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「かわいい」の裏側に。

「あの患者さんってかわいいよね」「わかる!ああいう歳の取り方したいよね」

 看護師間で交わされるありがちな会話だ。何が基準でかわいい、かわいくないと判断されるのか。   認知症の患者さんに食事介助を行っているときに、ふとそんなことを考えてしまった。
答えはシンプルだった。自分の言うことを聞いてくれるかどうかだ。
 ナースコールを頻回に押し、自分の要望ばかりを言ってくる患者さんは間違いなくかわいくないに分類されてしまう。

「あの人こだわり強いよね」「バタバタしてて余裕がない状況ってわからないのかな?かわいくないよね」

 自分より下の立場で言うことを聞いてくれる人をかわいいと言っていることに気がついてしまって、そんな人間が看護師をしてていいのだろうかと自分に問いかけた。

 異性に対しても、可愛がっているはずのペットに対しても同じかもしれない。もちろん本当にかわいい!と思っている。
 だけど、知らず知らずのうちにマウントをとって見下していたのかもしれない。「かわいい」について考えれば考えるほど怖くなってきた。

「かわいいね」と言われて喜んでいるそこのあなた。ちょっと冷静になって考えて欲しい。自分は都合のいいように使われてはいないかと。

 無意識に使っている「かわいい」の言葉の裏に醜い自分がいた。考えすぎなのかもしれないが。


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