見出し画像

#4『家族を想うとき』

ご覧いただきありがとうございます!
こんにちわこんばんわ、荒牧です!

梅雨ですね、みなさんいかがお過ごしですか?
じめじめーですね、あまり得意ではない気候です。九州の方々も心配です…くれぐれもお気をつけください。


今回、配信時の携帯の不具合によりアーカイブが残っておりません…申し訳ありません。
文字起こしでお楽しみください🙇‍♀️

いってみよー!

-------------------------------------------------

2020年7月4日土曜日
ライブ配信アプリPocochaから配信
『家族を想うとき』について

--------------------


これで4作品目になるんですけどこの少女東京奇襲でやってる2ヶ月企画 #try_of_girl
#土曜は映画の日 という企画をやっていますが、意外と皆さんに見ていただいているようで、noteも見てくれているようで、ありがとうございます。私の高校時代の友人もね、インスタから見てくれたみたいで、面白かったよなんて言ってくれて、ありがたいなと思って頑張ってやっていこうと思います。

今週のお題映画は「家族を想うとき」です。

ケン・ローチ監督の最新作。 監督は2006年の『麦の穂をゆらす風』、2016年の『わたしは、ダニエル・ブレイク』でカンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞しております。マイホーム購入を夢見るひとつの家族が、労働問題など現代社会の歪みに翻弄されていく。出演はお父さん(リッキー)役のクリス・ヒッチェンさん、お母さん(アビー)役のデビー・ハニーウッドさんなど、オーディションで選ばれた新鋭キャストが揃った。脚本はケン・ローチ作品に欠かせないポール・ラバティさん。


あらすじ

マイホームを持ちたいと考えている父のリッキーは、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立する。母のアビーは、介護士として働いていた。夫婦は家族の幸せのために働く一方で子供たちと一緒に居る時間は少なくなり、高校生のセブと小学生のライザ・ジェーンはさみしさを募らせていた。ある日、リッキーが事件に巻き込まれる。


引退宣言を撤回して作られた作品

原題が「Sorry We Missed You」というんですが、まぁこれ不在票のことなんだよね、宅配業者のお父さんが主人公のお話なのでそれと掛けてるんですね。「ご不在につきお会いできませんでしたごめんなさい」という意味ですが、これが映画のタイトルなのがセンスいいなぁと。このレビュー企画のために画像検索してて原題タイトル知った時痺れましたね、カッコいい!って。直訳できないんで、邦題は違っちゃってますが…

ケン・ローチ監督は『わたしはダニエル・ブレイク』という映画、福祉の問題を描いたお話で「これで僕は引退する」と言って製作した映画でパルムドール賞を取って。『〜ダニエル・ブレイク』の前にも引退宣言していたようなんですが。とにかく引退するって話だったんだけど、世の中がケン・ローチ監督を引退させてくれない、というね。彼は社会に対する問題提議をすることが映画を作る上で大事にしていることのようで。今回も労働者に関する問題を映画にしてるんですけど、これ日本でも起きてることだと思うんですが、フランチャイズ、個人事業主という名の元に搾取されている人々のお話を描いています。


リアルを描き出す現場

この作品の見所は沢山あるし、とにかく問題提議をされる映画なので見所というか観て体感して欲しいですという感じなのですが。やはり注目はお芝居ですよね。まぁこれドキュメンタリーなん?と思うほどに自然、というか生活の一部を切り取ってますという撮り方。たぶんこの映画の伝えたいことを想像すると、作られたものよりもよりリアリティのあるリアルな人々のリアルな問題として提示すべき、ということなんでしょうかね。出演者たちも労働者としての経験があるお父さん役のクリスさん、お母さん役のデビーさんも教育関係のお仕事経験があるということで、なるべくその状態に近しい人々
を、本当の人々をキャスティングしていると。だからスターさんを起用しないんですね。
そして撮り方も順撮りで、つまり台本の先を教えないと。

ここで思い出すのは是枝監督の『万引き家族』ですね。『万引き〜』の安藤サクラさんの取り調べのシーンでの泣き方はケイト・ブランシェットさんが真似したいと絶賛したことでも話題になっていましが、あそこはね、本当すごかったけど、あれは台本渡されずに何も知らされずに、監督が相手役の池脇千鶴さんにホワイトボードで指示しながら会話していったらしんですよね、だから生のリアクション。『家族を想うとき』でもその生の感じを散々感じたんだけど。というのも、やっぱり是枝監督はケン・ローチ監督の影響を受けているんだそうです、やはりなと。

お兄ちゃん役のリス・ストーンさん、彼がまぁイラつくんだけど(笑)お兄ちゃんとお父さん
喧嘩のシーンがあるんですが、イラつくっていうのは嫌な役ということではなくて、単純に反抗期の反抗の仕方が上手すぎて、お父さんの気持ちが分かるだけに「何故親の苦労が分からないんだ!」って気持ちになるというね(笑)ほんと、上手。それで、この2人の喧嘩の時にお母さんが涙流すんだけど、この撮り方がまぁセンスがいいね、変にクローズアップとかしないんだけど、あぁ泣いちゃった…ってちゃんと映してるの、この泣き方も撮り方もすごいと思いました。各部署の見事な仕事っぷりですね。

芝居じゃなさそうで芝居、というこういうジャンルの芝居が好きだなと思います、作品の性質によりってことは勿論あるんだけど、こういう芝居がしたい、こういう映画に出たいなと思いますね。なるだけの本当を求められる、という現場。いつか関わりたいですね。


家族4人のシーン

このお兄ちゃん、別に悪なわけじゃないんですね、家族のことを想ってる、大切にしたいからこその反抗だったりするわけで。みんな思い合ってるんですね。んで家族4人で車に乗るとても良いシーンがあるんですけど、それが(映画全体における)あの位置なのも興味深いなと思うんです。結構序盤だなって。最後にいい家族でしょって見せるためのシーンじゃないんだよね。そこ是非観てみてほしい。


介護の現場のリアル

それから、お母さんが訪問介護の仕事されてるんですが、私も在宅や介護の仕事を知っている人間として、リアルな描写の数々に唸りましたねぇ。優しくてなんでも話したくなる利用者さん、気分のアップダウンがある方とか、障害のある方々もお芝居されてるんだろうか。撮り方気になっちゃう。そしてその対応をするアビー(お母さん)の様や心情も本当に唸ってしまって、で、アビーが上司とのやりとりで口論になるシーンがあるんだけど、その上司の対応も仕方ないんだろうなって。「こんなスケジュールこなせない、だったら残業代払って」「それは決まりでできないの」って。でもこれって上司のせいじゃなくて、国とか法律とかもっと違う所に問題があって、その末端の末端であるアビーに皺寄せがきていて、そしてその家族たちが壊れていくってお話なんだよね。末端の人達のお話であり、私たちの話であり。

ちょうど都知事選もあるし、今回のコロナ対応についてもそうだし、それだけじゃなくて常に政治に関して、無関心じゃいけなくてずっと見続けて見張っていなくちゃいけないよね。
自分たちの権利を守るためにやるべきことをやらないと、と改めて思ったりしました。
今回の自粛で家にいる時間が増えたことで「恥ずかしながら初めて政治に目を向けてみた」とかいうツイートを拝見したりして、とても良いことだなって。日本は生活の中に政治がなくて、それが自分たちの首を絞めていたりするわけで。でも私達の世代、っていうか今の若い子たちはそういうことがNGでっていう感覚になればいいなと思う。


一緒に考えて欲しい

だから常に問題提議されていて、どう思う?あなたはどう思う?って。ラストシーンもそうだし、途中もガンガン、問いかけでシーンが切り替わる。これもね、是枝さんでも感じることだなと思ってました。

あとこれだけ!髪をとかす、というワードがあって、それがちゃんと後に繋がってるんだけど
、このシーン好きなんですが、だからつまり、やっぱりドキュメンタリーじゃなくて作り物なんだなって思わされるわけです、良い意味でね。だから考えさせられるんですね。

これを観た人が「この映画を作ってくれてありがとう」って言っていて、観たあとにその意味も分かりました。是非観て、この家族について一緒に考えて欲しいなと思いました!私は自分のことや国のことやこの家族のことを考えました。

おしまーい!


次回作品

2020年7月11日(土曜)
19:00頃ライブ配信予定

『カセットテープ・ダイアリーズ』
公開中!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?