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【取材記事】肌と地球のケアをする 使うことが心地よいオーガニック認証スキンケア

昨今のボタニカルブームに乗り、街中に溢れるオーガニックのポップや日用品。実は有機成分の配合は一定ではなく商品によりさまざま。店頭ではわかりにくいオーガニックの含有量や人や地球への影響。こうしたわかりにくさをはっきり示す指標に、オーガニック認証があります。

株式会社Be が手がける『Be』は、肌や身体が求めるエネルギーや栄養をシンプルでミニマムに取り入れることを追求しているサステナブルビューティーブランド。スキンケア・ヘアケア&ボディケア・インナーケアを取り揃え、スキンケア・ヘアケア&ボディケアの製品ラインナップに国際有機認証機関エコサート(ECOCERT)の「エコサートCOSMOSオーガニック認証」を取得しています。今回は、創業の経緯、ビーチフレンドリー処方採用の新商品『Be UVデイクリーム』についてや、オーガニックとサステナブルへの想いとこだわりなどを代表の稲垣様に伺いました。

【お話を伺った方】

稲垣 大輔(いながき だいすけ)様
株式会社Be 代表取締役
北海道出身 2002年、北海道大学工学部を卒業し、国内大手自動車会社に就職。ブレーキ部品の設計や人間工学を活かした開発、エンジンの解析業務に携わる。2012年にイベント会社を創業。2017年に株式会社Beを創業し、現在に至る。



■母に影響を受け、肌や身体によい製品を目指し創業


mySDG編集部:もともと、自動車エンジニアだったそうですね。コスメ分野との関わりが遠いように感じたのですが、どのようにして創業に至ることになったのでしょうか?

稲垣さん:自動車エンジニアからコスメ分野への転身は、母親の影響が大きかったと思います。僕の母は健康に気遣い、オーガニック栽培の野菜や食材、日用品もオーガニック成分のものを選ぶ人でした。そのような母と暮らしている間は僕も健康でいたのですが、家を出てから、身の回りの日用品を自分で選ぶようになると、20歳でアトピー性皮膚炎が出始めたんです。そのとき初めて、肌や身体の健康には身体の内外、両方からのケアが必要なんだと気づきました。

エンジニアから2012年にイベント会社を立ち上げた後、5年ほどしてから2017年に株式会社Beを立ち上げたのですが、当初はSDGsやサステナブルよりも“肌や身体に良いものをつくりたい”という気持ちからのスタートでした。それと同時に、自社プロダクトに対しては、当時のオーガニック製品への印象を塗り替えるような、見た目もおしゃれで使用感も心地のよい、全く新しい製品を目指して創業に至りました。

mySDG編集部:『株式会社Be』ご社名の意味はあるのですか?

稲垣さん:土台や基礎、基本という意味の「Base」の最初と最後の文字を取り「Be」としました。他にも、身体の基盤になることや地球の環境保護の土台になるという意味もあります。さらに「理想の自分になる」という意味も含め、人も地球も理想に近づいていけるようにと僅か2文字にさまざまな意味を込めました。


■機能性トップクラス、天然由来成分100%『Be UVデイクリーム』

mySDG編集部:今回の『Be UVデイクリーム』に関しては、どのような経緯からUVクリームの開発に至ったのでしょうか?

稲垣さん:一番大きなきっかけは顧客様からの要望です。しかし、弊社プロダクトに共通した目的はインナーケアラインナップも含め「スキンケア」のためです。日焼け止めだったとしても他プロダクトと同様に、スキンケア効果を含む製品を目指したいと考えました。

従来の日焼け止めクリームは、UV機能の精度を上げるほど肌が息苦しくなってしまうことや、重さやベタつきなどがあり使用感の不快さも同時に解決したい課題でした。
環境保護の側面からも、ケミカル成分の紫外線吸収剤が含まれる場合、海の生態系への影響があるとする研究結果もあります。このような課題解決を含め、人に良いものである製品を目指し天然由来成分100%で開発を進めました。工場と試行錯誤を重ねながらオーガニックな日焼け止めとして製品化しました。

mySDG編集部:天然由来成分100%で人にも環境にもやさしいUVクリーム。開発で一番難しかったところはどこでしょうか?

稲垣さん:そうですね。特に人にも自然にも優しい天然由来成分を使い、高いUV効果を出すことが一番難しかった部分です。実は2021年のブランドリニューアルの際、同様の製品開発を試みたのですが、当時は紫外線カット率に課題が残り、製品化には至りませんでした。しかし、今回は成分や機械と共に技術的にも向上したことで、課題を全てクリアすることができました。耐水性に関しても日本の基準の中で最高の値をとっています。
この製品は私が知る限り、人と環境、機能性の全ての数字が日本の最高値。ブルーライトカットもオーガニックの中で最高値です。ただ、唯一の難点は価格。内容量は30mLで5,280円(税込)と妥協のない分、価格に反映されてしまいました。

環境への配慮があるがゆえに、機能が落ちるとか、使用感の不満足さにも我慢するというのは、開発当初の製品ポリシーとして反してしまうので、価格を抑えることよりも、未だ世の中に存在しないUVクリームを目指しました。ぜひ、お客さまには実際に使っていただいて、使用感の気持ちよさや妥協のない性能の魅力を感じて欲しいですね。

【商品名】Be UVデイクリーム【内容量】30mL【価格】5,280円(税込)


mySDG編集部:植物由来成分100%でビーチフレンドリー処方の『Be UVデイクリーム』は、2024年2月22日(木)から発売ですね。店舗やECサイトなどで手に取ることができますか?

稲垣さん:はい。丸ビルにある直営店「Be Organic」にてお試し、購入できます。弊社オンラインストアで販売もあります。定期的に展示会などに出展もしていますので触れていただける機会は多いです。

mySDG編集部:以前、取材させていただいた沖縄の恩納村では国連環境計画(UNEP)が制定する、環境に優しく持続可能なダイビング・シュノーケリングガイドライン「Green Fins(グリーン・フィンズ)」を導入されたお話を伺った際に、日焼け止めクリームがサンゴに与える影響の可能性を知り、驚きました。

稲垣さん:日焼け止めクリームに含まれる紫外線吸収剤が、サンゴの白化現象を招くとの懸念がありますが、明確な影響については未だ研究段階です。
しかし今は水質汚染をはじめ、いろいろな問題がある中で、サンゴの白化現象を招く原因として可能性が言われているのが、水温の上昇によりサンゴの共棲生物である褐虫藻の光合成が低下してしまい、珊瑚からいなくなることがあります。「紫外線吸収剤」として使われる主な成分、オキシベンゾンやベンゾフェノンは、そこへさらに珊瑚への悪影響を及ぼしている可能性があるという研究結果があります
そうしたことから、パラオやハワイなど海外ではサンゴを守るためにUVクリームの販売や使用に規制がかかっています。

mySDG編集部:海を大切にしながら楽しめるダイビングスポットや、海水浴場などで御社の「Be」シリーズが購入できれば、サステナビリティを重視する人も選びやすいかもしれないですね。
稲垣さん:確かに相互作用がありそうですね。成分のこだわりは日焼け止めをはじめ、全ラインナップに共通しています。海やサンゴを大切にする方にも使っていただきたいですね。

■広めるオーガニック認証認知とサステナブルの輪

mySDG編集部:御社プロダクト「Be」シリーズを通して、広まって欲しいSDGs活動はありますか?

稲垣さん:業界を越えて地球環境を考える輪を広げていけたらと思っています。そのために共同イベント開催やワークショップなどを行っています。「Be」スキンケア全ラインナップは、エコサートジャパンという認証団体のオーガニック認証を取得していて、大変珍しい業績に団体の方からも応援いただいています。4月にはエコサートジャパン主催のオーガニック認証取得事業者のみが集まるイベントもあるので、さらに輪を広げていきたいと思っています。

環境保護の取り組みは弊社の活動もしくは、お客さまのブランドチェンジのみでは十分ではありません。もっと大きな枠組みで、あらゆる業界の常識や前提を変化させていく必要があると思っています。そのために弊社との出会いをきっかけにサステナブルに取り組む大切さや、スモールスタートから始めていく容易さなどを他業界にも知っていただき、お互いに手を取り合いながら、環境保護に貢献したいと思います。

mySDG編集部:エコサートジャパンの認証について詳しく教えていただけますか?

稲垣さん:エコサートは、フランスを本部とする国際有機認証機関です。フランスおよび130カ国以上で、30年以上オーガニック製品の監査と認証を取得付与する団体。エコサート・ジャパンは農林水産省の登録認証機関になります。オーガニックコスメ認証やオーガニック食品の有機JAS規格の審査などをしています。さらに、アパレルやタオルなどの認証でGOTS認証という「オーガニックテキスタイル」の記載を表記することができる規格の審査にも関わっています。将来的にはGOTS認証を取得したアパレル企業と共同イベントの開催もしたいと考えています。

mySDG編集部:有機JASは認知していましたが、他分野のオーガニック認証は存じ上げませんでした。

稲垣さん:認証の認知が広がっていないのが現状ですね。食品のオーガニック表記には、国の基準で厳格に定められた有機JAS認証が不可欠なのですが、他分野の例えばスキンケアやコスメは、認証未取得でもオーガニックと表記できてしまうんです。製品成分中オーガニック素材が一つでも入っていたり、全成分であったり、製造方法まで規定のある認証であっても、全部同じような表記になってしまい、差別化できず消費者にもわかりずらい状態になっていると思います。そうした規定の曖昧さも、認知の広がりに影響があると思っています。

mySDG編集部:製品のサステナビリティを消費者にわかりやすく伝える方法はあるのでしょうか?

稲垣さん:その基準の一つが認証だと思うんです。一概に認証があればいいというわけではないかもしれませんが、明確な基準をクリアした上で付与されるものなので、十分判断基準になる方法だと思います。直営店「Be Organic」では、Beシリーズ以外にも他ブランドの商品を取り揃えていますが、オーガニック認証、ヴィーガン認証の認証取得商品に限定しています。取り扱う基準を定めることで、お客さまには安心して購入いただけますし、認証の認知にもつながると思っています。

認証を広めるために、エコサートやJOCA(日本オーガニックコスメ協会)の方を招き、定期的に勉強会を行っています。今後は認知を広め、認証取得商品の需要を増やして生産数を上げ、流通網を整えられたらコスト削減が可能なので、価格に反映させてお客様に還元できます。そのビジョンに向けて日々発信を続けます。

■人の豊かさを守る手段、サステナブルの選択を

mySDG編集部:「Be」の最大のメッセージとしては、“人と自然、両方を大事にしていく”ことなのでしょうか?

稲垣さん:いえ。最終的には人を大事にしていきたいと思っています。サステナブルは人の豊かさを守る一つの方法だと捉えています。時折、遠い未来の話のように語られる環境問題は実はそこまで遠くない話です。毎年環境に危機的な変化が起きる中、自分自身を守るために住み家である地球を守らなければならない。

現代の生活は先人の残してくれた文化の上に成り立っていて、僕らはそれを受け継ぎ、恩恵を受けています。これから僕らが次世代のためにできることは、豊かな地球を残していくことだと思っています。次世代の人が豊かな地球に暮らせるために、今始めなければならないと思います。

mySDG編集部:今後の展望を教えて下さい。

稲垣さん:これからの地球の未来に向けて、全業界、全業種の方々と共に活動し続けていく必要があります。その中で株式会社Beが基準値のモデルになるような、サステナブルの軸になるような会社になりたいです。今は認証製品を選ぶことの価値を広めていく段階ですが、ゆくゆくはオーガニックはもとより、サステナブルな選択肢が当たり前になる世の中を描いています。

mySDG編集部:ちなみに、その近道は何かあると思いますか?

稲垣さん:急な変化は起こりにくいですから近道はないですね。コスメ業界では年間1〜2%ほど、微量ながらも自然派製品やオーガニック製品が増えていますが、このスピード感では間に合わないと感じています。変化を少しでも加速させるために、お客さまも巻き込みつつ、楽しみながら輪を広げていきたいです。

規制のある選択は長続きしませんから、自らサステナブルを気持ちよく選択できる状態や環境が好ましいと思います。それぞれが持つ魅力的な特性の中から、サステナビリティを選択できる、その自然発生的に生まれる意識を育てていくことが一番の近道であり、唯一の方法だと思います。


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