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台湾電車環島備忘録 #2 生活編

2024年2月中旬に電車で10泊11日の環島(ファンタオ、台湾一周)をする機会に恵まれました。
とてもいい時間でした。
どうよかったのかを思い出せるようにしたいので、記憶が新しいうちにいくつかの角度から記録を残すことにしました。

この記事は「#1 飲食編」に続く「#2 生活編」です。

基本的なスタンス

  • 40代になると悲しいかな体力は下がっているので、身体の楽さはお金で買う。現地で動けないリスクを極小化する

  • せっかく環島するのだし、なるべく各地域のローカルを感じる

  • 台湾で日常的に使われているアプリを使ってみる

という感じ。

時期

まとまった休みが取れるのが2月だったので、春節の後に行くことにした。
結果論だが、新年の雰囲気が漂う街を歩くのは楽しい経験で、「春節の後」はけっこうアリなんじゃないかと思った。
とはいえ感じた難点は下の4点。

  • 航空券がハイシーズンの終わりの方でまだ若干高い

  • タイミングによって、一部の小吃が市場の正月休みとの関係で味わえない。具体的には台南で牛肉湯にありつけなかった (もっと探せばあったかもしれないけれど)

  • マンゴーの季節じゃないので、マンゴーかき氷は食べられない。冷凍だったら食べられるのだと思うが、それなら日本と変わらないし

  • 時期的に、北部の天気がスッキリしない可能性が高い。南部はずっと晴れだった

あと、僕はどちらかといえば寒いほうが好きな人間なので快適だったが、暑いほうが好きな人だとこの時期は避けた方がいいと思われる。
とはいえ、日本より10℃くらい暖かいけれど。

旅程

  • 2/16-17、台中(拠点)、鹿港、彰化

  • 2/18-19、台南

  • 2/20-21、高雄(拠点)、屏東、潮州、竹田

  • 2/22、台東(拠点)、多良、金崙

  • 2/23-24、花蓮

  • 2/25-27、台北

旅費

正確に数えていないが、10泊11日でお土産入れて25万円程度だったかなーという感覚。

飛行機

エバー航空で往復8.5万円。
LCCを使ってセーブしようとも当然考えたが、自宅から成田までがスーツケース抱えて往復で4時間程度、発着の時間が今ひとつで身体的負担が大きい、などを考え、羽田発着で楽に移動できる時間帯にした。

宿

10泊で50,000円程度。
ホテルではほぼ寝るだけなので、5,000円前後、交通至便の条件でAgodaで探した。
台湾はとくに平日は妙に安いことが多く、その予算感でも見つかるのは助かった。
ホテルかゲストハウスだが、ゲストハウスの場合でも、上と同じく体力的な理由でドミトリーの相部屋は避け、個室を取った。
壁が薄いかもと思い耳栓を買って持っていったのが大正解で、隣室のいびきから1回、TVの音から1回守ってもらった。
台湾のホテルはアメニティは備え付けられていて、そっち方面の心配はあまりいらない。
ボディーソープが沐浴乳と書いてあって、沐浴かー・・ガンジス感あるなー・・とか思った。
基本はシャワーだが、2都市ほどバスタブもあって助かった。

現地交通費

合計2〜3万には収まってるのではないかと思う。
初日の台北→台中のみ高鐵(新幹線)を使った。
(空港に15時台前半に着いて、スーツケースをピックアップしたり、SIMを買ったり、台北駅に移動したりの時点で17時前くらいになっていたので、時間をお金で買った)
あとは台鉄とMRT(地下鉄)とバスとYouBike(シェアサイクル)とタクシー。
台湾はとかく交通費が安い。

通信費

松山空港の中華電信でSIMを買った。
15日で3,500円くらいだったと思う (ギリギリ11日だったので、9泊10日なら10日プランで行けたなーとは思った)。
英語が通じるし、SIMフリー端末であれば、端末を渡したらその場でSIMの入れ替えまで全部してもらえる。

中華電信のカバレッジと安定度は最強で、全土のどこに行っても圏外になることがほぼなく、命綱になってくれた。
太魯閣の奥地の白楊瀑布付近でもまだアンテナが立っていた。
土地勘がなくことばもわからないのでスマホがないと旅行体験的に「即死」に近く、スマホがなかった頃に旅行してた人は偉大だなーと繰り返し感じた。
ただ、Google Mapsにおける方角の表示は不正確で、惑わされて違う道に行ってしまうことは結構あった。

kkdayとかでeSIMでもうちょい安いのもあるのだが、よく調べるとテザリングができない、SMSが使えない(≒電話番号がなく、通話が含まれていない)みたいな制約がある場合がしばしば。
台湾のアプリはSMSで本人認証する場合がしばしばあるのと、割と様々な場所で台湾の電話番号を聞かれるので、正直そこまで差額があるものでもないし、とくにある程度日数行くなら中華電信現地調達がいいんじゃないでしょうか。
電話番号はない場合でもなんとかなる道はありそうだが、あったほうが調べる手間が省ける (≒別のことに時間を使える)ので。

保険

数日の旅行だったらクレジットカード付帯にしたと思うが、10日以上行くので安心を買った。
ソニー損保で4,000円弱。
幸い保険のお世話になることはなかった。

食費

飲食編の通り、毎日あまり金に糸目をつけずパクパク食べてたので、11日で4万とかそのくらいなのではないかと思う。
よくも50食も食べたもんだ・・。

ローカル食堂とか屋台だと数百円だし、レストランだと数千円。
ローカル食堂とか屋台だけで過ごすのも余裕で可能なので、レストランを使わなければ10日で2万台とかも全くもって現実的だと思うし、それで十分満足できそうでもある。
レストランを使いたくなるのは要するに小籠包なわけだけど、硬派に小籠包だけで店を出ればそんなに高くつかないとも思う。
とはいえ、現地の雰囲気に浸りながら台湾ビールと共に台湾料理と中華料理を楽しむのはオツなものなわけで、そんなにケチらず楽しんだほうがよさそうではある。

現金

現地で消費した現金は10,000NT$程度。
ざっくり5万円くらい (2024年2月時点)。
定石通り、空港で両替した。

カードが使えるのは鉄道とレストランとデパートが主で、現金が圧倒的に便利。
LINE Payもちょこちょこみかけたけど、中国語で細かいやり取りする可能性が出るのが億劫で使わなかった。

10泊くらいの旅行で、鉄道とレストランとデパートではカードを使うようにする場合、8万円ほど持っていけば安心なのでは、が結果として思うこと。
そうすると、空港で5万円替えて、虎の子の3万円が手元にある(いざとなれば街の銀行で替える)ようにできる。
現金が尽きたとてキャッシングを利用すればよいので、このあたりは考え方次第。

現金しか使えなさそうな店でいろいろ買い物をすることが予想される場合は、現金多めに用意していったほうが無難だと思われる。

入国時のくじ

2025年6月30日まで、一定の条件を満たした外国人観光客に5,000NT$が抽選でプレゼントされている。

残念ながらハズレた。
ハズレた場合、到着直後に、祝う気満々のスタッフに「また次回ね」と言われるという、なかなか体験としては諸刃の剣な感じのキャンペーン。
5分くらい微妙に凹んだ。
とはいえ、当たればラッキーなので申し込まない手はない。
当たったら嬉しそう。

アプリ

Google検索に加えて、重宝したのは以下。
各アプリの使い方解説はウェブ上にたくさんある。

Google翻訳

何が書いてあるかわからないとき全般で使う必需品。
とくに、食べ物のメニューと、トイレの紙の捨て方確認によく使った。

Google Maps

移動が伴うあらゆる場面で使う必需品。
地図と経路検索をよく使った。

55688 台灣大車隊

Uber的な、タクシーを中心としたスーパーアプリ。
外国人観光客にとっては、アプリを介して呼んだタクシーにはより安心感がある。

YouBike 2.0

シェアサイクルのアプリ。
西海岸の都市で割と使える。
東海岸の都市はまだこれからだった。今後に期待。
街ごとに微妙に課金方式が違う。

ミシュランガイド

西海岸の都市の食情報が手に入る。
東海岸の都市はまだこれからだった。今後に期待。

中央氣象署W - 生活氣象

天気予報。
台湾全土がさっと見られるので重宝した。

服と持ち物

多くのホテルでコインランドリー(自助洗衣房)があるので、洗濯はしやすい。

自助洗衣房。
だいたい屋上にあって、洗剤とかも売っている
(が、10元するので日本から持っていったほうがいいかも)

ただ、洗濯する時間の間、行動は制約される(朝ごはん屋や夜市に思うように行けないみたいな)ので、あまり持っていく枚数を少なくするとかえって面倒。
一方で、汗をかく日はそのままほうっておくと臭くなってしまう。
なので、深く考えずに予備含めて5日分持っていっておいてやりくりすると間違わないのかなーと思った。
なお、北部と南部で全然気候が違うので、両方行くならそこも考慮したほうがよい。
日本人的には両方半袖な時期を選ぶと、ややこしさは減る。

服装といえば、台湾人は日本人よりも厚着で、25℃でも薄手のダウンを着ている人がちらほらいる。
なんでまた・・と旅の前半は思っていたのだけれど、台湾1周して台北に戻って気温が14℃だったときにめちゃくちゃ寒く感じたので、ちょっと理解できた。

キャリーケースは大きいのを持っていった。
土産物を考えるとおおむね正解だったと思う。
ホテルと行李房を活用すれば大丈夫なので。
2〜3日で土産もあまり買いません、であれば、バックパックのみとかも行けそう。

治安

基本的にはとても安全で、身の危険を感じるようなことはない。
ただ、台南で、夜に一度ホームレスに追いかけられて、滑ってコケて、肝を冷やしたことがあった。
追いかけられた場所は、大通りから一本反れた通りだった。
安全だからといって気を抜くとよくないので注意。

交通

決済については、とにかく悠遊卡(Easy Card)を入国次第手に入れよう、のひと言。

電車について、高鐵、台鉄、地下鉄(MRT)の3種類があって、

  • 高鐵→新幹線

  • 台鉄→特急とか快速とか鈍行とか

  • 地下鉄(MRT)→文字通り

全般的に日本とさほど変わらないので心配はいらないが、台鉄がちょっとややこしいので、把握しておくとよい。
とくに特急がややこしい。
あと、MRTなど飲食禁止の場面があるので、把握しておくとよい。

バスも便利だが、運転がめちゃくちゃ荒いので、すごく乗り物酔いする人は酔い止めがあると安心だろう。
下一站(次の駅)、到来(到着)の車内放送が妙にクセになる。

余談だが、ガイドブックなどでは空港から街までタクシーを勧める情報が多いものの、電車が安くていいと思う。

ことば・コミュニケーション

中国語は、以下の動画にお世話になった。
行きの羽田空港のラウンジで1時間で詰め込んだ。
必要最低限を必要十分に紹介してくれていてすごいなと思った。
ありがとうございました。

追加で覚えたほうがいいと思ったのは、

  • 不好意思(ブーハオイースー):すみません。多義的に使える。
    台湾の人もよく言っていた

  • 在哪里(ザイナーリー):英語のwhere。書いて注文するときに席を書き忘れたときによく聞かれた

あと、数の数え方は頭に入っていると便利。
僕は昔麻雀で覚えたのが活きた。
人生何が役に立つかわからない。

挨拶以外で一番使用頻度が高かったのは、我不會說中文(ウォーブーフォイシュオジョンウォン、私は中国語が話せません)で、事前に予想してた頻度をこえていた。
というのは、台湾人と間違えられて道を聞かれたりとか、ふつうに中国語で話しかけられたりとかのとき(そりゃ見分けつかんわな、と思う)、とにかく「自分、台湾人じゃないっす」をまずわかってもらう必要があるため。
長期滞在ならもちろんがんばって中国語話したほうがいいと思うが、旅行が目的なら変に頑張らずにむしろ外国人だと初手で知らせたほうが自分も相手も楽だったりする、ということを学んだ。
なので、旅の後半はむしろ英語で挨拶するようにしていた。

発音のカタカナは参考程度に。

筆談も便利で、メモ帳を常に持ち歩いていた。
漢字が使えるのは日頃気づくことのないアドバンテージ。

あと、ことばがどうこうより「自分は何がしたいんだ」を相手に伝えようとすることが大事で、それがあると不思議と通じる。
僕が外国人だとわかった後も中国語で話し続ける台湾人はしばしばいて、それでもなんとなくわかった。
これは結構大事なことかもしれないな、と思った。人間はすごい。

飲食店での注文の仕方

台湾はなんだかすごく注文の仕方にバリエーションがあって面白い。
慣れないうちは日和ってしまうが、慣れてくるとローカル感を楽しめるのでぜひ慣れたいところ。
逆に、なんでも突っ込んでいける元気があるときもあれば、散々動きまくった後で億劫なときというのも旅行中にはあって、億劫なときには億劫なりの店を選べると楽。

パターン

50食程度経験した中で、下記の11パターンがあることがわかった (なんかの論文のようだ笑)。
ここに、英語 or 日本語が話せる、英語 or 日本語のメニューがある、店員が優しい、などの変数が加わって、難易度が変わってくる。

台湾飲食店の注文フロー

店の種類ごとのパターン

面白いことに、内用(イートイン)の10パターンが等しく出現するわけではなく、店の種類ごとに偏りがある。
こういう偏りが生まれていった由来と過程があるんだろうと思ってて、そこにすごい興味をひかれている。
そういうの書いてある本ないかねえ。

レストランか食堂

ほぼ「席を確保する→選ぶ→店員を呼んで口頭注文→出てくる→食べる→席 or レジで支払う→店を出る」になる。

早餐店

ほぼ「店頭で口頭注文する→その場で支払う→受け取る→運ぶ・席を確保する→食べる→食器を下げる→店を出る」になる。

喫茶店やスイーツ系

「席を確保する→菜単に書く→レジまで行って支払う→出てくる→食べる→店を出る」が多い。

屋台か、屋台じゃないけどかなりそれに近い感じの店での内用は、上に書いた以外のバリエーションが様々にある。

もろもろ億劫なときに楽な店

「席を確保する→菜単に書く→・・・」の店が中国語話す頻度が少なくて楽なので、外から観察するとよい。
店頭か各机の上に注文票のような菜単がある場合、このパターンの店です。

トイレ

日本よりもトイレの数が少ないので、その街のどこにトイレがあるか、を事前になるべく把握してから動くようにしていた。
移動の間にGoogle Mapsで「洗手間」とかを検索したり。
「〜中心」(センター)と書いてある行政施設にはほぼ大体あるし、開館時間中である限りは立ち入り自由で、かつ清潔な場合が多いので、よく利用していた。

思いつくことは、だいたい以上のような感じでしょうか。
#3 写真編に続きます。

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