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ランドマーク(115)

 やっぱりまだ、死にたくないな。無数の記憶が頭に浮かんでは消えていった。自由落下なんていうくせに、わたしに生を選ぶ自由は残されていないようだ。泣いているのか叫んでいるのか、自分でもまったく分からなかった。いくら涙を流したって、この風ではまっすぐ地面へ落ちていくことさえできない。それにいくらわたしが叫んだって、その声を聞く他の誰かは世界中のどこにもいない。

 地表まではまだ遠い。わたしが飛び立った飛行場では、今頃大騒ぎなんだろうな。委員会がどれだけたくさんのマットレスを重ねてわたしを待ち構えていたところで、きっとわたしの身体はそんなところには墜ちない。南西の風によってわたしは鉛直方向から斜め向きに落下しているはずだ。人家に落ちればわたしはまるで呪いのように。野原に落ちればまるで隕石のように。もしも、わたしの死がどうしても避けられないものだとしたら、いっそのこと夜鷹のように燃えてしまいたい。煌々と輝く星になれるなら、それはある種幸せだと言えるのかな。

 でも現実はずっと残酷だった。宙に留まり続けることは許されない。まだ遠かった。重力から逃れるには、もっとずっと、遠いところまで行かなければならなかった。

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