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#9 コロナウィルス入院記-DAY4(引越し編)

 隔離病棟生活4日目。

この日は朝?から小さな事件があり、ほぼ一睡も出来ず。

というのも、病棟の担当のスタッフさんが消灯仕事を忘れて帰ってしまった様で、、、

明るい場所で眠れないアチキにとって、一晩中蛍光灯の灯った室内から出られないというのは、ほぼ「寝るな」と言われているようなものだった。というか、眠れなかった。

正直、「それにしても、24時には消えないか?おや?」と、一瞬ナースコールに目を止めたのだが、院内が非常に切迫していたことは身に染みて感じていたので、「それでナースコールを鳴らすのも・・・」と、押しボタンに触れることは自己責任で諦めた。「入眠剤を飲んでも、蛍光灯の下だと眠れないんだなぁ」とか、どうでもいいことをたくさん考えているうちに朝が来た感じである。(もちろん、翌朝看護師さんが丁寧に謝りに来てくださったのだが、誰にでもミスはあるので、全く病院側を責めるつもりはない。あ、医療ミスは一大事だけどね。)


 「寝ないと太る」という理論は、ある意味正論な気がする。

4日目にして、朝食の副菜を8割ほど食すことが出来て褒められた(笑)相変わらず主食に箸が進まないものの、多少味覚が戻ってきた感覚もある。じっくり噛むと、素材の味が口の中で膨らむ。もはや食事瞑想に近い。

ただし、4日目にも関わらずお通じが良くないことから、お医者様の助言で便秘薬を処方されることが決まった。先日の号泣事件があってか、頓服の抗不安剤も追加で処方される。

薬に関しては、全て病院側で管理されているので、毎食後「今回のお薬」という形で看護師さんが持ってきて下さるのだが、飲みきるところまでチェックされるは、皆がそうなのか、薬の内容によるのだろうかは分からない。

それよりも、アチキはこの「なんとなく監視されているようなとても微妙な雰囲気」に焦燥感を抱き、「いかに早く薬を飲むか」という割とどうでもいいことを覚えた。


 さて、文字の練習も指が疲れる程度には終え、また外を見るしかない退屈な14時に差し掛かろうとする頃、運命のドアの音が鳴る。

今朝の検温結果と、吐き気の症状改善、味覚の改善により、病棟の移動が決まったのだ!

今までそんな話は一切聞かなかったので、「いきなり?」という感じだが、聞けば、移動先はどうやら隔離病棟ではないらしい!しかも個室でシャワーも付いているようだ!入院期におけるスーパーダイジェストなこの吉報!ヤッター!

だが、お医者様にとっては言い慣れた、寧ろ言い疲れた説明なのだろう。「・・というわけで、1時間後に出発するので荷物をまとめるように」との指示を受け、感動の余韻に浸る余裕はまるでない。。。。

余談。荷物をまとめるのは割と得意なこともあり、途中様子を見に来た看護師さんに「早い!お手伝いする必要はなさそうですね^^」と褒められたことがとても嬉しかったことを覚えている。何事もない隔離病棟、入院生活では、小さな一言が涙が出そうなほど嬉しいのだ。「昨日よりご飯食べたね」だとか「お片付け出来たね」だとか、まるで、子供がお母さんに褒められたように。その度に発した「えへへ」は、気持ち悪いほどの万遍の笑みが伴っていたと思う(笑)


 不安と緊張とが入り混じりつつ、1時間後、車椅子に乗り病院内を移動する。病院名は終始伏せるが、ものすごく広い敷地の隅っこにいたのだなぁと、この時点で初めて検討が着いた。そして、当然とはいえ、自分以外の人がたくさん存在することに驚いた(※冗談ではありません)。某著名人氏風に言うと「そんな感情を覚えた自分に驚いたんだよね」と言う感じ。

 そして、ついに厳重にセキュリティーのかかったフロア・ドアの中に。

そこは天国!音がある!人(医療従事者の方)の声がする!僅かな嗅覚でも香りを感じる!加えてWi-Fi完備!ホテルの様!!あげればキリがないが、「音がある」ことと「人気を感じる」と言うことが一番の感動だったかもしれない。

むろん個室とはいえ、相変わらず部屋から出てはいけないと言う意味では隔離状態ではあるが、退屈な時間もゲームオブスローンズを見れば余裕で潰れるのではないか、なんて考えるくらいには精神が猛烈に向上した。足音の聞こえる空間、僅かでも人の声が聞こえる空間、万歳。


 ただし、冒頭で述べたとおり、前日一睡もしていなかったアチキ。この日は荷物の片付けを済ませたのみで、消灯とともに就寝。5日目に続きます・・・と。


 今日も尽力を尽くしている全ての方に敬意と感謝を込めて。



 



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