研究)潜在看護師の復職支援ー3.新卒看護師の問題と対策 3-1.看護教育の背景と現状の問題点

 看護師になるには、文部科学大臣指定の学校あるいは、
厚生労働大臣指定の看護師養成所である「大学」、「短期大学」、「専門学校」、「看護師学校(養成所)」、「5年一貫看護高校」などにおいて必要な学科をおさめた後に、看護師国家試験に合格することが必要とされる。(図4)(8)

(図4:「看護師になるには」 日本看護協会より)

 近年は、少子高齢化が叫ばれており、また、疾病構造の変化・高度化が起きている。
それに加え、チーム医療推進の動きがあるなど、「看護師に求められる能力や需要が高まっている」と言える。
  
 しかし、看護師を育て上げる期間である「教育年限」は60年間変わっておらず、カリキュラムは超過密状態であることは否定できない。
そのために、医療現場の期待する能力は高まる一方で、看護実践能力が追いついておらず、期待される力と実際の力に大きな乖離がある。(図5)(9)

(図5:看護教育の背景 ※日本看護協会の資料を参考に著者が作成)

 このような、医療現場と教育の乖離により、2つの問題が起きている。
第一に、医療安全が不十分になること、
第二に、1年以内に7.5%もの新卒看護師が早期離職しているということである。
 この中でも、離職に繋がる後者は、
乖離から「リアリティショック」が引き起こされることによって、生まれている現象であると言える。このリアリティショックについて、次に述べる。

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