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僕は男じゃなかった? Xジェンダーだと気づいた日

ほんの軽い気持ちで診断してみただけだった。

それがちょうど4日前。

それからというもの僕のアイデンティティがふわふわと揺らいで、心がもやもや。仕事も手がつかない。

僕は男だった、はず。

これまで30年間、確かに違和感はあった。でもそれはただの「言葉にできない生きにくさ」だと感じていた。誰もが何かしら抱えている。そうだろう。

男であることに嫌悪を感じたことはない、と思う。女の子のことが羨ましいと思ったことはある。でもそれは自分の仕事や生活が上手くいかないことに対する責任転嫁だと切り捨てていた。隣の芝は青いもんだと。

もっと勉強ができたら。もっと仕事ができたら。人生はきっとうまくいくだろう。それと同レベルのつまらないボヤきの一つだと思っていた。

それがLGBTQ+のテーマに含まれる話だなんて、考えたこともなかった。

このnoteを書くのは誰かに話を聞いて欲しいからだ。そのためだけに昔のアカウントを引っ張ってきて夜更けに文章を書いている。

妻は優しいし理解もあるから話を聞いてくれるが、まだ噛み砕き切れていなくて話せないこともある。自分の感情と欲望をありのままに描けるように匿名で綴りたい。

Xジェンダー / ノンバイナリーとは

Xジェンダーとは、「(身体的性に関係なく)性自認が男性にも女性にもあてはまらない」セクシュアリティを指す、日本でうまれた言葉です。

https://jobrainbow.jp/magazine/xgender

あなたがどんなセクシュアリティなのかは、これらのサイトで診断できる。

この数日で調べたところによると、性にまつわるものは体の性の他に「性自認」「性表現」「性的指向」「恋愛指向」の4つに分けて考えるのが主流のようだ。

性自認は体の性によらず、自分の性をどう捉えているか。こころの性とも呼ばれる。

性表現はどんなふるまいをしたいか。ふるまう性。

性的指向はどの性の人に性的な魅力を感じるか。どんな人にも感じないという人もいる。

恋愛指向はどの性の人を好きになるか。どんな人も好きにならないという人もいる。

Xジェンダーは性自認に使われる用語で「性自認が男性にも女性にもあてはまらない」ことを言うらしい。

その中には中性、無性、両性、不定性の4つがあるらしいが、そこら辺は詳しく解説してくれているサイトに任せたい。

僕の診断結果は?

https://jobrainbow.jp/discover_sexualities/

この結果を見て、あなたは僕のことをどんな人だと想像しただろうか?

それを聞きたい。本気で聞きたい。(もしよかったらコメントで教えてください。)

「きっと大変な学生時代だったに違いない」

「男だけど、メイクをしたり、スカートを穿いたりしているんだろうな」

「LGBTQ+の1人として、生きにくさを感じているのかな」

そんな風に感じたのではないかと、僕は勘繰ってしまう。

僕にとって生まれた性が男なのは間違いない。

女性の体に性的魅力を感じるし、女の人に恋をする。何の疑問も抱かずに結婚し、妻と2人で暮らしている。これは本当だ。嘘じゃない。

教えて欲しい。僕は普通の男じゃないか?

僕のどこが、 Xジェンダーなんだ?

僕はこれまで、自分のことを普通の男だと思っていた。

確かに女の子になりたいと思ったことはある。でも妻と結婚してそれなりに暮らしている。自分の体や社会的立場が男であることに嫌悪を抱いたことはあまりない。

性同一性障害ではないし、同性愛者でもない。だからLGBTには当てはまらない。

ただ、Xジェンダーと聞いてホッとした気持ちも少しある。ん?

待ってくれ。

なぜ僕はホッとしているんだ?

性自認ってなんなんだ?

何を持ってあなたは「あなたの性別が男 / 女である」と感じているのだろう?

「自分は男 / 女ではない」と感じる人はどんな感覚を持つんだろう?

僕は自分が男であることに納得していた。下半身を見れば一目瞭然だし、女の子と付き合いたいし、あわよくばセックスがしたい。そう思って思春期を過ごしてきた。

LGBTの存在を知ったときに、同性の友だちとできるかどうかを考えたことはある。生理的な嫌悪はないからできなくはないが、やりたいとは思わない。そう感じた。

それは単純に、ゲイの人に対する偏見や嫌悪感を自分が持っていないからだと結論づけていた。

逆に自分が女の子になれたらと思ったことはある。でもそれはただの性癖の一つじゃないか?たくさんあるAVのジャンルの一つだ。

僕は(多少性癖が特殊なところもある)普通の男。

そんなふうに自分が男であることに納得していたし、疑問なんて抱いたことはなかった

だから今回の診断結果には衝撃を受けたし、1週間たった今も動揺している。

自分のことを男だと自認していたら、「シスジェンダー」という結果になるはず。

だが結果はXジェンダー。

僕は男であると納得していたのに、自分を男だと自認していなかったのか?

わからない、わからないけど。

昨日、メイク道具を買ってきてやってみた。上手くはいかなかったが、少し頑張ればもっと見栄えが良くなると思ったら、ちょっと嬉しかったし頑張りたいと思った。

今日、家で妻のロングスカートを穿いてみた。思ったよりも気分が落ち着いた。

鏡を見ながら、心の表面がさざなみを立ててざわつく。目に込み上がるのは、悔し涙かな。

なぜ僕はメイクをして嬉しくなるのだろう。なぜ僕はスカートを穿いて落ち着くのだろう。

嫌だ。もっと普通であればいいのに。ただの男にさせてくれ。そうすれば人生はもっと簡単なのに。悩まなくていいのに。

嗅覚が必要な仕事についてから、鼻が極端に弱いことに気づいたり、人間関係に悩んで、自分がHSPだと気づいた時と同じだ。

なぜ僕の心や体は、僕が楽に生きていけるようにできていないんだ?

なんでだよ。ちくしょう。

普通が何かなんて知らないが、普通でいさせてくれよ。他の人に普通にあるものを、僕にもくれよ。

あぁそうだ、認めてやろう。きっと僕は、確かにXジェンダーなんだろう。

自分がXジェンダーであることは全くもって嬉しくない。なぜわざわざ茨の道を歩かなきゃいけない?体も心も100%男ならそれがスッキリする。

なぜ自分が。放っといてくれよ。そう思う。

でも、数日考え続けて、Xジェンダーという概念があることには感謝できるようになった。

自己否定を続ける人生は20代で卒業した。自分が男の枠に入りきれないなら、悲観し続けてもしょうがない。もうそれはどうしようもないんだ。

27の時に、僕は周りと競争し続けられないと気づいた。だから心を擦り減らす仕事はやめて、自分が穏やかに過ごせる環境を作ると決めた。それと同じだ。

世間の男の枠に収まりきれず、消耗していたことは滲み出ていたんだろう。だから診断ツールにバレた。

でもその心の消耗は、「Xジェンダー」という概念があるからこそ見つけてもらえたわけだし、自分でも認識することができた。男と女の二元論しかなかったら、僕はいつまでも自分を男として捉えていたと思う。

そんなふうに考えられるようになって、自分がXジェンダーであるということをちょっとだけ認めることができた。

それから少し体が軽いし心もほんの少し明るくなった気がする。Xジェンダーと言われてホッとした気持ちも、なんとなく理解できた。

性自認を例えば「自分のことをこう思うと気持ちが楽」という見方だとすると、自分を男でも女でもないXジェンダーって言えるのは確かに気が楽かもしれない。

これからどうする?

数日間、Pinterestとにらめっこして、自分がどんな状態だったら素敵だろうかと考えた。

たぶん、パッと見は男か女かわからない、中性的な見た目。でも声が低くても違和感はない。そんな存在になりたい。

まずはメイクとファッションについて勉強していこうと思う。

いろんな仕事や生活をやってみてどれが自分に合うかを確かめていったのと同じように、自分に似合って、かつ心が落ち着くメイクやファッションはやってみないとわからない。

幸いなことに今は男も脱毛やメイクをする時代だ。試行錯誤してもそこまで違和感はないはず。妻も理解があって良かった。

この数日の気持ちの変化には、突然すぎてまだ追いつけていない部分もある。今後どんな変化を起こそうとしているのか、自分でもよくわかっていない。

でも、より心が喜ぶ生活に向かえている気はする。だから今のところは、よしとしようかな。

こんな夜更けの独り言を、読んでくれてありがとう。

これまでLGBTQ+の概念を作り、偏見を打ち破り、活動を続けてきた全ての人に感謝をしたい。

僕は、僕が自分に当てはめてきた男という殻を、破ってくしゃくしゃにして放り投げてやる。かといって女になるわけでもなくて。

僕は僕として、いちばん自分のことを好きになれるところを見つけてやるんだ。今回のことで、その一歩が踏み出せた。

その一歩を踏み出せたのはこれまで活動をしてきた人たちのおかげだから。

これを読んでくれたあなたも、できることなら一緒に歩んでいこう。男だとしても女だとしてもそれ以外だとしても。

1人の人として一緒に歩けたら、嬉しいな。

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