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私の妊活日記 ~体外受精の始まり~

前回の人工授精での落ち込みを経験し、次は体外受精に進もうということになった。
夫からは、もう少し人工授精で粘ってみようと提案されるのではと思っていたが、案外あっさり「もう体外受精しかないのかなあ」と言われた。
意外にあっさりと夫婦の意見は合致した。

この頃にはクリニックに通いだして3か月が経過し、日常的に通院することが当たり前になっていた。不妊治療に真剣に取り組むからこそ、ずっと色々検索したり食事や日常生活に気を使いすぎたりする話も聞くが、私は葉酸サプリを摂り始めたくらいで仕事も今まで通り、食事やお酒も今まで通りの生活を続けていた。
自ら調べて治療方針についての疑問を医師に質問する人はすごいなあと思うけれど、言われるままレールに乗っかっていく方が私には向いているのだなあと感じだした。
これまでの日常に+αでクリニックに通っているというくらいである。

まずは自然周期で採卵しようということになって、クロミッドの処方。
しかしその3日後の診察で卵胞の成長の遅さを指摘されて、注射を1本。
そこからあっという間に連日クリニックに通う日々となった。

まず2日に1回通院しなければならないということ、注射を打たれるということ、そしてその会計は平均1万5000円ほど支払うこと。
いよいよ不妊治療が本格化し、精神面だけでなく体力的にも金銭的にも負担が増しているのを感じた。

私はパートタイム労働者で週3~4日しか働いていないけれど、それでもシフトを調整し、仕事前後に急いでクリニックに通う日々となった。
これでフルタイム勤務だったら、きっともっとめげていたし精神的な余裕を失っていたと思う。
金額についても高額だと予想していたけれど、正直採卵時や授精時のことで、連日の注射費用がこんなにも嵩むとは想像していなかった。
これが世にいう不妊治療の高額な治療費かと身に染みて感じた。やると決めたのだから仕方ないことなのだが、会計時にクレジットカードを出す度に恐ろしくなった。


さて、採卵時の私は30代になったばかりで、本来AMH値は3.0~4.0の間くらいだそうだが、初期検査で6.78という驚異的な数値をたたき出していた。
先生からは、採卵は比較的沢山とれると思いますという所見だった。
連日の注射の効果もあり、採卵では22個の卵子が取れた。
相変わらず精液検査の所見は悪く、全て顕微授精となった。
採卵後もお腹の張りが続くと知り愕然としたが、それよりも22個の卵が何とか成長してくれることだけを祈った。

次の日、クリニックからの電話を受けた。
まずは受精が確認できたのが17個、正常な核の様子の卵がその内14個。
これらを胚盤胞まで培養します、とのこと。

その1週間後、改めてクリニックから電話。
「…今回は全て成長が途中で止まりました。」

その場の時間も一瞬止まった気がした。14個もあったのに。
最低でも4分の1くらいは凍結を迎えられると正直期待してしまっていた。
あんなに労力も費用もかけたのに、移植することさえできなかった。

子どもができるということは、こんなにも難しいことなのか。
最初からすぐに結果は出ないと頭では分かっているものの、私は永遠に子どもは持てないかもしれないと心の隅に暗い影を落とし始めた。
これまでより強く、近所で子供連れの家族やベビーカーを押すお母さんの姿が心に刺さるようになった。

治療について深く調べず考えず、言われるままのレールにのって日常の+αにとどめているつもりだったけれどやっぱり結果がでないと苦しい。


…それでも暗くならず、前を向いて治療に向かっていく。
気持ちを上げるために、色々予定を詰め込んで気を紛らわしながら次へ進むことにした。

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