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森見さん。
なんとも心惹かれるタイトルと装丁。
ときめいて、初めて自分で購入した小説。
それが、森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」だった。
出会った当時は高校生。
学校で日々を過ごしてはいたものの、なかなか上手く過ごせず。
周りの環境にいつも四苦八苦しながら過ぎゆいた3年間でして。
心のバランスを保ってくれていたのが趣味の数々でありました。
その中で出会ったのが森見さん。
実際にある街の、日本ファンタジー、舞台は京都。
大阪住まいの私にとっては実際に足を運びやすく
大変アクセスの良い場所です。
少し古めかしい文体とは裏腹についフッと声が出てしまう、
思わず想像して笑ってしまうその場その場の光景。
愛嬌の溢れかえった憎めないキャラクター達。
小説に凝縮された全てが魅力的で好きな世界観。瞬く間にファンに。
そこから暫くは、面白いの基準が森見さん状態。
いやはや、すっかりと染まってしまった時期がありました。
出会えたおかげで小説の面白さを再認識させていただくこともでき、
森見さんの他の作品を始め、様々な作家さんの小説を読む。
読書をする機会が徐々に増えていったように思います。
そこから年数をかけて少しずつ、京都への憧れが膨らんでいきました。
沢山のご縁が重なったおかげで、現在その地で暮らしています。
用事があると街中へふらっと飛び出しに。
少し足を運ぶだけであちらこちらに作中に出てくる場所が現れてきます。
こんなに楽しいことはない。
ある休みの日。
あ、そういえばこの辺りの路地の一角にある小さな神社が
作中に出てきていたな、とふと思い出す。
学生の頃から京都へは度々遊びに来ていたので何回も通ったことのある路地で。そんな場所が果たしてあっただろうか?と半信半疑。
路地に入り足を進めると、その道の丁度中央あたり。
ひっそりと、確実に、その小さな神社は佇んでおりました。
文章で書かれていた置物であったり、細やかな描写が。
想像していた場所がそっくりそのままそこにありました。
お賽銭を入れてしっかり拝む。
あれは自分にとってなかなかの嬉しい衝撃と感動でした。
祇園祭の蟷螂山やとあるバーなど。
様々な小説に出てきた場所をここ数年で実際に、
お目にかかることができました。
森見さんの小説を好きになったおかげで遊びの楽しみ方の
バリエーションが増えたように思います。
実際に読んだ小説で気になったら、その土地へ足を運んでみる。
文章が、想像が、一気に立体的になる瞬間。
なんとものワクワクです。
自分の好きの軸がブレないよう、今も支えになってくれている
小説の数々。これから先にかけても、ずっと大切にしていきたいです。
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