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僕の昭和スケッチ

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「僕の昭和スケッチ」は、昭和レトロを描いたライフワーク画集です。誰の心にもある遠い日の思い出を描いていければと思っています。毎週月曜更新予定(祝祭日を除く)。
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2021年11月の記事一覧

「田舎の叔母ちゃんと饅頭とお茶」昭和の縁側

 「僕の昭和スケッチ」111枚目 <画 ©2021もりおゆう 水彩 サイズF5> お饅頭や羊羹等の甘いものを食べた後に日本茶を飲むと、甘さと苦さが口の中で渾然となって何とも言えず美味しいものです。 けれど、僕の田舎の叔母ちゃんは何故かそんな時に絶対にお茶を飲まなかったのです。 ある日、母と在所を訪れた際に僕が「叔母ちゃんは、何で饅頭を食べた後にいつもお茶飲まんのや? 美味しいで」と尋ねた事があります。 すると、叔母ちゃんは僕にこう答えたのです。 「何でて、あんた、判

「下駄屋と銀幕の妖精オードリィ」昭和都市伝説

 「僕の昭和スケッチ」110枚目 <画 ©2021もりおゆう 水彩 サイズF5> ある日、テニス関係の年長の知人Aさんが私にこんなことを言いました。 「ゆうさん、昭和の頃に何故日本の下駄屋が次々と廃業していったか、その理由を知ってる?」 私が、さて何でしょう?、と答えると彼は、こう言いました。 「そりゃあ、勿論日本人が着物を着なくなっていったことが原因なのですが、やっぱりあの女優さんのおかげで一気に下駄が売れなくなったのですよ、、、。うちの実家は八王子で下駄屋をやっ

レトロブーム「昭和のカラフルコップ」

 「僕の昭和スケッチ」109枚目 <「昭和のコップやカップ」©2021もりおゆう 水彩 サイズF5> 皆さん、覚えていますか? 上は、昭和のコップとコーヒーカップを描いたものです。 昭和のコップやカップは、何でもかんでも柄が入っていました。 とにかく、無地/生成りのものがないのです。 僕は、正直言って子供の頃はこれが凄くダサく感じて嫌でした。 しかし、今見ると妙に可愛いではありませんか。 そして、令和の今、このコップ達がレトロでカワイイと評判なのです。 中でもア

「チンチン電車が走っていた昭和の街角」

 「僕の昭和スケッチ」イラストエッセイ108枚目 <「チンチン電車」©2021もりおゆう 水彩 サイズF5> 昭和40年代までは、日本中でチンチン電車を見る事が出来た。 あなたの街にも走っていませんでしたか? チンチン電車(路面電車)は、古くは明治、大正の昔から第二次大戦を挟み、戦後20年以上に渡って日本の各市街地とその周辺地域を繋ぐ人々の大切な足として活躍した。 私の郷里でも、柳ヶ瀬と言う岐阜市の大繁華街と郊外の村々を繋いで谷汲(たにぐみ)線という路面電車が走ってい

♬それでも音楽は聴いていた’70年代

 「僕の昭和スケッチ」107枚目 <「それでも音楽は聴いていた」画/© 2021 もりおゆう 水彩/ガッシュ> 僕は21歳と言う若さで結婚した。 結婚したのは良いが、まだ絵で飯を喰えるはずもなく、バイトに明け暮れる日々が続いた。若かったせいか、さほど貧乏は気にならなかったが、それでも彼女を貧しさの中に置く事が辛い夜もあった。 そんな中でも、僕らは音楽だけは聞いていた。 上京する時に持って来たステレオも壊れ、音楽を聴くすべがラジオしかなくなると、小さなカセットデッキを