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神秘探究-海神ポセイドンがまたがる海馬の尾に形が似ている脳の部位「海馬」について考察

心理学の歴史は、「意識」と「無意識」をさまざまな思索や推論を重ねていくことで理解しようとすることから始まりました。


今、脳科学の分野では脳についての研究が大変進んでいます。これまでは心理学の領域であった「潜在意識」などについて科学的に解明されつつあるのが現状です。

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心理学では私たちの「意識」をできるだけ客観的に観察し、ある行動を行うときの意識の働きを明らかにしようとしましたが、行動の多くは意識化されない「無意識の状態」で行われているということです。

記憶には
「短期記憶」と「長期記憶」
の2種類があり、

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「短期記憶」はその名の通り、脳の中に短期的に記憶しておく能力、情報を一時的に保管することです。「長期記憶」は情報を長期的に記憶することです。記憶とパソコンの仕組みはよく似ています。

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「短期記憶」は「長期記憶」から情報を引き出したり、「長期記憶」に情報を保存する役割も持っています。


つまり「短期記憶」を介して「長期記憶」が形成される仕組みであり、「短期記憶」をいかに活用するかが「長期記憶」を効率よく増やすカギとなります。

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「判断」というのは少し大げさな言い方をすれば、人間の精神活動の代表的な「成果」の1つです。

「判断」の意味は ”物事の真偽・善悪などを見極め、それについて自分の考えを定めること”、「精神」の意味は非物質的・知的な働きをすると見た場合の心。認識や思考といった理性を伴う「心」として使われることが多い言葉です。

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フランスの哲学者デカルトによれば私たちの「精神」は生まれつき、いくつかの能力が備わっていてそのなかでも基本的なものが「知性」と「意志」と呼ばれることをまずは押さえておきたいと思います。

「知性」とは文字通り、ある物事を知的に捉えようとする「精神の純粋な能力」です。「純粋」なというところがポイントです。

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私たちが実際に何かを学ぶには、感覚や想像によってもたらされる情報が重要であることはたしかです。

たとえば…このコーヒー豆は、どのような匂いがするのだろうと嗅いでみたり、この豆が採れた木は、どのような形をしているのだろうとイメージしたりして色々と情報収集をするわけですが、

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とりわけ感覚を通じて教えられる情報は取り扱い注意です。

なぜなら「感覚」による情報は、同じコーヒー豆でもある人は「臭い」と感じ、
別の人は「香ばしい」と感じて一定の評価を下すのが難しいからです。

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だからこそ、私たちはこれらのいわば身体的な情報も参照しつつ、最終的に「精神の純粋な働き」によってコーヒー豆について『知的なやり方』で理解していきます。

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脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官に大脳辺縁系の一部である「海馬(かいば)」というものがありますが、

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人の「海馬(hippocampus)」は、ちょうど小指ほどの大きさでギリシャ神話に登場する海神ポセイドン(ネプチューン)がまたがる海馬の尾に形が似ていることから、(4頭立ての馬車を引く架空の動物)ボロ-ニャ大学の解剖学者アランティオは、1587年にこの脳部位を海馬と名付けました。

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この「海馬」が「長期記憶」となるにふさわしいと「判断」した情報だけが
「長期記憶」として保存されます。

簡単に言えば、「海馬」の役割はまず入ってきた情報を「海馬」自身に「短期記憶」として蓄え、そしてそれを大脳皮質に書き込んで「長期記憶」とするかどうかを検討し、変換を行うという器官です。その審査期間は約1ヶ月と言われています。

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私たちの脳の中で「新しい記憶」は海馬へ、「古い記憶」は大脳皮質にファイルされ、長期記憶が保存されるのは「大脳新皮質」という場所であり、情報が大脳に移されるまで一時的に留め置かれる(短期記憶)ための場所が、海馬なのだそうです。

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海馬に入った情報はすべてが長期記憶に移行するわけではなく、海馬が重要性を判断し「バイアス」をかけた状態で大脳新皮質に送ります。

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その長期記憶に保存される審査の基準は、”生きていくためにその情報が不可欠かどうか”ということです。つまり自分の「命」に関わる情報は、海馬の審査に通りやすいということが言えますが、

短期間の間に同じ情報が何度も脳に入ると「海馬」は”こんなに短期間のうちに何度も入ってくる情報なら必要なものに違いない!”と勘違いします。

ハイデルベルク大学生理学研究所のマンフレート・ツィメルマン教授の研究によれば、人間の脳は毎秒1100万ビットもの情報を「無意識」に受け取っているそうです。

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脳の記憶容量は無限ではなく、脳を構成する神経細胞の数などから、記録容量は17.5テラバイトと言われていて15秒以内に9割近くの情報を人間は忘却してしまいますから、私たちが「見る」「聞く」「感じる」と「意識」できている感覚情報量はたったの77ビット程度しかありません。

今日では主としてTV、動画、映画、SNSコンピュータ画面、さまざまな印刷物を通して「視覚」による情報が入ってきます。

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1100万ビットのうち視覚による外界の情報は1000万ビットを占めていて人間が受け取る情報の90.9%は視覚から受け取られていることになります。この受け取っている視覚からの情報の多くは認識するまでに至っていません。

それらの情報の多くは無意識に入ってきてそのまま流れていってしまい、意識にとどまった「わずかな情報」をもとに脳は勝手にシュミレーションをするということです。


その脳の勝手なシュミレーションが「錯覚」を引き起こし、そしてこの錯覚が人に期待を抱かせることになります。

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こうした「錯覚」は私たちが相手を判断する際にも気がつかないうちにさまざまな思い込みとなって紛れ込んでくることがあります。

錯覚は脳を騙し、人に期待させます。さらに期待は、「すごい」「素敵」「おもしろい」などといった感情と結びつき、人を行動に駆り立てます。

目から入る情報なども反復すると脳は「錯覚」を重要なことして忘れないように定着させてしまうかもしれないということです。

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そして
「短期記憶」とは「顕在意識」であり、
「長期記憶」とは「潜在意識」である
といってもよいようです。

究極に深く脳が活性化した状態(脳の覚醒状態)を作ることで、大きく海馬を鍛えることができると言われていますが、

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脳は基本的には怠け者で楽をしたがる(ストレスを避ける)ようにできているそうです。「慣れ」は脳にとって大敵で、同じようなことの繰り返し、同じような日々が脳を衰えさせてしまうと言われています。

常に新しいことを学ぶと脳に情報伝達の回路ができてその速度は大人になると
緩やかになりますし、学び続ける限り回路は確実に増え、新たな能力を身に付けられるということです。

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人の「脳」は「宇宙」と類似性があるのかもしれない......。
マウスの脳内の神経細胞(ニューロン)の画像と宇宙をシミュレーションした画像を並べた2006年8月14日付の米紙ニューヨーク・タイムズの記事は、世界中で話題となりました…


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