卒業できなかった卒業式
先日、高校を卒業した。
みんな、嬉しそうに笑顔で写真を撮り、友だちや先生と話をしていた。
そんな中で、私はクラスの片隅で、誰にも気付かれないように一人で涙を流していた。
高校三年生で出会った先生は、私にとって大きな影響力を持った人だった。
芸術科の先生で、芸術に対する考え方が素敵だな、と思った。授業で時々話してくれる余談話が心に溜まっていた。
学年の先生にではなく、この先生に進路の相談をするようになった。
理由は、何となく"この先生は面白い話してくれそうだな。"と思ったから。
この予想は的中した。ほぼ毎日、進路の話をしたり、他愛もない話をしたりした。
最初の頃は、すごく楽しかった。
大人は好きじゃなかったけど、この先生は違うんだなと少し思った。もっと話したいし、話を聞きたいと思った。
けど、それは長く続かなかった。
私は自分に対する評価が低く、何事も後ろ向きに考えてしまう性格であったのが、良くなかった。先生に対しても、段々良くない方向に考えていってしまった。
"自分のこと、あまり考えていてくれないのではないか。"
"こんなに話してるのに、私への評価を一切言ってくれない。そんなに私は魅力がないのだろうか。"
と。その度に、先生に尋ねて、先生はちゃんと理由を説明してくれた。納得した。はずだった
進路は無事に決まって、残すは学年末テストと卒業を迎えるだけだった。相変わらず、先生のところに余談話をしにいった。少しずつ、何かが変化していってるような気がした。
いや、変わっていなかったのかもしれない。
私が無理やりそう感じたからかもしれない。
依存していた。先生に。
薄々自分でも気づいていたのに。
途中で何度も「もう、離れた方がいい」と
自分に言い聞かせていたのに。
先生に突き放す言い方をされた時に、
もう何もかもが真っ暗に見えて、
"卒業する日くらいは、笑って終わろう"
なんて思いも、一瞬にして消え去った。
卒業の日。2年前から想像していたのとあまりにも違った光景になってしまった。
私の自己肯定感の低さと依存してしまう心がもたらしたものなんだ、と思ったら、何もかもが辛くて苦しく、涙ばかりが出てくる。
泣いていたら、朝がやってきた。
まだ何も分からず、ただ泣いている私に、
何かわかる日が、くるのだろうか。
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