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プロの嘘つきにはなれない。

私は知っている。

上司がサボっていることを。
上司がサボり魔だということを。

「お腹が痛いから遅れる」
「忘れ物したから遅れる」
「取引先寄って直帰する」

私は知っている。
全部、嘘だということを。

まれに本当の時もあるのだろうけれど、
月に12回はある遅刻と外出と早退のうち、
11回は嘘である。
月に11回ということは週に2~3日は
サボっているということだ。
恐ろしい。

平気で嘘をついてサボり、
部下に仕事を押し付けている上司が恐ろしいし、
それをバレてしまうくらいに嘘が下手な上司も恐ろしいし、
サボりを許すことができない自分も恐ろしい。
みんな頑張っているんだから頑張りましょうという
冴えない価値観が染みついている自分が恐ろしい。

嘘だと勘づいたのは、
入社して1か月が過ぎた頃だった。
入社して数日後、
体調不良だから今日は有休にすると連絡があった。
もちろん、体調不良なら休めばいい。
なんの違和感もない、むしろ休んでくれ。
ただ、今やこれが月に4回は起きるのだ。
私はもう勤めて1年が経とうとしている。

お腹が痛いからって昼休憩が始まる5分前に出社した上司は、
出社して早々とんかつ弁当を食べ始めた。

いや、あなた、出社が昼になるくらいお腹が痛かったのであれば、
とんかつは食べないほうが良いのではないか。

また別の日には蒙古タンメン中本のカップラーメンを食べていた。
なぜ、いつもお腹の痛かった日の昼ごはんに冒険をするのか。

まあこれくらいだったら、
お腹治ったからって調子乗っちゃったのかな?
なんて見逃せるのだが、これだけでは終わらない。

パチンコが好きな上司は
近くのパチンコ店のイベントの日に限って体調不良になり、
忘れ物をしたといって遅れてきた日に限って、
銭湯の帰りみたいなホカホカした表情と
シャンプーのにおいを身にまとっているのだ。
取引先に寄ると急に言いだした日に限って、取引先は休みなのだ。
つっこまずにはいられない所業の数々。嘘つきの初心者。

つい先日、
「君には見せていないけど、俺は楽して仕事したいタイプだよ。
優秀な人ほどそうだよね。いかに楽するのかを考えた結果、
効率よく仕事ができるんだ。」
なんて鼻高々に語ってくる。


いえ、バレていますよ。
私はすべて知っています。
今月のあなたのサボり時間の合計は18時間20分です。
まだ今月3週目に入ったばかりです。


心の中では、そうツッコミながらも、
「そうなんですね!さすがです!」だなんて、
ひきつった笑顔で返す私も嘘つきの初心者 なのかもしれない。


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