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命の危険がある時に駆けつけたいから結婚した

もうすぐ我が子が2歳になる。

2歳目前の子どもはもう赤ちゃんではなく、走り・踊り・喋り・歌い、全てがたどたどしいけど、全てが生命力に溢れ、眩しく、そして吸い付きたいほど可愛い。本当に可愛い。


そんな可愛い我が子を共に育てる戦友であり、家庭の共同経営者であり、この世で私が最も信頼している人。

それは夫。

その夫と一緒に暮らし始めて約1年半が経った。

ちなみに夫とは付き合い始めてから14年、結婚してから7年経っている。

随分、同居し始めたのが最近だな。

なんなら子どもが生まれたより後じゃないかよ。


過ごした年数が計算間違いなんじゃないかと思われる我々夫婦は、いわゆる別居婚で誕生した。

理由は、なんて事はない。

就職に伴って仕方なくすることになった"遠距離恋愛"とやらを、継続したまま結婚したからだ。


最近はパートナーとの在り方も多様なので、法律上の婚姻関係を結ばなくとも、種々の制度を利用できるようになってきている。

それはそれで素晴らしいことなのだが、基本"同居している"ことが前提のため、別居の場合"事実婚"を適用するのが現時点では難しい。


つまり、私たちはずっと"恋人"という他人なのか…?

今まさに離れた彼の地で、あの人が事故に遭って重体になったとき、警察が連絡してくるのは私ではないの?

もしかしてお医者さんから「ご家族以外は面会できません」とかって言われたりする?


随分不吉なことを考えるな、と思われるかもしれないが、至極真面目にそんなことを考えた当時20代前半の私は、その時の彼氏・現在の夫と"家族"になりたいと思った。

そして離れたまま"家族"になる方法とは、婚姻届を提出する事だったのだ。

ちなみに今のところお互いの命に危機が迫ったことはない。幸いなことに。


いやいや一緒に暮らせば?という声も聞こえてきそうだが、当時入社2年目の私は仕事がとても楽しかった。そして、それは少し先に就職していた夫も同じ。

2人とも今の生活が楽しいのに、なぜどちらか片方が我慢をしたり諦めたりしなければならないのか?

人生の伴侶を見つけるのも難しいが、心から楽しめる仕事を見つけるのも結構難しい気がする。

どっちも欲しいと思うのは、決しておかしなことではないでしょう?


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そんな経緯で、別居夫婦となった私たち。

「なんで離れたまま結婚したの?」と当時はよく聞かれたが、「相手の命が危ないときに一番に連絡を貰うため」という回答は全然ロマンチックではない。

ちなみに、夫がなぜ私と結婚したのかといえば、おそらく「先に捕まえておかないと、仕事が楽しすぎて俺の元に帰ってこなさそう」だったからだと思う。

割と見る目ある。


こんな結婚でも、良いことは色々あった。

これは副次的なものなのだが、法律婚をすることで会社からいただけた祝金や単身赴任手当には助けられたし。

また、婚姻届という魔除けのお札は、日本国ではまだかなり有効で、「いつ結婚するの?」クエスチョンとか「結婚はいいよ」マウントとか、あと謎の既婚者からのオファーとかが減る。

たかだか紙切れ一枚。結構効く。


そして、私は結婚したことによる安心感でかなり身が軽くなった。

ちゃんと考えれば、決して"結婚=安心"ではないのだけれど、紙切れ一枚の効力は私自身にもよく効いた。

もともと青森と富山、神奈川と宮崎みたいな「交わる気あるのかよ」という遠距離をしていた我々だが、既婚の安心感で羽が生えた私はついに国を跨いでしまい、時差8時間・飛行機直行で12時間の国へ飛び立ったりもした。

夫よ、待っていてくれてありがとう。

私をパートナーとして選んだ時点で、夫に拒否する権利はなかったのだけれど。


少ない時には年2〜3回、多い時には月2回ほどの頻度で会っていた遠距離恋愛からの遠距離結婚。

会える時には身綺麗にしてコンディションを整え、束の間の逢瀬を楽しんだ。

会えない時には一緒に行きたい場所や食べたいものを考えて次回を楽しみにし、

時に一人暮らしの特権的に時間を気にせず飲みに行き、時に友達とふらっと旅行に行った。

そんな感じで結婚してからも約5年続いた別居は、子供の誕生でもって終焉した。


かなり長い間自由に暮らしてしまったので、今更人と暮らすことに不安もあったが、家族3人で暮らして約1年半、

「家族で暮らせるってサイコー!」と思っている。


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遠距離恋愛にはおそらく向き不向きがあるため、万人にオススメすることはできないが、パートナーとの関係として否定されるものではない。

離れていても、相手を大切にできるって素敵じゃないか。

むしろ全然あり。

なんなら、友人と話していても、別居で結婚したり、パートナーが海外に暮らしていたりする例は増えている気がする。



結婚することがパートナー制度の唯一の正解ではないし、

これから結婚という制度もまだ変わっていくだろう。

また、制度の枠ではうまく囲えない、多様な形が人と人の関係にはあるだろう。

私と家族、私と友人の関係だって、まだこれからも変わっていくのだ。


願わくば、

あなたとあなたの大切な方々が

制度や形にとらわれず、あなた方らしい関係を築いていけますように。







頑張る励みになります!そして、息子のおやつ代になります^_^