3/9【雑感】下落スピードの異様な速さが物語る日本の暗黒相場

繰り返しますが、不透明感の強い問題ほど、その影響は予測が出来ないものです。米中問題やイランとの問題は、所詮はプロレスです。ダウが高騰した時は、繰り返しガス抜きの材料として使われるのでしょう。

しかし今回のコロナのような疫病は…古くから生き延びている歴戦の投資家にさえも分かりかねるのです。諸先輩の投資家さんたちは50~70代が多く、大半が百戦錬磨の数億規模のプレイヤーですが、そんな彼らも皆、口を揃えてそう仰います。「経験したことがない」と。

暴落の影響の大小は、問題の「深度」と「不透明さ」によって決まります。

当然、深度が浅ければV字回復しやすく、問題はありません。かといって深度が深い場合でも、先が見えている問題であればあまり恐くはありません。工場が火事で焼けた、という例えがわかりやすいでしょうか。一時的に企業は損失は被りますが、深度は確定させやすい問題です。

しかし、深度がわからない場合はどうでしょうか。これほど不気味で恐ろしい問題はありません。今回のウイルス問題はまさにこのパターンです。だからリーマンショックよりもクリスマスショックよりも質が悪いのでしょう。

1月後半からずっと警鐘を鳴らしてきましたが、現在はまさに最悪のシナリオで進んでいます。

日本という国の落日です。

私の観察する限り、コロナ問題と株価ステージを分けて説明すると、下記のようになります。

第一段階:中国国内での蔓延で収束するかどうか(不透明リスク80%)
第二段階:日本での感染拡大阻止失敗(不透明リスク100%)(オリンピック中止懸念の浮上①)
第三段階:EUやアメリカなどの経済大国での蔓延(不透明リスク70%)=世界経済急ブレーキの確定
第四段階(日本限定):オリンピック中止懸念の浮上②(不透明リスク50%)

こんなイメージです。第三段階に突入するまでが最も不透明でした。だから先物を巻き込んで乱高下したのです。もっとも、乱高下の幅が大きいのはAI取引の弊害、という見方もあります。AIは人間では到底売らないラインからでもガンガン売ってきます。

第三段階を越えて、ある程度の不透明さは解消されてきたのでしょう。世界中に蔓延した今、これ以上広がる余地がないですからね。今夜のダウもまだ荒れそうですが、日本以外は先に止まるでしょう。不透明感はだんだん下がっていきます。

つまり、もっとも皮肉な結果で不透明感が消えるのです。

しかし、日本は第四段階があります。オリンピック問題です。
オリンピック中止懸念の浮上①の時は、日本が無理矢理にでも封じ込めれば、悪く言えば捏造でもすれば回避出来るだろうと思っていました。しかし、第三段階のように経済大国に広まった場合、日本の状況だけではどうにもなりません。だから第二段階で止めることが、最終防衛ラインだとお伝えしてきました。
オリンピックによる景気需要効果を見込んでいたからこそ、増税に踏み切った、という背景もあります。捕らぬ狸の…という諺通りです。

今回の記事の趣旨からは外れるので詳しくはまたの機会にしますが、最終防衛ラインを越えると、日本の立ち直りが後ろ倒しになる・・・というか立ち直りが不可能になり、アベノミクス8年が完全に無駄になる可能性が一気に浮上します。アベノミクスは1回きりの切り札だ、という話はもう5年以上前からいろんな場面でお伝えしてきました。

一つ言えることは、今日の下落加速で、これから日本は完全に衰退していくシナリオに入った、ということです。最後の可能性が消えたのでしょう。日本にどんな選択肢が残されているのかは、もう少し状況が確定しないとわかりません。というか考えたくもないレベルの状況になっています。少なくとも、30代の私の年齢でさえ、現役のうちに楽しい時代はやってこないのでしょう。

株価は半年程度、実態経済を先取りします。まだまだ皆さんは実感が湧いていないようですが、

この急降下の株価下落は、実態経済停滞の下落スピードにも反映される、ということを忘れてはなりません。

コロナが落ち着いて気づいた頃には、日本の経済大国脱落が明確になっていることでしょう。もう立て直せないところまで来ています。

今度は覇権問題が浮き彫りになりますよ。アメリカと中国、どちらが世界の覇権を握るのか。日本はどちらに付いていくのかを決めなくてはなりません。イギリスや韓国は中国寄りに回るでしょう。100年以上前から続いていたアメリカVSロシアという構図が、アメリカVS中国という構図に完全に置き換わるのです。

本物の新時代は、株式市場の活況とともにやってくるインフレの世界です。株価の好回転が経済を支えます。この新時代に移行出来るかどうか、それがここ数年の焦点でした。

アメリカは今沈んでいますが、間違いなく新しい時代に突入しています。新しい時代に移行できた国は、コロナ問題が終われば立ち直れると思います。それでも、中国に押されている構図は変わらないでしょう。病み上がりのアメリカで、中国とまともに争えるのかどうか・・・。

日本は新時代への扉を開けないまま、コロナと増税、オリンピック中止で沈んでいく運命が確定的です。批判の多いアベノミクスは新時代を開く可能性に賭けた最後の切り札でした。新しい芽は出はじめていたのに・・・。

東京の再開発や東南アジアへの投資加速…大手企業にようやく、新時代の風が流れこみ始めていました。ようやくこれでアベノミクスの出口が見え、円安政策実行の腹を括った日銀の黒田さんも報われるかと思いましたが、黒歴史に名を刻む運命になりかねません。

とはいえ、日本や韓国、北朝鮮はアメリカVS中国の緩衝地帯として都合が良いですから、国自体は無くなりはしないでしょう。日本株式市場も消えることはありません。大手の企業で、新しい芽が生き残っている銘柄は生き残るでしょう。

そういう世界において我々はやはり、安全に高配当銘柄を手がけていくのがベストです。天下の三菱UFJ銀行がここまで売り叩かれる理由はありますか?マイナス金利だから、なんて理由では一日に50円以上下げる道理はありません。三菱だけではありません。

「もう、理由は見当たらない、ただの大パニック売り」

なんですよ。今の価格であれば、多少減配してもお釣りが来る株価の銘柄が死体のように転がっています。

だから、株価修正のタイミングはもうそろそろやってくるでしょう。もちろんしばらくは不安定だし、上値も抑えられるのでしょう。しかし今は止血が大切です。そして数年後を見据えて、賢く資金を振り分けることが大切です。

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