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POD(プリント・オン・デマンド)での出版を探る① 合弁会社が誕生するほどの注目分野

情報サイト「プレジデントオンライン」に、日本で最も権威のある美術展の日展と、上下関係が厳しく、金銭体質と言われている書道界の実態を追ったレポートを書きました。お時間のあるときに読んでみてください。

「週刊文春」の取材を受け、宝塚歌劇団を傘下に持つ阪急阪神ホールディングスのコーポレートガバナンス(企業統治)についてコメントさせていただきました(2024年1月4・11日号)。タイトルは「宝塚『闇の金』」です。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、宝塚歌劇団と阪急阪神ホールディングスが改革すべきこと、急務の問題について記事(第2弾)を書かせていただきました。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、女性の社外取締役や女性のアナウンサー、アスリート、タレントとの関わりについて記事を書かせていただきました。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、宝塚歌劇団の劇団員の死や宝塚歌劇団の記者会見、阪急阪神ホールディングスの会長や社長の減給処分について記事を書かせていただきました。お時間のあるときに読んでみてください。

小説投稿サイトに投稿されている小説はライトノベルが多い。読者層も若い人が中心。小説投稿サイトでの小説の公開を検討したが、私が書いたビジネスの世界、企業人のビヘイビアを描いた小説は「小説投稿サイトの読者と合っていないのでは」という思いが強くなった。


小説投稿サイトにない小説ジャンル

それを示すかのように、小説投稿サイトの多くで「経済小説」「ビジネス小説」というジャンルが見当たらない。

20万字ほどの小説の一部を小説投稿サイトに掲載して、その後、全編を盛り込んだ書籍の出版につなげようと考えてきた。だが、読者が読みたい小説と、私が発表しようとしている小説の間でミスマッチ(釣り合わない組み合わせ)が生じて、読者の支持が得られそうにない。

小説投稿サイトはさまざまな文学賞や新人賞を創設しているが、そうした文学賞の対象に沿った小説ではないし、投稿サイトのランキング上位に入る小説でもない。投稿サイトにアップした小説を読んだ編集者から、書籍化の声が掛かるとも思えない。

「新人文学賞を受賞し、箔が付いた小説家でないと、文芸の編集者には相手にされない」というメッセ-ジは今も耳に残っている。

小説投稿サイトでデビューして、書籍化を実現する。投稿サイトで注目されている作品をチェックすると、私の小説の場合、関心を呼びそうもないテーマなので、書籍化はあまり現実的ではない。

異世界や冒険ファンタジーなど、テーマや設定が若い読者向けの小説であるなら、あるいは作品を次々と書きながら小説家を目指そうという人には、小説投稿サイトは有用だと思う。

「出版社を舞台にし、ビジネスの世界を描いた長編小説を出版したい」という希望は叶えられそうにない。

だが、小説投稿サイトを調べていて、貴重な経験をした。多くの人々が真摯に小説と向き合い、多くの読者に読んでもらいたいと、闘い続けている姿に触れたことだ。

さまざまな刺激を受け、何としても出版したいという思いが強くなり、別の手段を考えることにした。

必要な時に必要な量だけ印刷する

客の注文があった時点で、書籍を印刷・製本して出荷するPOD(プリント・オン・デマンド、オンデマンド印刷)を活用した出版の方法を探ってみた。

プリント・オン・デマンドは必要な時に、必要なデータを、必要な量だけ印刷するもの。オンデマンド印刷の強みは、小ロットでの印刷が可能で、在庫を抱えなくていい点だ。従来の印刷方式は作業工程が多く複雑であったが、PODでは印刷と製本が簡単にできる。

学術書、専門書、絶版になった本の復刻、自費出版など、さまざまな用途で利用されている。

印刷方法について少し補足しておこう。商業出版で紙の書籍を販売する場合、1000部、2000部といった数を印刷しなければ採算に乗りにくい。大量印刷で利用されているのがオフセット印刷だ。

オフセット印刷の作業プロセスは、DTP(Desktop Publishing)による版下の作成 → 製版 → 刷版(印刷するときに使用する版のことで、文字や図を反転させたもの) → 印刷の順である。

オフセットというのは、刷版についたインキを、ブランケットと呼ばれる樹脂やゴム製の転写ローラーに移し(Off)、ブランケットを介して印刷用紙に転写(Set)し、版と用紙は直接触れない。このためオフセット印刷と呼ばれている。

POD(オンデマンド印刷)は版が不要なため、コストを低く抑えられ、品質の高い印刷が少部数から可能になる。

一方で、PODにはデメリットもある。PODで用いる高細密のトナーは気温の影響を受けやすく、色が安定しない問題がある。小説などの単色の印刷でも、PODはオフセット印刷に比べると、質が落ちる。

また、従来の出版方式では、印刷部数が増えるごとに1部当たりの単価が下がる量産効果が出るが、PODでの出版は1部でも1000部でも、1部当たりの単価は変わらない。量産効果が出ないこともデメリットの一つ。

このようにデメリットがあるものの、PODは小ロットでの印刷市場で急速に広がっている。

アマゾンジャパンが2011年4月に始めたアマゾンPODは紙ベースの書籍を出版するサービスで、印刷・製本・出荷をアマゾンが一括で行う。希望すれば、アマゾンで流通販売まで請け負ってもらえる。

アマゾンとDNP(大日本印刷)は「プリント・オン・デマンド(POD)プログラム」を開発し、取次企業や出版社を通じてサービスを提供している。「プリント・オン・デマンド・プログラム」に参加する企業は以下の通り。

PODプログラムへの参加企業

PUBFUN(パブファン)
学研プラス
クリーク・アンド・リバー社
ゴマブックス
日本図書館事業協会
モバイルブック・ジェーピー
ワイズネット

POD事業を行なってきたインプレスR&Dの親会社、インプレスホールディングス(インプレスHD、上場企業)とメディアドゥ(上場企業)はPOD出版サービスで国内最大規模となる合弁会社、PUBFUN(パブファン)を2022年4月に設立した。

インプレスR&Dが手掛けるのが、個人向けPODサービスに強みを持つ「ネクパブ・オーサーズプレス」で、メディアドゥが手掛けるのは、法人向けサービスの「PUBRID(パブリッド)」。

個人向け、法人向けという両者の強みを生かし、POD市場の拡大を加速させるため、2つの事業を統合した。ちなみにPUBFUN(パブファン)の出資比率はインプレスHDが51%で、メディアドゥ が49%。

PUBFUNは、日本最大規模のプリント・オン・デマンド(POD)サービス会社で、出版社や法人を対象とした「PUBRID(パブリッド)」と、インプレスR&DのNextPublishing事業から引き継いだ個人対象の「ネクパブ・オーサーズプレス」の双方のPODサービスを提供していく。

メディアドゥの子会社が小説投稿サイトを運営

PUBFUNでは、最近注目されている「ひとり出版社」を簡単に立ち上げることができ、POD事業を新たに始めるチャンスが個人や出版社以外の企業・団体に広がると見られる。

メディアドゥの子会社、エブリスタが運営する小説投稿サイト「エブリスタ」、さらにインプレスグループの出版社(インプレス、山と溪谷社、イカロス出版、近代科学社、天夢人、リットーミュージックなど)とのシナジー効果も狙っている。

今後、小説投稿サイト「エブリスタ」に投稿された小説がPODで出版しやすくなるかもしれない。次回は、PODで出版する費用について検討してみたい。(敬称略)

アマゾンのキンドル出版で、2023年8月、ペーパーバックと電子書籍の小説が発売されました。「権力は腐敗する」「権力の横暴や不正を許さない」をテーマにしており、お時間のある方はお読みください。
『黒い糸とマンティスの斧』 前原進之介著

2023年9月25日発売の「週刊現代」で『黒い糸とマンティスの斧』が紹介され、9月27日にネットで配信されました。「現代ビジネス 黒い糸とマンティスの斧」で検索すると、記事が出てきます。時間があるときにお読みいただければ幸いです。


この連載記事は、以下のような流れになっています。
1 小説を書きたいと思い立った「いきさつ」
2 どうしたら小説が書けるようになるの?
3 小説を上手く書くために小説講座を探そう 
4 どの文学賞を受賞すると作家になれるの?
5 文学賞に落選。心機一転再スタートを切る
6 多くの人が小説家を名乗れる時代になった
7 POD(プリント・オン・デマンド)での出版を探る

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