mik.

とりとめもないお話

mik.

とりとめもないお話

マガジン

  • エッセイみたいなノリの作文

    大学の授業で書いた作文たちを載せます。

最近の記事

こんな夜には、イーロン・マスクに慰められたい

唐突ですが、なんもできなかった日ってありませんか。 今日は、あれをやろうと思ってたのに。 今日までにあれとそれを終わらせるはずだったのに。 別に何をしていたというわけでもない。気付いたら一日が終わってたって日が。 寝る前に、何とも言えない罪悪感というか、悔しさというか、ああ、私、またなんもできなかった、って。しんとした部屋で、時計の針をぼーっと眺めてたらなんかまた10分くらいたっちゃって、ああ〜ってなる、不健康な夜。 そういう夜、だれにでもあるのでしょうか。 例えば、

    • 嫉妬の魔物

      「その人に恋人ができたと想像して、嫉妬したらその人のこと好きだよ」 恋多き女が言ってた言葉。あながち間違っていない、いや真理だと思う。 この場合、嫉妬はリトマス試験紙だ。 その人の心の片隅に自分の居場所があって欲しいと思う気持ち。 本当は片隅なんかじゃなくて、100%自分で満たされてて欲しいという独りよがりな独占欲。 恋愛するとまもなくついてくる「嫉妬」という感情は毒々しくて、ドロドロしている。 「手の届かないような人には嫉妬心なんて湧かない」 またある人が言ってた言葉。

      • 縮む

        私の祖母の家は富山県にあり、すぐ目の前に神通川が流れている。かの有名な公害病で社会のテスト頻出の川だが、祖母の住んでいる地域は、あまり被害はなかったらしい。上流寄りの中流なので川底は深く、暗いエメラルドグリーンの水がどうどうと流れている。その大きな川には両岸を結ぶ大きな赤い橋がかかっていた。 この橋を渡った先には小学校があり、夏休みにはプールを開放していた。小学生の頃、私は夏休みの帰省には必ず水着を持っていって、そこのプールに入るのを楽しみにしていた。プールに行くために、お

        • いのち

          「あたし、けっこうやらかしてるの、知らないでしょ?」 「急に何、知らないけど」 一人暮らしのその子の家で、初めて宅飲みしたときのことだ。 「あたしさあ、実は、大学入る前に、遊んで遊んで遊びまくったの」 コツン、と彼女が飲みかけの缶チューハイを机に置いた。 「もう地元で取れる手玉は取れるだけ取って」 「すごいね」 「で、東京来てからさ、判明したんだよね。妊娠してるの」 「えっ」 「当時はまだ上京してさ、慣れないじゃん大学とか。そんな中で妊娠しましたとかほんと最悪すぎて。もう私は

        こんな夜には、イーロン・マスクに慰められたい

        マガジン

        • エッセイみたいなノリの作文
          4本

        記事

          他人の視線

          2020年11月、渋谷区幡ヶ谷でホームレスの女性が近所に住んでいる男性に殺害される事件が起きた。犯行動機は、目障りだったから。 当時、毎週新宿のホームレスの人たちを路上訪問をするというボランティアをやっていたため、私はそのニュースをよく覚えている。新宿を回っている中で、このボランティアの代表の人が「最近物騒な事件も起きてますんで、くれぐれもみなさん気をつけてくださいね」とホームレスの人たちに声かけしていた。 「目立っちまったんだろうな、そのバアさんも」。あるホームレスのお

          他人の視線