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転ばぬ先のベトナム情報(4) 日系ITを避けるベトナム開発者

(ご注意)
この記事には日本式の方法に批判的な内容が含まれています。気分を害する目的で書いているわけではありませんので、「日本のやり方が良い」「外国に合わせるのは嫌だ」という方は読まないようお願いいたします。

円安が鮮明になり、日本へ「実習生」という枠組みで出稼ぎにくるベトナム人が困っているというニュースが増えていますが、円安がここまで進む前の昨年の時点でも、日本はオワコン、という声はベトナム人から(遠回しに)聞こえていましたし、5年前でもベトナムで「日本製品」を目にすることはグッと減っているのが現実です。

ランキングでも2021年に続きワースト2位


ベトナムに限った話でも無いようなのですが…


この記事でお伝えしたいこと

0. オフショアITなどの広告に騙されない
1.  日本が凄い、は過去のもの。日本人が上、は無い。
2.  日本式を外国人に強制するのは無理がある
3. 大戦時代の名残りの日本的価値観は嫌われる
4.  21世紀のマネジメントで共に働く重要さ
5. 避けられがちな日系でも人を集める裏技

上記のことは言われるまでもない、という方は時間の無駄ですので、この記事は飛ばしていただければと思いますmm 。

日系が避けられる理由

理由としていくつかあると思いますが、

  • 他の国の待遇がよい

  • 報酬が(欧米中企業より)低め

  • 技術が古い・作業内容の質が低い

  • うるさい、めんどくさい・コミュニケーション難

  • 風評・悪評

  • キャリアパスが先細り

が主なものではないかと思います。  
円安の2022年目れに差し掛かり、まだ日系に来るのはアニメなど文化的なこだわりがある人を除くと、以前に日本語を選択してしまって選択肢が日本になっている人や情弱(地方の人や頭の悪い人)、相対的に楽がしたいが多いと思われます。

ベトナムで人気がある国は?

ベトナムで日本の人気は現在どうでしょうか?

国内向けにCool Japanなど自画自賛を続けている間に日本の海外でのプレゼンスは小さいものになっていますが、たまに日本へ帰ると「日本はすごい!海外では感謝されている!」などと、日本から出たことがないのに思い込んでいる人が多いのには驚かされます。 海外に出ても旅行者や発注者としていけば、カネを払うのですから、お客である日本人が喜ぶことを言うのは当たり前で、各国の人に同じようなことを言っていると考えるくらいの想像力はほしいものです。

日本人のお客さんがくれば「日本大好き!日本凄い!」というのはあたりまえ。
筆者はガニ股で服装はスポーツウェア的なものが多いせいか、空港などで韓国人に間違われることが多いのですが、ベトナム人は筆者にまずは笑顔で「アニョハセヨ〜 we love korea ne!  」などと勝手に寄り添ってくれることが多いです(笑

ブランド力はアメリカがダントツ

現在のベトナムで圧倒的ブランド力があるのはアメリカで、これは皆さん異論の余地は無いのではないでしょうか。
元々テレビが面白くもなく娯楽の少なかったベトナムの人はスマホ漬け、お店の店員でも誰でもスマホをいじっています。コンテンツ娯楽=スマホでこの時点でプラットフォームはアメリカにぐっと寄りますが、 人気なのはiPhone で低所得なベトナムでも高額なiPhone人気は高く、多くの人がローンを組んで無理をしてでもiPhoneを購入、iPhone=アメリカですので中華圏の文化・影響は限定的です。

Amazonは進出していませんがエンターテインメントではアベンジャーズやNetflixの人気は高く、世界の他の国と同じく文化でもアメリカナイズが進んでいますし、音楽の傾向は韓国経由でアメリカンPOPがベトナムに入る形です。 また韓国ドラマも強い人気があります。 韓国はハリウッドに寄り添い国策でコンテンツを作っているのはご存知の通りです。

韓国の露出が圧倒的

アメリカについでコンテンツで人気は韓国。年代によっては同等レベルかそれ以上と言っていいかもしれません。
ベトナムで工業製品で圧倒的に露出が多いのは韓国です。車はKIAやHundaiが多く、ベトナムで生産をしているため関税なしで安く買える車種はネットタクシーなどでよく目にします。 Samsungも現地工場で生産しているため、ベトナムモデルのGalaxyの最上位機種であるSシリーズも購入可能です。家電もSamsung,LGはトップブランド。冷蔵庫やテレビはベトナムや中華より品質が良い韓国製はブランド力があります。
また、BTSなどKPOPは日本以上に大人気で、ベトナムPOPも韓国のコピーと言えるようなものが圧倒的に多い印象です。
ニュースなどでも、韓国企業の進出・直接投資FDIを意識した話題や文化的な交流の話をよく目にします。 

韓国はアメリカの戦略を見習い、文化面で進出してブランド力を上げる国策を取っているとも言われ、日本は古いアニメマンガ頼み(の割に政府は業界支援は微妙)で大きく遅れを取っている様に見えます。

労働者が足りないのは他の先進国も同じ

日本が稚拙な研修制度で社会問題となり炎上している一方、移民政策を真面目に取り組んできた欧州はベトナム人ももちろん取り込んでいます。
最近話題になったドイツの看護師助成は日本も真似を始めましたし、農業など様々な分野で優秀な労働者の奪い合いが進んでいます。
単に研修制度が手厚いだけでなく、その後の就職や移民へのキャリアパスがあり真剣に学び働く環境づくりは、今だけバイトがほしくあわよくば年金を支払わせようとするセコさが丸見えの日本とは比較になりません。
日本を目指すのは情報格差がある人や落ちこぼれた人であり、そうした人たちの犯罪が増えるのもあたり前のことかもしれません。

ベトナム人の海外労働の動向について㉕デンマーク|東城敬貴 keiki tojo @keitojo_jp #note https://note.com/k1tojo/n/n2f8cc80146ff

渡米してアメリカンドリーム、という人は多くアメリカ領事館の前はビザ取得の長蛇の列が名物となっています。アメリカとしても高止まりのIT技術者を安いベトナム人労働者で埋められるのは助かるでしょう。

日本ではあまり知られていませんが北米企業では多くのベトナム人技術者を雇用していて、たとえばスターバーックスでは1500人も雇われているそうです。

不人気な日本企業

日本の文化は人気があり、ドラえもん(のコピー品)は街中に溢れ知らない人は居ませんし、色々な意味で日本文化は一目置かれています。

また旅行に行きたい国としても人気が高いのもほかの国と同じです。日本は欧米や中国が占領していない数少ない国でざまざなま違いがありますので珍しさでは随一でしょう。 その上食事は安く美味しく、恥ずかしいことではありますがAVや18禁コンテンツの生産量世界一のおかげで日本人女性は良いということになっています。
(この話は別途。世界的に実はすごく有名なのです。)

しかし、日本企業の評判はかんばしくありません。

実習制度などの経験者の話

実習生制度が始まったのは1993年で、これまでに多くのベトナム人が日本で働き帰国をしています。 悪い評判ばかりが目に突く制度ですが、中には帰国後に大会社や政府で良いポジションに恵まれ大きく出世して財を成している人もいて一概に全て悪いということは無理がありますが、以前のように「日本でどうしても働きたい」というムードと違いベトナムでの評判も悪くなっているのは事実です。

また日本に留学してそのあと日系企業に就職をして帰国している中間層のベトナム人もいて、この人たちには更に悪い評価をされていると聞きます。

実習生の多くが農村や地方の情報や教育が低い地域出身で、低所得層や情弱であったりが多い一方で、留学をしている層は中間~富裕層です。
彼らはそこそこバイトもしながら大学で必死に勉強をした、実際に「優秀」な若者でありながら、日本で就職できるのは地方の工場で雑用や単純労働をさせられ、(学力や知性では劣る)日本人の同僚や上司には差別をされ、日本語の発音の訛りをバカにされて帰国します。

同質なムラ社会しか知らない日本ではこういう話題に事欠きません

こうした人たちが悔しい思いをしたことや、日本の差別や生産性が意外と低い現実を帰国してから話すのは無理のないことです。


部活文化・封建的な日系企業

年功序列、先輩後輩、お客様は神様、丁稚と奉公、時代劇や戦国時代に何故か例えてしまう、などという話は現在の日本でも(特に年配の人からは)よく目にします。
若い世代は確実に変わって来ていても、21世紀も2割を消化した現代において日本人のマインドは100年前からそれほど大きく変わってない所がたくさんあるでしょう。

習慣や価値観は…

特に特徴づけているのは学校文化。義務教育では何故か留年が無く先輩後輩の上下を学校が強制する封建的な部活文化などは、多くの日本人(男性)のマインドセットのベースとなっていると思いますが、海外では必ずしもこれは正義ではありません。
商取引は対等な交換であり、お客様が神様ということはもちろんありませんし、宗教色が強い国ではそもそも???でしかありません。

参考記事

しかし日系企業、とくに日本企業から派遣されてくる駐在社員は日本側の組織の一員であり、日本側のモラルや規範で仕事をしているため、現地の人・特にベトナムのような社会主義であったり後進国で社会規範がまるちがう国の人とは大きなギャップがうまれます。

こうした違いはバカに出来ない「前提の違い」となって問題の温床になりがいちです。
ベトナム人、特に男性の多くは日本人から見ると意志の弱い怠け者がおおく、できれば仕事は適当に済ませて家族や友達と楽しく過ごしたい、という人が圧倒的多数です。
こうした人たちにでいくらお客様が神様と言われても意味不明で、雇われているベトナム人にしてみれば「ここは俺の国だぜ?ルールは俺達が決めるんだぜ?」
となるのは自然なことです。
会話の中で調子を合わせるのは「カネのためにイヤイヤあわせる」程度のことだったりします。

日本人の管理者からすると「出来の悪い中学生に無理やり仕事をさせる」、というような状況になりがちです。

差別はベトナム現地の日本法人でも。。。

全ての会社がそうではありませんが、特に年配の方が経営している会社や精神論を振りかざすタイプの日本人が現地統括をしていて、ベトナム人職員に敬意を払わなかったり、ベトナムの規範では明らかに行き過ぎな侮辱をするような場面を、なんと度と無くみてきました。 一方で、判断が遅かったり非論理的な組織の理論、とくに日本側に寄り添い現地でしわ寄せ、というような事があからさまで信頼を失い、ベトナム人社員が常に日本人職員の陰口や揚げ足取りをするようになってしまった組織もありました。

外国人がお金・為替の優位性を背景に現地人を顎で使う、という状況にそもそも反感をいだきやすい土壌があります。日本軍が来て建物を接収する前はフランス人が支配していましたし、その後はアメリカが傀儡政府をつくって支配しようとしたり、戦争に混こまれたりと、外国人を心の底から信用する理由はほとんど無いと行って良い環境です。

オフィスで社員に謝罪を求めるなど、日本以外の先進国では訴訟になりかねませんが。。。

その前提があるにもかかわらず、些細なミスのたびに女子職員たちを並ばせて説教をしたり、甘い指示や翻訳で齟齬が起きやすい条件があっても、毎回間違いを指摘するようなマネジメントで単に感情的に嫌わられたり、ということは学校文化の延長で日本人が「正しい指導」だと勘違いしているわかりやすい例でしょう。

先生が偉い、という古い体質も欧米では変わりつつあり、小学校の学祭では生徒が楽しめるように先生が出し物をおこない、生徒は見る側、ということすらあるのが現代の学校教育のトレンドです。

運動会や部活でなぜかその分野の専門家ではない教師が怒鳴ったりしながら指導するのは第1次世界大戦で歩兵予備軍を大量育成する必要があった時代の名残だと言われていますが、先進国で続けているのは日本だけでしょう。
(これについては 名所Humankindでその必要性の面白い話がのっていますので興味のある方は是非)

https://www.amazon.co.jp/-/en/%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%83%B3-ebook/dp/B099Z4D5MK/ref=sr_1_1?qid=1667823955&refinements=p_27%3A%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%83%B3&s=books&sr=1-1

そうした「正しさ」を海外に持ち出したら反感を買うのは当たり前のことなのですが日系企業自体がその規範で運営されているために特に海外展開経験が無い企業やコンプライアンス規定のない若いIT企業ではトラブルになることが多いように思います。

マネジメントの前提の間違い

これまで見てきて、日系企業ではベトナム人だけでなく多くの人が働きづらい・ストレスが多いのではないかと感じています。
理由はマネジメントがうまく機能していないからです。

日本ではあまり知られていませんが、欧米を中心にマネジメントは大きく進歩していて、単に間違いを指摘する、というのはNGマネジメントの典型で頻繁に行えばマネージャー側が首になりかねない行為です。 
「え?マネージャーの仕事はチェックして指導するんじゃないの?」という意見がありそうですが、それだけしかしなかったら問題です。

起点となるplanningが明快でないことが多いのが日系の難点です

ITベンチャーなどではリーダーのカリスマや夢を語って求心力で仕事を進めるというのはどの国でもあることと思いますが、そうした特殊な「カルト」的な状況以外の、一般の業務でのマネジメントでは日系企業は能力が低いケースが多いように感じます。

上記の学校文化・空気で仕事をさせることが出来る日本社会と違い、海外では経営者と労働者はまったく別の立ち位置です。
マネージャーは労働者がよりよく仕事が出来るように知力を尽くし、労働者はより少ない労力でより多くを稼ごうとします。

日本のマネージャーはマネジメントの専門性がほとんど無く、労働者のマインドのまま肩書が変わっただけなのが一般的でしょう。「一緒に頑張ろう」という部活の先輩のような立ち位置です。 
また労働者の質が高く、実際の所マネジメントをしなくてもお題を出せばそれなりに仕事が進むのも事実です。
日本の労働者の質の高さは海外の経済評論家の言を出すまでもなく世界一です。

しかし海外での現実はでどうでしょう。 自分の評価をし、悪くすると首にすることすらあるマネージャーが仲間というのは無理がありますし、外国人であれば尚更でしょう。

低マネジメントが離職や敬遠の原因

経験者の間で日系企業が敬遠されるのは低めの給与低いマネジメント力が原因であると考えています。日式のマネジメントは

  • 指示がはっきりしない(まるなげ)

  • 文言が曖昧で文書がない(言語力が低い)

  • 誰か決めて責任をとるのかわからない(組織力・ガバナンスが低い)

  • インセンティブが不明 (収支・資本力

といったことが多く、少資本でベトナム進出する企業では特にこの雰囲気は大きいような気がします。 逆に言えば上記の部分で改善し、ともに働けば改善が見込めると考えます。
(大企業ではマネジメントの規範があり講習などもあり違いますので、あくまで方針がない企業の現地統括の話です)

こうした事は非効率・生産性の低下にも繋がり給与が他国より低め、ということになっているように思います。 

なんちゃって管理に味をしめるベトナム人

そんなことはない、優秀なベトナム人も日本を選んでいる!っという意見もあるかと思います。もちろんそういう方もたくさんいると思います。
が、英語が出来てイギリスやアメリカを目指して高収入を得ている人たちとの比較で人の質としてはどうでしょうか。

実際になぜ日系にいるのかと聞くと意外なことに「楽だから」というベトナム人も多いように思います。 先に上げた悪い理由を我慢ができれば実は楽なのが日系企業だからです。

日系企業はあまり解雇をせず、顔色をうかがって人を使うため厚顔無恥は人には居心地のよい環境になりがちです。
ベトナムは社会主義で雇用=契約であり、数回の契約更新のあとで「無限契約社員」にしなければなりません。 首に出来ないわけではないのですが役所の手続きが面倒で腰が引けるのは確かで、これに乗じて「仕事しなくても首にならないし」と言ってのけるベトナム人を何度も見ています。日本企業の経営者やマネージャーは解雇に慣れておらず、業務規程もきちんと整備がされていないことも多いですし、気分的にもタブー視しています。

また、ゆるいマネジメントや丸投げも逆手に取れば「言い訳天国」で、締め切り前になってあれこれ質問を大量にしてくるベトナム人もよく見ます。
日本的な考えで「先のことを何も考えてない、なぜ今」と説教モードになるマネージャーさんもいますが、相手は確信犯だったりします。(笑

また外国人と意思疎通をして作業をする中でサンクコストを気にしているマネージャーの心情を見透かしているベトナム人も多いでしょう。
これだけ手をかけて毎日説教して仕事をしてきたのだから。。。と首にしないであろう雰囲気を読んでいたり、本社側が首など厳しい采配をするの気にする文化を感じているのです。

(サンクコストとは)
https://makefri.jp/marketing/7242/

無能を晒したコロナ対策

日本が優秀、という伝説が大きく崩れた社会現象があります。コロナです。
ベトナムは問題も多いですが、指導層はエリートが多くコロナの対応は世界有数でした。 医療投資が行き渡っていないこともあり、状況がわからない2020年初頭では大惨事を避けるためいち早く外界との交通を遮断し、社会隔離を厳しく適用して乗り切りました。
社会隔離もいくつかのレベルをもうけたり、感染リスクにF0~F4などレベルを設定して管理し、軍隊が出動して食料の配給を配るなど、適時様々な対応をしていましたが、日本はダイアモンドプリセンス号に始まりオリンピック開催で蔓延したあとにやっと厳しい入国制限を(ワクチンが行き渡っているのに)続けたり、チグハグな政策が日本を知るベトナムの間で笑いのネタになっていました。「またやってるよ」という感じです。

こうした事もあり、日本人が優秀、日本がすごい!という海外の評価・ブランド力は多くの場面で過去のものになっているのが現実ですので、そうした意識のままベトナム人のマネジメントをするのは禁物です。

日系ITでも優秀なベトナム人を獲得する裏技

不人気な日系ITも外資系であり、ベトナム企業より給与や待遇が良いケースがあるため、全くダメということではありません。
ベトナム企業は日系より遥かに厳しく、年配のマネージャーが怒鳴ったりサボっているとペナルティーがあったりと、同国人同士だからこそできるラフ管理もあるようですし、女性にセクハラなどは当たり前という話も聞きます。
ベトナム人だけの社会では、日本の昭和50年台と同じ風景なのかもしれません。

で、どうやって募集をするかですが、外資系=給与良い、という意識はあるので「日系」であることを表に出さずに、外資系とわかるように英語で募集をする、ということをしている日系IT企業さんも増えているようです。
社内でも「日系」ということは出さず、あくまで「世界水準」でマネジメントを行います。

これは実際に効果があるそうで、英語が出来る良い人材が来るそうです。

※英語が出来る=ITができる!ではない、という主張があるのはわかりますが、英語が出来る人=勉強をする人、と考えていただければわかりやすいかと思います。
ベトナム人で業務以外に自分で学ぶ人はあまり見ませんが、英語をある程度出来る人は独学独習している人が大半で、自分で頑張れる人なのです。

日本語 vs 英語 の現実

日系企業に務めると、キャリアパスが先細りになる理由は2つあります。
1つは日本独特の仕事の仕方やスピードが外の国やベトナム企業と違う点、
もう1つは日本語のコストです。

日系ITを目指すベトナム人は2流以下

例えば5年日系で働いた時に事前に日本語をナン年もかけて学び、さらに5年間仕事をして日本語や日系の仕事の仕方を学んでも、(給与の良い)欧米企業ではさほど評価されないでしょう。
とくに日本語は漢字と文化に根ざした文法、言い回しがおおく非常に学習コストが大きな言語です。英語であればざっくり文法を学び、仕事に必要な定型文に慣れればあとは語彙だけである程度意志は通じますが、日本語ではそうは行きません。
そこにかかった時間や労力の分、プログラミングやインフラの経験を積んだ人のほうが現場では活躍する可能性が高いです。 

( かかるコスト > 将来に渡って得られる対価 ) で考えればできればコンピュータ・サイエンスの本場、英語圏でというは当たり前のことで、むしろなぜ日本語?というのが技術者としての素直な感想です。

正直なところ、日本語を学んでITという人は合理性が無いため、あまりITに対して真剣に考えてないのではないかと思います。
自分なら書籍も技術基盤も英語で提供されるのがわかりきっていて労働市場が広く単価が高い英語圏を目指します。 
あえて日系ITを目指すのは、「楽そう、楽しそう、競争したくない、情弱」、などなにか理由があるはずですが、日系ITの人たちは自分も含め、そういった不都合な真実を直視しないできたと思います。

英語の壁とメリット

英語嫌い、外国苦手な人が圧倒的に多い日本ですが、ベトナムでも英語がペラペラな人は少ないです。 1つには日本人と同じかそれ以上に「母国語に無い音」があったり、「教育者の質が低い」ということがありそうです。

日本語と英語では稼げる可能性、キャリアパスが大きく違うことはベトナム人にも理解が広がっています。 実際、中産階級以上のベトナム人家庭の小学生は放課後に英語教室に通う子が多く、英語で挨拶できる子供がとくにホーチミン市などではたくさんいます。

そもそも、英語より日本語を勉強していた背景は欧米はビザが取りにくい、就職などで「行く」方法がない、という前提があります。

英語ができる出稼ぎ市場では小学校から英語で教わるフィリピンが圧倒的に強く、そこと戦わなくてはならないハンデがあるため、政府どうして取り決めがある日本や韓国へ、、、ということになったのであろう、と想像しています。

とはいえ、米国へ行くチャンスがあればすぐにでも、という技術者は多いようで、米国領事館には常に長い列がありますし、筆者も英語が出来てそこそこPHPなどが出来る人が退職して渡米する場面に何度か遭遇しています。
英語圏であれば給与は遥かに高く、キャリアパスの可能性が広がるので当然と言えます。

こうした前提があるので、日系企業に来たベトナム人がどういった志のある人たちか冷静に見ることも重要かと考えます。

どの国の人も自国や家族を愛していてそれ故に、自国への誇りや同胞愛がない人を信用しません。 しかし、海外では日本ブランドや日本の優秀さを一旦忘れ、冷静に状況を見てアウェイである立場でゼロベースで現実と対峙するしか無いのです。

<過去記事>

転ばぬ先のベトナム情報(3) オフショア/ラボ開発・騙されないための7項目
https://note.com/mz700/n/nee6a26ea6fcb

(次回)

IT関係でベトナムで仕事をするとよくある問題、コミュニケーションの性質などについて書きてみたいと思います。 日本人との価値観・考え方の差や一般的な人類共通の問題が開発現場にも立ちはだかります。


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