のみもの@ミラティブ

たびするのみもの。Mirrativ, Inc. ex-CTO。スタートアップとかエンジニアとか組織論みたいな個人の学びをメモっていく。ミラティブ←無職←DONUTS←研究者/PhD

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ねこひねりの物理学

なぜ我々は三角関数や運動方程式を学ぶのか? なんの役にも立たないのではないか? それはねこを知るためにあったのだ 問題人類は経験的に知っていた ねこは落下するときに足側から着地する さらに 落ちる瞬間は全く回転しておらず、背中側から落ちたとして 空中で体を捻る動作だけで、足側から着地できる これが明らかになるのは、十分に解像度の高い撮影が可能になった後である。時は1894年。 それまでは足で蹴るなど多少回転がついているとか尻尾を振ってその反動を利用していると

    • 新規事業とソフトウェアエンジニアリングの葛藤

      新規事業とソフトウェアエンジニアリングってそんなに相性良くない気がするけどどうするかというメモ はじめにソフトウェアエンジニアリングに係るプラクティスの多くは、変化を伴う長期において力を発揮するものだ。 一方、新規事業あるいはスタートアップの初期においては、その長期が存在するかどうか自体が不明だ。また、スタートアップは生き残るためにピボットするときがある。そのときに、ソフトウェアエンジニアリング自体が必要かどうかも不明だ。もしかしたら何も作らないほうがいいかもしれない。そ

      • レイマーチングの復習

        久方ぶりにUnityを更新したのでレイマーチングについて書く。 光を制するものはレンダリングを制するのだ。 光の反射レイマーチング(ray marching)はレイトレーシング(ray tracing)の一種である。レイトレーシングの前に、普通のシェーディング(shading)について説明する。ゲームのような3Dグラフィックを計算するとき、色(color)をどう計算しているか。 シェーディング 光は物質にあたった時、いろいろな方向に反射する。 このことを前提に陰影を

        • 確率と人類の歩み

          帰ってきた数学 今日は確率の歴史をかいていこう 確率の歩み概略 ChatGPTより 完璧すぎる。 存在しない数 以前、虚数について書いた 負の数(negative number)が議論されるようになったのは16世紀以降である。存在しない数を考えるというのはそれくらいに難しい。 不確かさ(uncertainty)も同様に見えないし存在しない数である。全く直感的ではない。すべての数は決まっていると考えるほうがずっと直感的だ。 確率は中世までゲームやギャンブルで研

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          朝型と夜型の話

          これをみていた 思ったことを徒然なるままに書く。 専門家ではないです。また、本編を見ていないのでずれていることを書いているかも。 朝型夜型と遺伝子朝型と夜型は遺伝子によって決まるらしい。そうであれば優劣を議論すること自体がナンセンスだと思うが。 そもそも夜にまとめて寝る哺乳類ってどれだけいるんだろうか。 猫は寝たり起きたりする。 群れない動物の場合、熟睡することは自身を危険にさらすからこういうサイクルになるのだろう。 犬のほうがもう少し人間に近い。朝に強い個体と

          エアコンと圧力鍋で理解するボイル・シャルルの法則

          今日はたぶん熱力学、化学ではなく物理の側から 熱を制するものはQoLを制するのだ ボイル・シャルルの法則圧力と体積と温度 wikipediaによると $${P}$$を圧力、$${V}$$を体積、$${T}$$を温度とすると次が成り立つ。 $$ \displaystyle \frac{PV}{T} = k $$ ただし、$${k}$$は定数。これら3つはどれかが変化すると別のどれかも変化する、そしてそれらをまとめたものは一定であるということを意味する。体積については

          エアコンと圧力鍋で理解するボイル・シャルルの法則

          給与体系のトリレンマ

          デフレが終わりインフレ時代に入るとき、給与体系について考える 流動性の罠ここではベンチャーっぽい会社を想定する。会社で働くある社員について パフォーマンスが悪いため給与を下げたい ただし、その社員の給与が給与テーブルの下限近くに張り付いている こういう場合にどうするか。例えば「3万円下げたいが3万円下げると等級レンジに収まらない。等級を下げたいわけではない」。こういうことはある。上げたい場合にも同じことはおきるが、上げる場合のほうが取れる選択肢が多い。実際にどう対応す

          給与体系のトリレンマ

          リモートワークとコミュニケーションのグラフ

          以前、コミュニケーションはグラフで表現できると考えた。 このときは、組織図をイメージしていたが今回はリモートと物理という観点で考えてみる。 リモートの弊害とその是正リモートワーク よく言われるリモートワークの利点は 移動が不要 作業に集中しやすい 欠点として表面化しやすいのは コミュニケーションの不足 マネジメントの難化 組織の生産性が個人の生産性とそのネットワークから計算できると考えると、前者を効率的にしやすいのがリモートワークで、後者を効率的にしやすいの

          リモートワークとコミュニケーションのグラフ

          CxOがnoteを100本書いた感想

          今回で100本目のnoteになる。 ここに至る記録と記憶をここに記す。 推移と字数本数の推移、2022年12月までは毎週、それ以降は毎月書くようにした。 字数の推移、28万字書いた。1本あたりの平均は2800字程度だった。 テックブログとzennをあわせると30万字くらい書いている。 レコード最初の記事(2021年10月5日) 最もスキが多い記事、組織論 2番目にスキが多い記事、評価制度の更新 3番目にスキが多い記事、確率(なんで) 感想以前に得られた感想と

          CxOがnoteを100本書いた感想

          集合知と多様性の数学

          これを見ていた 集合知が働く、あるいは働かないのはいかなるときか 自分で計算してみる 多様性予測定理基本的な考え方は次の通り 平均個人誤差(個人の予測の誤差の平均)は集団誤差(個人の平均を予測としたときの誤差)はよりも大きくなり、その差分は個人の分散に等しい。 ここでは予測すべき変数が複数ある場合を想定する。確率変数として$${x_{ij}}$$を考える。ここで、$${i = 1 \cdots m}$$は予測されるべき値、$${j = 1 \cdots n}$$は予

          集合知と多様性の数学

          生産性のモデルを考える日

          働く人の生産性について考えてみる。結論として(計算に)失敗している。特に有益ななにかは産まない。 生産性労働生産性の定義は この答えは labour productivity = output volume / labor input use これだけ? 古典的な経済学ならばこれで十分だろう。ただ、現代の組織論にこれを適用するのはちょっと無理がある。 もっと研究してそうな人が絶対いそうだが、すべてを無視して自分で考えてみる。 製造仕入れて、作って、売る 簡単なモ

          生産性のモデルを考える日

          相対性理論の入門、後編

          前回の続き 今回は重力を考える。ふんわりまとめていきたい。 物体が等速直線運動する系にあるとき、距離や時間が伸縮することは前回まとめた。では、等加速度直線運動する系にあるときには何が起きるか。 はじめにエレベーターの思考実験 あなたがエレベーターの中にいるとき、次の2つは区別できない 重力が存在する状況で、エレベーターが止まっている 重力は存在しないが、重力と同じ加速度でエレベーターが上昇している ところで、後者の場合で水平方向に光を出したらどう見えると思うか。

          相対性理論の入門、後編

          2023年、おすすめ読んだ本

          おそらく今年最後のnote、読んだ本を紹介する。 面白かった本スタッフエンジニア 個人的には今年最も面白かった本。管理職ではない技術職のキャリアパスについて。事業や経営に強いインパクトを与え、付加価値を生み出すためにどのようなリーダーシップを持つべきか。いわゆる職人的なエンジニアというより、技術系のビジネスパーソンとして生きる必要があるということが書かれている。 GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた 個人的には今年2番目に面白かった本。リモートワー

          2023年、おすすめ読んだ本

          相対性理論の入門、前編

          帰ってきた物理学 量子力学は小さな世界で物理量が確率的であることを記述する。一方、相対性理論は大きな世界で時間と空間が歪むことを記述する。 空間を歪ませる正体は速度と重力である。速度を論じるのが特殊相対性理論で、重力を考慮すると一般相対性理論になる。 今日は速度の方を扱う。ちなみに質量とエネルギーもおかしなことになる。 ガリレイと相対性原理等速直線運動 「位置と時間と速度の関係」 ある物体が時刻$${t}$$に位置$${x}$$にあるとする、このとき速度$${v}

          相対性理論の入門、前編

          わかりあう願いとすれ違う依頼

          わかりあおうとする技術 続き すれ違うお願い架空の人物アリスがボブにお願いをする。 ここでのお願いとは「業務上の依頼」と理解してもらいたい。 仕様の修正を依頼する 面接の対応を依頼する 目的が共有される限りにおいてあまり問題は起きないだろう。組織において長期的関係が成立するなら、貸し借りがバランスする。自分が借りた量と貸した量が一致するようにお願いするし手伝ったりする。 一方、得られる効果が不確実な依頼はどうか この部分を追加で実装できないか 今月中に記事を

          わかりあう願いとすれ違う依頼

          不確実を提供するビジネス

          ビジネスをB2BとB2Cの2通りに分けることにほんのり疑問を抱いていた。 自己解決したのでここにしたためる。 B2B vs B2Cお役立ち情報をお借りする。 B2Bは B2Cは なるほど 誰に何を届けるか商売の基本は「誰に」「何を」提供するかである。 B2BとB2Cは「誰に提供するか」という問題で、何を提供するかについて触れていない。何を提供するかを考えよう。 B2Bはエンドユーザーに届く前のモノやサービスを提供するから、それは確実に必要なものかあったほうが確

          不確実を提供するビジネス