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嫉妬の魔物

「その人に恋人ができたと想像して、嫉妬したらその人のこと好きだよ」
恋多き女が言ってた言葉。あながち間違っていない、いや真理だと思う。

この場合、嫉妬はリトマス試験紙だ。
その人の心の片隅に自分の居場所があって欲しいと思う気持ち。
本当は片隅なんかじゃなくて、100%自分で満たされてて欲しいという独りよがりな独占欲。
恋愛するとまもなくついてくる「嫉妬」という感情は毒々しくて、ドロドロしている。

「手の届かないような人には嫉妬心なんて湧かない」
またある人が言ってた言葉。
たしかに、どんなにお金持ちでもビルゲイツには嫉妬しないし、
スクリーンの向こうのハリウッド女優にも嫉妬はしない。
大体いつも嫉妬する対象は、自分より一歩抜きん出ている「あの子」だ。
この場合、嫉妬はあと1センチの欲望である。

勉強してないって言いつつデキるあの子に負けたくなくて勉強するテスト前夜、
もっと綺麗な肌になりたいと思ってほんの少し多めにとった化粧水、
冷凍庫の扉に手をかけて、食べたい気持ちをグッと堪えた夜中のアイス、
「あの子じゃなくて私を見てよ」なんて言えるわけもないから積み重なる1センチの背伸び。
今の自分は、そんなあと1センチの背伸びが積み重なってでできている。

人のいいところはすぐに見つかるのに、自分を見るとないものばっかり。
「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」なんて
自分のこと相当好きじゃないと言えないよね、なんて小学生のうちから斜に構えていた
私はきっと根っからの嫉妬魔である。

そんな嫉妬深い自分が嫌いになることもあれば、
たまに必死に1センチ背伸びをする自分がとてつもなく可愛く思える瞬間もある。

嫉妬心がなければ、好きな自分に永遠に近づけないのかもしれない。
そう思うと、嫉妬の魔物もちょっと愛おしい。

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