「アポ取ってね」一言で蘇る地獄
中途採用で入った小さな注文住宅の工務店。
新規事業の拡大のため、という名目でリノベーションのコーディネーターとして採用されたつもりでいた。
なんか入る前から人事と社長に
言いくるめられて営業になってて、
ん?って感じだけど。
まあ、個人目標が与えられるわけでもなく
チーム目標だったから、そこまでプレッシャーも感じなくて。
なんならそもそも集客が不安定だから、
チームとして客を探していこう〜ってなって
チラシを作ったり、DMを送ったり、
イベントを企画したりした。
それは個人的に、すごく楽しい。
勉強することがたくさんあって、すごく前向きになれた!
ただ、新規顧客の集客が足りないのは
リノベーションだけじゃなくて、注文住宅も
一緒で。
数ある工務店の中から、うちを選んでくれた、
資料請求してくれたお客さまをどうやって、商談客にランクアップさせていくかっていう会議が開かれた。
会議の結論は「資料請求が来たすぐのタイミングで、電話担当の人が電話をかける」というもの。
こんなこと言うのも変な話だけど、
私は正直「第一印象が良い」タイプの人で
電話越しでも声が通りやすく、かなりハキハキと話ができる。
「対応がある程度できる+中途の新人」
という条件が重なり、アポ取得率の高い先輩と私の2人が担当に選ばれた。
*
担当が決まってすぐは「あ〜電話ね〜」と、思う程度で、「嫌だけどまあ、、、まあ、、我慢はギリできる」という感じだった。
けど、
「1回目の電話が繋がらなかったら、2回目は時間変えて、3回目は日にち変えてアポ取ってね」
と先輩から言われた時に、上手く言えないけど、絶望した。
*
なんで絶望したのかは、わからない。
でも「繋がるか繋がらないかわからない電話を、定期的に思い出して電話をかける」というのが、すごく嫌なんだろうな、と思った。
電話をかけ続ける
定期的に思い出しては
電話という手段で、連絡を取る
この行為が、たぶん私に取ってかなりのストレスなんだと思うなあ。
電話を「かけ続ける」ってのが嫌いなのかも。
継続自体は好きだけど、そこに自分の意思はないし、モチベがないからなあ…
*
絶望した日の帰り道。
私の頭の中は「アポを取ること」でいっぱいいっぱいになって、
絶望と同時に沸き立つ「嫌い、嫌だ」という感情に身を任せて
「アポ取得のための電話 死ぬほど嫌い」
とGoogle先生に言った(検索した)。
そしたら出てくる「テレアポを嫌いになる6つの理由と〜〜〜」的な、営業担当のブログサイト。
これを何度かスクロールしたときに、
ふと気がついた
「これじゃ、前の仕事と変わらないじゃん」
*
前職の私も営業をしていた。
電話をかけて、お客様と会う約束を取り付けて、受注を上げてくるような仕事。
私はその第一歩の「電話をかける」ということが、どうしても嫌いで、どうしても頑張れなかった。
自分以外の営業にお客様がいて、私だけ担当顧客がいない時でも、電話をかけたくなかった。
こればかりは詳しい理由がわからない、
ただなんとなく思うのは
「電話をかけて断れられるのが嫌」
↓
「傷付きたくない」
というのが、大きな理由なんだと思う。
ただ、傷つきたくなくて、電話したくなかった。
だから、電話はしなかった。
*
でも、電話をしない自分を、私は許せなかった。
電話をしないということは、努力をしないということ。
自分は「最上志向」という特質を持っているので、「努力をせずに、だらけること」を許せなかった。
だからいっっつも、テレアポを頑張ろうとした。
頑張るために嫌いな理由を特定して克服しようとしたり、頑張れない理由を探して克服して頑張ろうとしたんだと思う。
「なぜか頑張れない」
「頑張り方」「がんばるとは」
当時の私の履歴は、こんなキーワードばっかりだった。
*
楽しく仕事をやっていた矢先、
「アポ取ってね」の一言で、
前職の嫌いな感情を全部思い出した。
この電話をかけなくちゃいけない、
アポを取らなくちゃいけないというプレッシャーに追われて、
頑張れない自分、努力できない自分と対面して「なんで頑張れないの?」と、私自身に
また問う日が来るかもしれない。
そう思うと、すごく悲しくなって、
帰り道の電車で、泣いた。
ケータイを地面に叩きつけたくなった。
思い切り叫びたくなった。
地団駄を踏みたくなった。
自分の手が血まみれになる程、痛さを感じたいとすらおもった。
もう日記を書くこともままならなくて、
思い通りにならないこと全てにイライラした。
全てをぶち壊したかった。
そのぐらい、イライラした。
そのぐらい、嫌いだと思った。
朝起きても、思い出した。
前向きに勉強する気力すら失った。
*
前の仕事は、嫌だなあ、嫌いだな〜やりたくないなあ、と言いながらやらないでいることもできたけど、今回はそういうわけにはいかないと思う…
でも、やりたくなくて涙が出た事実は
事実だから。
ここをどうしていこうかと、
悩む最近だったりしてる。
これ以上やるなら、辞めるしかないよね