないと経済成長は見えて来ない段階まで来てしまいました。多分このまま円安政策を続けても、もう見えてくる好現象は何もないと思います。内需が疲弊していくだけです。

円安政策を止めても日本株の上昇は続く理由も先に説明した通りです。金利が上がっても日本株が強いことが確認出来れば、その後で実態経済も強くなっていきます。これでようやく本当の意味で経済成長へと進むことが出来るのです。もちろん、その後は金利高が行き過ぎてはいけません。絶妙なコントロールが必要ですが、その様な芸当は多分日本の政治家には無理でしょう。

全ての物事には波の様に動作を繰り返すサイクルがあります。金利もずっと一方的な動きをするわけではなく、理想的な「適度なインフレ」は、「適度な金利高」を挟みながら進んでいきます。時々は小休憩が必要なのです。金利高は過度なインフレ加速を抑える大事な薬になります。もちろん薬が効き過ぎて経済成長の速度を落としても良くないので、本当にコントロールは難しいのです。投資熱を冷まさず、しかも過熱感なく続くように促すのが理想的です。言葉で言えば簡単ですが、この適度なインフレ(≒持続的な経済成長)を実現出来た例は過去の歴史において存在しません

③インフレのコントロールが難しい理由

インフレのコントロールが難しい点は、インフレは直ぐに再加速しようとする性質を備えている点にあります。金利を上げて一時的にインフレを抑制出来たとしても、投資家や投機家が高金利状態に慣れてしまい、そこからインフレが再加速することも全く珍しいことではありません。現在の米国はまさにその状態で、高金利を維持しても人々の投資熱がすぐに再燃してしまいます。いわばインフレの再加速は「人間の強欲さ」によって発生します

【余談】
私は前職で農薬の効果などを評価する仕事をしていたので、この現象が「病原菌やウイルスに薬が効かなくなってしまうことに似ている」と思っています。同じ薬を使い続けると菌やウイルス側に耐性が付いてしまい、使える薬がなくなってしまう。風邪薬のパッケージを見てみるとよいでしょう。良く効く薬の成分ほど耐性も付きやすい傾向があるので「連用を避けてください」と書いています。

④「高金利」はインフレに良く効く薬

「高金利」という薬はインフレに良く効くのです。これが使えなくなると後々が悲惨です。米国では金利高という薬は今のところ効いていますが、過去の歴史ではいつも最後には偶然か必然か「何かしらの理由」で暴落が発生し、いわゆるハードランディングとなっています

ハードランディングは、高金利という薬をしばらく使い続けている間に段々と実態経済が疲弊してしまい、どこかで「狂い」が生じてしまうことで発生します。「狂い」は銀行がクラッシュすること等で具現化しますが、具現化の仕方はその時々によって様々です。言ってしまえばハードランディングは「高金利」が良く効く薬であるが故の副作用の様なもので、高金利状態が人々の生活を圧迫したり、投資資金の返済を難しくすることによって生じます。

⑤米国の高金利状態について

世間では「米国がソフトランディングやノーランディング出来る」と期待する声は多いです。むしろ「もうソフトランディングしたから安心」とさえ考えている人さえいる状況です。しかし、まだ全く実現できたと言える状況ではないでしょう。やはり高金利状態でもインフレが再加速してるのも事実だし、年明け頃から高金利により商業不動産の投資が焦げ付き始めていることが表沙汰になってきたし、様々な指数に陰りも見られ始めたように、順調に好景気を維持出来ているとも言えません。簡潔に言うと「そろそろ実態経済が苦しいので高金利状態を解除していきたいが、まだまだ油断するとインフレが再燃しそうな状況」ということです。タイムリミットが迫りつつあります。商業不動産問題が、今回の暴落原因となり得る大きな爆弾である可能性は十分にあるでしょう。

【日本は薬を嫌い続けてきた】
日本は良くも悪くも極端な方向に走りだし、いつの間にか止まらなくなる国です。間違っていると分かっていても止まる勇気がない。これも国民性でしょう。30年以上もデフレの状態が続いたのは間違いなく「失政」のためです。まず、どんなに経済の具合が悪くても「低金利」という薬を飲まなかった。アベノミクス頃からようやく低金利という薬を飲み始めて、かなり体調も回復しました。しかし今度は政治家たちは「また具合が悪くなるかもしれない」という心配をしているでしょう。円安政策には2つの側面があると説明しましたが、極端な円安政策を止められない3つ目の理由はこれです。「金利高にしてしまえば、また株価が下がると思っている可能性が高い」です。しかし先程から説明している様に、金利を上げても日本株の株価は下がらないでしょう。

⑥米国のソフトランディングを実現する方法があるとすれば、日本の犠牲が必須

少し見出しの表現は過激に聞こえるかもしれませんが、概ね事実でしょう。米国の姿勢は、過去に成功例が無いソフトランディングと適度なインフレの継続という壮大なテーマに挑んでいるという点において立派です。彼らの努力の方向性は正しくて、これが実現出来ればノーベル賞クラスの功績です。世界の先頭を走る国の姿として、この挑戦的な姿勢は見習いたいものです。

しかしこれももうお気づきかと思いますが、米国のこの偉大な挑戦に身を削ってアシストしているのは日本です。先の説明では日本の円安政策が外資企業を日本国内に進出しやすくするための一環である旨を説明しましたが、円安政策は米国の金利高に寄与している側面があることも重要です。米国がインフレ対策のために今は金利高を維持したいと考える以上、ドル高円安の状況が彼らには好ましいのです。反対に、円高政策は米国にとって相対的にドル安効果をもたらします。日米関係の都合上、この状況下で日本が大きく円高政策を選ぶことは不可能でしょう。せいぜいマイナス金利の解除や、ほんの僅かに金利を上げることくらいしか許されないと思います。

その間にも日本人の生活は苦しくなっていくことは明白で、円安政策の終了は米国が完全にソフトランディングを実現するか、実現出来ずにハードランディングする場合のどちらかです。後者の合図は、米国が高金利状態の解除を決断せざるを得ない状況が到来した場合、ということになります。だから金利動向を観察することが今は特に重要となります。

当然、新NISAで多くの日本人が米国株を買っていることも気になります。日本人が米国株を支えている一方、多くの外国人投資家は日本株の購入にシフトしつつあります。極端な話、米国人をはじめとした外国人投資家たちが米国株を利確して日本株を買い仕込んでしまえば、米国株がハードランディングかそれに準ずるような大きな株価下落になっても全くおかしくないと思います。日本人投資家が米国株を買い支えている間に、海外投資家の資金は割安な日本株に逃がすことが出来ます。ハードランディングの合図がもう一つあるとすればコレです。

おそらく、この話は米国株に夢中になっている人たちには一切届かないでしょう。それは仕方ないと思っています。でもこの記事を読んでいるあなたに少しでも冷静さがあるなら、この話は頭の片隅に入れておいても損はないと思います。

C:現在の状況を私はどう見るか?

それでは、これまでの内容を踏まえ、私がどう考えているかを説明します。結論から述べると「国が安売りを止めない以上、我々国民はもう投資を続けるしかない状況」だと思います。割安株はなくなってきたから、上がり続けそうな株を見極めて上値を買っていくしかありません。「買うしかない」状況になったと言えるでしょう。それは何故か、順を追って理由を述べます。

①私が当初予想していたこと、考えていたこと

私は、もう少し早い段階で過度なインフレ政策を一度は止めるものだと思っていました。私が昨年9月から出してきた予想の数々を覚えていますか?相場サイクルの観点においてもインフレ政策はそろそろ切り替えなくてはならない時期だから、一旦円高に振れるだろうと警戒していました。円高に振れても「少しずつ」外国人投資家が日本株を買い始めるから、一時的な中規模程度の株価の下落はあっても、日本株は悲惨な下落にはならないと読んでいました。むしろ一旦調整を挟んでくれた方が、株価更新に向けて助走をつけられて良い、とも思っていました。

②実際に起こったことは日本株の「新時代入り」

ところがどうでしょう。いくら米国との関係があるとはいえ、流石に国が国を安売りしてまで円安政策を突き進めるとは想像しませんでした。2月半ばまでは様子を見た方がよいと考えたのも、流石にその頃には円安政策を止めるというアナウンスがあるか、米国株が明確に崩れだすと思っていたからです。
年末までは米国株がどんな理由によって崩れるかもなかなか見えてきませんでしたが、年明け頃からは「商業不動産の焦げ付き」という爆弾の存在も見えました。しかし現実は、そんな爆弾は見えないものとして扱われ、新NISAで日本人の多くが米国株を買い、想像を超える日本の安売りは外国人投資家を一気に日本株に引き寄せ始めました

この現象は何なのか?それを結論付けるにはやはり時間が掛かりました。しかし、期限としていた2月半ばが過ぎてようやく見えてきました。ここまで説明してきた様に、この現象は「日本株の新時代入り」です。言い方を変えると「名目経済の始まり」であり、インフレした水準がいずれ当たり前の水準になる動きの「初動」です。もう少し時間をかけて日本株は新時代入りしていくと読んでいましたが、一気に動き始めた、ということになります。

③「新時代入り」した現在、我々投資家がすべきことは何か

これまでの感覚なら、爆発を恐れて私は日本株を買い控えます。しかし、今は外国人投資家とともに買い仕込んでおく方が無難に見えます。何もテーマ株と呼ばれる半導体銘柄が良いと考えているわけではありません。他のセクターの銘柄でも、株価の水準訂正が進んでもまだまだ割安な日本株の優良銘柄は腐るほどあるのです。

上昇してきた日本株を見ると、価格的になんだか買いにくい印象を受ける気持ちももちろん分かります。ただ、遅かれ早かれこれが当たり前の株価水準になることを理解して手持ちの日本円を何かしらの資産に変換しないと、下からインフレという魔物が追いかけてきて、自分の資産を食い潰してしまうことも事実です。少し恐い状況ではありますが、買わざるを得ない側面があると私は思っています。

④米国株だけは気がかり

恐い、というのは、あくまでも先程から述べている様な米国の爆弾が爆発するリスクのことを指しています。日本株自体に恐怖心はあまり感じません。とは言え一時的なパニックが日本株にも波及はするでしょうから、なるべく被弾はしたくないところです。米国株クラッシュに対する警戒心は、昨年末からずっと弛めない方がいいと思っています。それは2月半ばを過ぎた現在も変わりません。それはハッキリと述べておきます。

⑤株価の水準訂正が起こっている

今の一見割高に見える日本株の株価水準は、いずれ「当たり前の水準」になると思います。相場サイクルで見れば、流石に今年はもう逆金融相場です。この時期には金融株や素材株が下がりだします。しかしどうでしょう、金融株も素材株もまだまだ元気があります。逆業績相場の後半や金融相場の初期に輝くであろう電力株などの公共株まで騰がっている始末です。

私はこの状況を、相場サイクルが崩れたわけではなく「全体的に底上げされた」結果だと思っています。言い方を変えれば株価水準の訂正が一気に始まったのだと思います。

この影響により「今は何でもかんでも騰がっている様に見える」のだと思います。言ってしまえば、株価水準が上がったのはインフレによる影響で、一気に日本株を新時代へと導いたからです。インフレの分だけ株価水準が訂正されたと言ってもよいかもしれません。これはかねてより言い続けてきた「名目経済」の世界の始まりです。

これも偶然か必然かはわかりませんが、現在は逆金融相場です。逆金融相場の特徴は何だったか覚えていますか?「間違っているように見える株高」です。どうしてどれもこれも株価が騰がっていくの?世の中はこんなに不景気なのに?売りシグナルが出ているのに?バブルに違いないのでは?
特に逆金融相場の前半は、この様な人々の疑問と不安の中で株価が上昇していくフェーズなのです。前回の逆金融相場は2017年頃からでしたが、日銀のETF買いにより指数だけが上昇していた時期なのです。当時のことは鮮明に覚えています。国が大型株だけ買い上げて株価を釣り上げるのはおかしい、庶民は誰も得しない、こんなのは間違っている…周りの投資家たちは恐くて買えなかったのです。しかし株価は騰がりました。

今回の逆金融相場は「名目経済」の始まりにもなるのでしょうから、大規模な相場になるかもしれませんね。

D:まとめ

長くなってきたので、このあたりで一旦区切りにしましょう。

最警戒期間と定めた2月半ばが過ぎ、幾つかの方向性と警戒ポイントが見えてきた。

現在は、円安政策により国と国民を安売りして外国からの投資資金を日本国内に呼び込んでいる状況。これは日本株の上昇をもたらしているが、「日本そのものを買いにきている」と見た方がよい。これにより外資が日本に進出し、日本は本格的な「経済再成長期」を迎えることになる。

円安政策を止めない理由は3つ。

①日本人労働力の人件費や諸々のコストを低下させ、外資の国内進出を促しやすくするため。
②米国への配慮(まだドル高をアシストする必要)。
③日本株が下落する可能性への恐怖(政府支持率も下がることへの恐怖)。
⇒しかし、海外投資家の日本株買いは円安政策を止めても続くと思う。
⇒強い日本株の姿が確認出来る=経済成長の証明へ

海外投資家の日本株買いは日本株の株価水準を大幅に訂正した。現在は逆金融相場であるが、本来上がりにくいセクターの銘柄も上昇しているのは株価水準の訂正による影響が大きい。
⇒相場サイクルは崩壊したわけではなく、水準訂正によって一時的にわかりにくくなっていただけ。

この水準訂正はインフレによるもので「名目的な経済観の世界」が始まる合図でもある。おそらくこの後は実態経済にもこの感覚が浸透し「インフレ≒経済成長」の構図がしっかりと見え始めてくる(低金利政策を止めないと「≒経済成長」の部分が確認出来ない)。引いてはこの経済成長が「日本経済再成長期」の始まりを本格的にもたらすことになる。

懸念材料は米国株暴落による一時的な余波を受けること。ソフトランディングを達成したと言うには時期尚早。ハードランディングの合図は2つ。

①米国が高金利状態の解除を決断せざるを得ない状況が到来した場合
⇒実態経済がいよいよ苦しい、これ以上の高金利状態は債務不履行を引き起こし、銀行等がクラッシュしてしまう。

②外国人投資家たちが米国株を利確して日本株を買い仕込みを完了した時
⇒米国株から自分たちの資金を逃がした後はクラッシュしても問題無し。

米国という懸念材料を引き続き警戒する必要はあるが、日本株の新時代入り(株価の水準訂正)に合わせて日本株を買わざるを得ない状況でもある。

具体的にどのような銘柄を買うべきか
⇒まずは1月の資料で発信した様な「出遅れ好業績、好財務」の銘柄を見つけたら買うべき。ただし、これらも水準訂正が進んでおり、どれだけお得な銘柄が残っているかはこれから調べないとわからない(次の四季報を読むしかない)。また、半導体などの注目セクターに拘る必要はない。

銘柄の考え方については、別記事を書く予定なので、その時に詳しく説明します。今回はまず、現在の相場を取り巻く状況の整理をしてほしいと思います。状況を理解した上で銘柄を選ぶ必要があります。

最後に、私は「相場サイクル論」というあまり多くの人が興味を持たない理論に基づいた思考の投資家です。私なりに相場サイクル論を嚙み砕いて説明した記事もあるので、ぜひご一読ください。

他の記事はこちらから探すと便利です。
https://note.com/n_kabu/n/n94f0f50bf81c

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