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STARS展:「作品」と「作品の写真」はやっぱり違うぜと思った話

ミュージシャンを好きになる時って、みなさんどんな流れが多いですか?アニメの主題歌をきっかけに1曲気になる作品に出会ったとして…次にどうしますか?そうですよね?まずベストアルバム買いますよね?もしくは「はじめての○○」シリーズのプレイリストをダウンロードしますよね?

現在森美術館ではそんな現代美術のベストアルバムみたいな展覧会が開かれているんです。気になる作品がある人は、さらに深くその魅力を知るのにとても素敵な展覧会です。

その名の通りスター級の作家さん達の作品が一堂に会しております。有名な作品も多いので「どっかで観たことあるなぁ」という印象もあるのですが…ただ、やっぱり生で観るのは違う!そんな事を思い今回の記事を書いてみています。

例えば草間彌生さんの作品があります。ドットのカボチャの作家さん…というとピンとくるかもしれません。

「INFOBAR以外使わないぜ!」というレベルでauのデザインに傾倒していた時期が私にはあったのですが、当時、氏のデザインした携帯なんかも発表されてました。ただ値段が数十万円とかで…これを見送る程度の信念だったわけですが…。

こうしてみるとグラフィック的というか…模様やパターンが先行して作家さんの印象に紐付いていた気がします。草間彌生さんといえばドット、みたいな。ただ実際の作品をみるとやはりそこには「素材感」がありました。ものすごくありました。

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もっこもこに絵の具が盛られており、グラフィックどころか立体感すらあります。その盛られた絵の具の間からその奥にある黒が見えており、ドットになっているような印象です。油絵の事を英語で「oil on canvas」と言うようですが、まさに、という感じです。

カボチャなどの作品とは制作年代も違いますし、同じ作家さんとはいえ様々なコンセプトで制作をしていると思うので、一緒くたに語るべきではないかもしれません。

ただシンプルにこういった作品からドットのイメージになっていったのかなぁなんて考えると、他の作品を観る視点も深くなれた気がします。作品の写真を観るだけでは感じ得ないことかも知れません。

他には村上隆さんの作品もあります。花のモチーフが有名です。24時間テレビのTシャツのデザインになってたり、アルバムのジャケットやグッズなどゆずともコラボレーションしています。

美術館に入らなくても、街なかなど色々な場所・場面で見れちゃう、そんな氏の作品も「STARS展」には展示されているわけですが、とにかく大きく、壁一面を覆うくらいのサイズで展示室を埋めています。展覧会に入るとまず迎えてくれる作品です。

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大きさに圧倒されつつも、近くで観ても一切質感がなく、なんだか外で観た印刷物のような印象を受けます。草間彌生さんとは全く逆ですね。ですが、横からみてみます。

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まずなんとなくキャンバスを感じます。そしてその境目や絵の回り込みなんかも見えてきます。「あー、これもやっぱ絵画作品なのかなぁ」なんて思うわけです。そしてふと作品説明に目を落とすとこう書いてあるわけです。「アクリル絵具、プラチナ箔、キャンバス、アルミフレーム」と。

「アルミフレームに貼ったキャンバスにプラチナ箔とアクリル絵の具で制作した作品です」という事なんですが、全く意味がわかりません…。もう一回作品を観てみます。え?これが?絵の具?描いてるの?この何も筆圧もタッチも感じないアニメみたいな仕上がりの絵が?そんななんとも心地よい疑問が頭を巡るわけです。このフラットさも氏の大きな制作コンセプトのようですが、こういった出会いも実際に作品を観てこそかもしれません。

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最近ではどんな情報にもアクセスできちゃいます。美術作品や展覧会も同じでTwitterなどで展覧会や作品の名前を入れるだけでいくらでも写真がでてきます。展覧会側も写真OKシェア大歓迎というスタンスのところも増えてきています。そのため画像で作品を観ることは簡単な事かもしれません。ただ、やっぱり実際に観るという体験は作品の違った側面をみせてくれます。

というわけで、2名の作家さんの作品を例に話をさせて頂きました。作家さんを紹介するアーカイブもじっくり読みたくなる内容で、他の展示も含めとても見応えのあるものでした。ぜひ生で観ていただきたい!なんども画像で観たことがあるあの作品も、実は紙袋に描いてある絵かもしれません。「STARS展」は年明け1月3日まで開催中です!

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