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新卒研修にかける願いとその準備

「(新卒の)研修とかどうなっているんですか」

よく聞かれるので、新卒採用と対になる新卒研修について語る。ここで主に扱うのは24卒エンジニア採用となる。

Preliminaries

最近のエンジニア新卒研修

私がDONUTS社に入社したのは2014年くらいだが、当時だと2週間くらいで研修を終わらせてすみやかに開発チームに配属させるOJTに重きを置くことが多かったと思う。

一方、ここ数年は研修期間を長くとってきっちり鍛えるほうが人気だ。これは最近の若者は軟弱だとかいう話ではなく

  • スタートアップのビジネスが10〜20年前と比べて手探り感が減っている。言い方を変えると、こういうやり方をとるとこういう事がおきるというノウハウが以前より広く共有されている

  • これとともに開発におけるプラクティスも広く共有されている。また、チーム開発をいかに標準化しスケーラブルにするかに重きが置かれる

  • エンジニア1人の覚えることが相対的に増えている。また、各チームでバラバラに教えるくらいならまとめた方が効率が良いというものも多い

  • エンジニアの採用市場を考えると明らかに供給不足であり、自分たちで鍛える重要性が相対的に上がっている

エンジニア新卒を5年前の感覚で考えているならそれをリセットするために、DMMさんの研修の記事をみてもらいたい(DMMさんは新卒エンジニアの人気企業の一つである)。

こんなにやるの?と思うかもしれないが、昨今のエンジニアが十分にパフォーマンスを出したいならこれでも全く足りない。これはスタートラインに立てるという水準である。

知っている領域は慣れている部分もあって簡単なこともあると思います。知らないところは楽しい反面、貴重です。

https://inside.dmm.com/entry/2022/5/19/engineer-training-2022

自分の主たる専門ではない技術を知っておけば、他のメンバーのことを理解しやすい。チーム内で衝突が起きるときは考え方の不一致ではなく、前提情報の不一致による影響のほうが強い。このとき、必要なのはコーチングではなくティーチングだ。

また、OJTに依存しすぎると別の問題が起きる。何がわからないのかわからない、あるいは何ができるのかわからないという状態になりやすいのだ。例えば

  • 開発チームでは短期的には一つの技術、一つのミッションに集中することが効率的で成果が出やすい、これは合理的で最初のうちは成長が速い

  • 周囲もそれを期待する

  • それが楽しいときは良い。しかしそのうち成長が鈍化する。別のことをやりたくなったときに言い出しにくい。そして他の技術をよくわかっていないというのが状況を悪化させる

あなたは5年後の自分を想像できるだろうか。いや、別の質問に変える。あなたは3年前になにをやっていただろうか。5年前の自分は今の自分の状況を想像できただろうか。未来は誰にもわからないからそのわからない未来に対応できる手段をもっておくことは良いことだ。

ミラティブとエンジニア新卒採用

今、ミラティブにはインターンエンジニアが何人もいる。

世代的には23卒と24卒がいる。24卒から本格化しただけなので23卒もいる。というわけで、23卒も実力に自信があれば応募してほしい。2023年3月31日までわたしはあなたを待っている。

それはそれとして、24卒向けの新卒研修を今から作りはじめておこうと思う。理由は2点

  • 1年先行して、23卒向けに1回やってみる

  • 現在全く存在しないものを語るのはあまりに不誠実である

こういう形で今23卒研修を作っている。24卒はそれと似たようになると思ってほしい。

Bootcamp

はじめに

まず最初に、これは現在作成中のものなので多くの変更が入る可能性がある。これだけは注意してもらいたい。

研修の目的

次の3点である。

  • 【短期】配属後に最速で学び、チームに貢献できる人材になるようにする

  • 【中期】ミラティブを担う人材となるように基礎を固める

  • 【長期】将来『本当にやりたいこと』が見つかったとき、世界に強く影響を出す傑出した人材になれるようにする

研修のコンセプト

『正しいことを正しく学ぶ』

元ネタ

(この本のタイトルはユーモアを効かせている。本の内容はプロダクトマネジメントで、その趣旨は「不確実性が高く何が正しいのかわからない状況下で、どうやったら価値のあるプロダクトを作れるのか」)

特に大事にしたい考え方は

  • 今学ばないと後で学びにくいものを学ぶ

  • 配属先に関わらず必要なものは共通科目として効率的に学習する

  • 配属したら接しない可能性の高い部署外のメンバーと積極的に交流する

  • 『ミラティブ的であること』を学び、既存のミラティブメンバーよりも『ミラティブ的である』状態を目指す(矛盾しているかもしれないが新卒だからできることもある)

研修中の行動指針

会社の行動指針ではなく、研修用の行動指針を使おうと思う。というのもスタートアップの行動指針はスタートアップに慣れている人向けに設計されているため、おそらく新卒には使いにくいと思うからだ。そもそも、24年4月時点で会社の行動指針が変わっている可能性もあるから、そこに依存しないほうが良い。

こんな感じのものを想定している(完成度が低いので全部変えそう)

  • バリューを出す

  • ポジションをとる

  • 忘れ、観察し、洞察し、学び直す(Unlearning)

  • 失敗を許す

  • 謙虚、尊敬、信頼(HRT)

できるだけ平易で出典が存在するものを使おうと思う(いっそのこと行動指針を作ること自体を研修に組み込んだらどうか)。

研修期間

2ヶ月を想定している。4月1日に入社式とオリエンテーション、4月は主に座学、5月は主にチーム開発、5月の終わり頃にチーム配属を決定、6月から各チームで学びつつ活躍してもらう。

研修場所

最初は仲の良い知り合いができたほうが良いだろうから、リモートワークではなく、オフィス出社とするか適当な場所を借りるかすると思う。配属後はチームの方針によるが、ベースはリモートワークでたまに集まるという形が多くなると思う(オフィスをワークスペースとして利用したいならいつでも利用して良い)。ただし、9月までは出社という形のほうが安心感があるかもしれないのでここは要検討(23卒に関してはおそらくリモートでやりきる)。

研修内容

23卒のスケジュールに合わせてここまで作った。

23卒エンジニア用研修スケジュール(11月草案)

大幅に変更されるかもしれないということをあらためて言っておく

ミラティブらしく、プロダクトマネジメントコミュニティマネジメントを学べるようにしておく(ゲームの作り方も入れた方が良いだろうか、意見求む)。

また、教科書になる本を用意して自力で学習しやすいようにしておく(会社が買って提供したほうが良さそう)。

Next Steps

研修後の働き方

インターン経験のある学生は知っているかもしれないが、ここまできっちりカリキュラムをくむのは研修期間までで、各チームに配属されたあとは各チームの方針に従う。基本的には次の通り

  • (2022年11月時点)就業時間は午前10時30分から午後19時30分、1時間の休憩を自由にとる(フレックスタイム制のため実際には融通が効く。ただしチーム開発時には同期的な朝会は重要であると考えるため、先の就業時間が実務に近いと考えてもらうと良い)

  • エンジニアはいくつかのMTGや1on1以外の時間は開発している

  • 勉強会や社外イベントは自由に行って良い

  • リモート可、オフィスをワークスペースとして利用するのも当然可

発信に関しては、こちらを参照してほしい。

配属について

これもよく聞かれるので書いておく。配属で重視するのは次の3点

  • 各チームのMTGに出て、いろいろなメンバーと話す機会を多く設ける

  • 本人の意思はヒアリングする

  • 1年が終わったときの、本人の成長速度が最大になるような配属がされる

2つ目と3つ目が衝突したらどうするか、ケースバイケースだが誠実のために言うと、最初の1年では成長の方が重要だ。能力があればやりたいことは2年目からできる。逆は難しい。

異動について

私の基本的な考え方として、エンジニアは色々な技術に触れると良い。いわゆるT字型の人材というもので

  • 特定の領域に強い専門性を持つ

  • 広く専門性をもつ

この2つを両立するのが優れたソフトウェアエンジニアだと思う。この観点で、適当なタイミングで異動することにわたしは賛成する。私の仕事はこれを手助けすることだから

  • 研修中に広い技術領域に触れる

  • 研修中に専門外のメンバーやコミュニティ(社内/社外)に触れる

  • 専門性は各チームに配属された後に深める(こちらの期間の方が長い)

これによって、1年後の異動が容易にできるようにする。ただし、全員が色々なことをやりたいというわけでもないしタイミングもあるから、2年目以降は人によってかなりスタイルが変わると思う(まだやりきっていないとか、一つのことに集中したいという人もいる)。

評価について

これもよく聞かれるので書いておく。2022年11月時点で次の評価制度を運用している。

エンジニアについては

新卒用の制度というものは考えていないが、新卒の場合、内定から入社までの期間が長いことと、最初の半年で急激に成長するケースがあるため、初回評価あるいは入社時点での評価を柔軟に調整できる仕組みを検討している。

Open Campus

社外公開

ふと思った。これやるの23年4月だから、24卒と25卒の学生はこれに参加できる。そもそも前半の座学はミラティブ特有と言うより一般的な内容なんだからこれ公開すればいいんじゃないか

というわけで参加者がいるかいないかわからないが、配信していこうという気持ちでいる。

社内公開

別のことを思った。社外以前に社内メンバーはいつでも参加できるようにすればいいのではないか。できない理由がない。どう考えても開放したほうが良い。

そういうわけで23年の4月と5月は社内向けには勉強会祭りしようかという気持ちでいる。

おわりに

わたしが新卒採用向けの情報をnoteに書くのは、これが新卒選考の候補者になるかもしれない学生に対する『わかりあう願いをつなぐ』思いによるものである。これによってミラティブの理解が進んでくれたらなら嬉しい。

前回記事

以下、宣伝

おまけ

問題:この研修は誰がつくっているのか

答え:CTOが全部作っています

ミラティブでは最強の新卒研修を作りたいメンバーも募集中です!

スタートアップなのに新卒研修を2年前から作り込みたい人も募集中です!

さらに、一緒にエンジニア研修をやりたい会社さまも募集中です!


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