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【番外編】人間交差点 -ミスiD2018から1年、交差した沢山の人生-

ぬるめろぐ vol.0 朴ゆすら生誕祭

2018年10月29日、午後6時過ぎ。西武新宿駅沿いの道にあるダイナーっぽい店で、窓際のぼっち席に座り、カードにメッセージを書いていた。着いた頃は夕方だったが、書いているうちに日が沈み、窓ガラスの向こうの新宿の街は徐々に本気を出し始めていた。
書き終えたカードをプレゼントの袋に入れ、店を出た。「ぬるめろぐ vol.0 朴ゆすら生誕祭」の会場、Naked Loftに向かう。去年のミスiDで大山卓也賞を受賞した朴ゆすら(えのもと ゆすら=えもゆす※)の、人生初の主催イベントだ。

※私の中では、彼女のことを「えもゆす」と書くのが一番しっくりくる。
年齢差を考えると「ゆすらちゃん」でOKな気もしつつ、彼女の鋭さを考えるとちゃん付けで愛でるアプローチを取るのはちょっと違うかなーと思う。彼女のビジュアルは小柄で可愛いギャルなのだが、そういう要素より言葉を売りにする人なので。でもイベントではフレンドリーに接してくれるから「ゆすらさん」は硬すぎる…。そんなあれこれを経て、彼女が自称しているあだ名「えもゆす」が自然かなぁ、という結論になった。
「えもゆす」は「モノリス」(映画『猿の惑星』に出てくる謎の黒い石板)と2文字被っていることもあり、知り尽くすことができない存在への畏敬の念を思い起こさせたりも…しないですかね。私だけですかね。

開始時間から少し遅れて会場に着くと、店内前方の細長いテーブルに主催のえもゆすと4人のゲストが座り、くつろいだ感じでトークを始めていた。昨年の7月までは他人同士だった5人が選考期間中に仲良くなり、ミスiDフェスの後もこうして集まっているということは、他人事ながら嬉しい。女の子同士がグランプリの椅子を目指して潰し合うコンテストではないからこそ、こういうことも可能になるのだなーと思う。

今日は生誕祭ということで、まずはえもゆす、ゲスト、客席全体で乾杯。和やかな雰囲気の中、彼女の作った映像作品『suicide trip』の上映が始まった。
(映像の中では "suside trip" という表記になっていたが、スペルミスだそう…何らかの意味を込めてわざとそうしたのかと思ったけど違った…。)

『suicide trip』は10分ぐらいの短い作品で、女の子二人がデコられた寝室で仰向けに横たわっているシーンから始まり、二人が寂れた駅や気が生い茂った体育館の裏のような場所、街中のビルの屋上などを彷徨いながら断片的に言葉を交わす様子をカメラに収めたものだった。
明確なストーリーはなく、様々な景色の中で繰り広げられる会話劇、という感じ。

女の子の一方は白い服、もう一方は黒い服を着ている。
汚されないままでいることと何かを得るために汚れること、どちらが正解なのか。どうすれば満たされるのか。二人の会話を正確には覚えていないが、そんなテーマが語られていた記憶がある。えもゆすの抱く人生の問いや生き辛さが静かに迫ってくる、ひりひりした作品だった。
なお、この映像は近日中にYoutubeにアップされるそう。

なお、最初のシーンの美術は、ミスiD2019&ぼく(選考委員)たちの失敗賞を授与されたきのしたまこちゃんによるもの。キャラや喋りが面白いだけでなく、美的センスが求められる仕事もしっかりこなす人なんだと分かった。会場に本人も来ており、えもゆすに紹介された時の腰の低い態度が印象的だった…1ヶ月後にはミスiDに選ばれる未来が待っていたというのにねぇ。

そして彼女の隣には、ミスiD2019サバイバル賞を受章したあにお天湯ちゃんも。
この時の彼女とのやりとりは、以前アップしたnoteで触れています:

作品鑑賞の後は、ゲスト4人のパフォーマンスタイム。

れ音ちゃんは、何と今日のためにオリジナル曲のミュージックビデオを作ってきた。歪んだ電子音やエフェクトのかかったれ音ちゃんの歌声(たまに絶叫?)が混じり合った曲が流れる中、部屋でケーキにホイップクリームを過剰に絞って食べるれ音ちゃん、トイレに流される食べ物、歩道橋やガードレールの脇で所在無げな態度のれ音ちゃんなどの映像が展開された。
孤独が極まって叫び出したくなる瞬間を思い起こさせるような、心をえぐってくる作品だった。華奢で儚い見た目からは分からない激しさを秘めた人だ…と感じた。これからも自分の音楽道を突き進んでほしい。

そして、映像の中に焼きそばが登場した時、にやっとしてしまった。えもゆすがカメラテスト、面接、ミスiDフェスの場で散々作り、食べてきた焼きそば。カメラテストで「自分はインスタント焼きそばを作るくらいしかできない」と語ったえもゆすにとっては、焼きそばは無力さの象徴だったはず。そこからスタートした彼女が、今は焼きそばなんかよりもっとすごいものを作れるようになったのだな…と思うと感慨深い。

美鈴ちゃんは、えもゆすと撮った写真のコラージュを連ねた映像に音楽(れ音ちゃんのやつよりファンタジック)を付けた動画に加え、カラフルにデコった可愛いケーキをプレゼントした。ケーキは見た目の美しさを優先した結果、「ろうそくの本数は適当」。そうだよな。見た目、大事よな。

なお、この日の美鈴ちゃんは、白い猫耳+黒いぴったりしたVネックワンピというかなりセクシーな格好だった。ノーブルな顔立ちと体型により、この格好でも決して下品にならず、絶妙だった。男女問わず、あの姿にどきっとしたのでは…!
美鈴ちゃんは被写体活動に加え、音楽活動も始めたという。どんどん殻を破ってゆく姿は眩しい。

茉弥ちゃんは、女の子ファンには嬉しいプチメイク講座を開講。コスメポーチからアイテムを出し、今日の顔を完成させるまでのプロセスを解説した。鼻筋やフェイスラインを美しく見せる工夫や可愛い目元の演出方法などについて彼女が研究してきた成果を見せてもらえる、かなり価値のある時間だった。
なお、茉弥ちゃんは現在、写真集を制作中とのこと。来年の3月、この日と同じNaked Loftで発売イベントを行うそうだ。

あと、この日の茉弥ちゃんは新しく買ったという紫のロングブーツを履いていたのだが、ドラァグクイーンっぽいデザインに驚いた。可愛さより強さを打ち出す方向…?
ツイッターでの発言も、去年より芯が強くなっている印象。どんな大人になってゆくのか密かに注目している。

そして藍染カレンちゃん。冒頭にSNSに書かないでほしいという断りがあったため、彼女がやったことの記述は伏せる。ただ、彼女の目力、キレ、ハロプロ愛を強く印象付けるものを見た、とだけ言っておきます♡

去年11月にミスiDで大郷剛賞を受賞してから1年、カレンちゃんは東京に移住し、禁断の多数決に入り、ZOCにも入り、今や完全にアイドルに。堂々としていて素敵だった。赤い髪も似合っていた。
あとイベントの仕切りが上手いことも判明。ミスiD関連イベントは総じてグダグダになりがちだが、今回はトークを彼女がいい感じに回してくれたお陰でスムーズに進行した。逸材!

ゲストの時間が終わり、出演者の私物くじ引きが行われた。お菓子、携帯ケース、リップクリームなどの様々な私物が用意され、ラッキーな客の手に渡った。私は当たらなかった…やはり日頃の行いなのか。

物販タイムに入る前、えもゆすが締めの挨拶をした。
努力せず妥協して生きていく方が楽かもしれないけど、やっぱり自分は理想を追っていきたい。やりたいことを諦めずに生きていきたい。
正確に言葉を覚えているわけではないが、こんな内容だった。

物販で彼女の列に並び、プレゼントを渡した。近くのテーブルに美鈴ちゃんのケーキがあったので、それを入れてチェキを撮ってもらった。
プレゼントは本と漫画、各1冊。

えもゆすとの1年と、何とも言えない関係

最初にえもゆすと対面したのは、去年の10月末、下北沢の小さなギャラリーだった。そこではポートレート写真家・松田大輔さんの個展をやっていて、被写体として撮影に参加した彼女も在廊していた。まだミスiDフェスの前で、彼女の受賞が発表されていなかった時だ。

何故彼女を応援しようと思ったのかは、当時のブログに書いた通りだ。
http://donichishukujitsu.blogspot.com/2017/11/id2018.html

その後、彼女はめでたく大山卓也賞を受賞。
しかし翌年に受験を控えた彼女のツイッターが、年末にかけて荒れ始めることになる。

えもゆすはツイッターで、英語が苦手だと語っていた。
少しでも苦手意識を緩和して受験に臨んでほしい…とあれこれ考えていて、ふとアイデアを思い付いてしまった。
私は彼女が受けるセンター試験の模擬問題を作り、ブログにアップした。問題文が全てミスiD2018ファイナリストおよび選考委員で構成されている「センター試験 英語対策 featuring ミスiD2018」だ。http://donichishukujitsu.blogspot.com/2017/12/featuring-id2018.html

アップした直後に彼女にDMで告知し、2ヶ月ぐらいは音沙汰がなかった。しかし翌年2月、不意に彼女がツイッターで拡散してくれた。どういう心境の変化があったのかは聞いていないが、一応喜んでもらえたのかなーと思っている。

前回の記事「夢を語ること」でも触れたように、私は20代後半のプライベートな時間をほぼ小説を書くことに費やし、しかも結果を出せなかった人間である。

プライベートで人と新しく関係を作り、その人の人生を豊かにするような活動を、4年ぐらい一切やってこなかった。もちろん小説はまだ見ぬ読者に向けて書いていたけど、その人たちに届くようなクオリティのものができなかった以上、私がやってきたことは結局誰のためにもなっていない。

30代になり、この時期の過ごし方を振り返る度に、自由に使える時間を周囲の人のために費やすことから逃げ続けた自分なんかが、誰かの人生に参加してその人に何かを与えられるわけがない、という思いに苛まれた。
学生時代から仲良くしてくれていた友人の何人かは結婚したり子供を産んだりして気軽に会える関係ではなくなり、取り残された気持ちになることも増えた。自分は人生の時間配分を間違えた救いようのない人間だと感じた。社会に出てから、会社と大学の同窓会報の編集部(ボランティア)から与えられたタスクをこなす形でなら人の役に立てたけど、プライベートで自分のアイデアを形にして誰かの人生を豊かにすることはできなかった。自分は所詮、所属している組織の要求に応える以外の形で人の人生に貢献できないのだから、誰かとプライベートな時間をシェアして一緒に幸せになるなんて高望みなんだと感じていた。

でも、自分の思い付きを形にした「センター試験 英語対策 featuring ミスiD2018」が受け入れられたことで、私は自分にしかできないような形で誰かを楽しませることができるのかも、という自信が若干ついた。自分の発想やクリエイティビティをもう少し信じてみようと思えた。
だからあのタイミングで私の人生に現れてくれたえもゆすには感謝しかない。ちょうど英語が苦手だった点も含めて。

えもゆすはミスiDが終わってからも、ブログやインスタグラムに言葉や写真をアップしている。映像作品『suicide trip』も、近日中にユーチューブにアップされるとのこと。

朴ゆすらSNS:

LINEブログ:https://lineblog.me/milkroid/
インスタグラム:https://www.instagram.com/nullme_/
ツイッター:https://twitter.com/nullme_

また、彼女は2019年1月6日(日)、猟奇的ピンクという劇団の舞台に出演し、自作の詩を朗読する予定。(ミスiD2019ファイナリストのふじわらあやなちゃんも出演します…ミスiD好きな人は是非チェックを。)

彼女の活動の場が広がってゆくのは本当に嬉しい。今年も表現の世界に沢山の爪痕を残してほしいと思う。

最後に私のささやかな告知。
先日またしょうもないことを思い付いてしまいまして、来年のお正月にツイッターで何かやります。
センター英語対策に続き、謎の方向に発展した私のミスiD愛をお楽しみください。

水溶きかたくり子(土日に少しだけ呟く小林)ツイッター:
https://twitter.com/mizu_kata

次の記事はミスiD2019フェスの写真になる予定。
整理ができてないので今しばらくお待ちください。。。

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