「誰も傷つけないお笑いが一番良い」という論

「誰も傷つけないお笑いが一番良い」という論を唱えるときの具体例として頻繁に挙げられる本人たちが、「俺らは猛毒だ」ときちんと否定していて良かった。明らかに対象物にたいして毒を仕込ませ、その意地悪な目線を共有することが漫才のスタイルになっているのにそれを「誰も傷つけない笑い」として君臨し、「おい!コーンフレークに関わっている人のことを考えろ!」という意見が見当たらないのは不可思議だった。結局本人たちが言っている通り「面白いか面白くないか」ということが一番重要だということだろう。

今後は「捉え方によっては傷つく人もいるかもしれないけど、面白いからオッケー」という価値観が主流になっていくのだとしたら、よりネタ作りが厳しくなる。これまでは面白くなければすべるだけだったことが、「すべってさらに炎上」という最悪のコンボを決められる可能性があるということだ。

でも実際、「誰かを傷つけるためにこのネタをやろう」なんていう人はいないと思う。ネタを作るうえで一番大切なのは「面白いかどうか」なのだから、作った本人はそれが面白いと思ってやっているだけなのだ。

誰かの笑顔を願いながら作ったネタで怒られるなんて残酷にもほどがあるだろ。お笑い芸人に限らず、お笑いに携わっている人は、「自分たちも含め目の前にいる人を笑顔にするために活動しています」と言い切れる世界が一番良い



この前”同窓会に行ったら誰にも覚えられてなくて周りからバカにされるネタ”をやったら「自分だけを傷つける笑いをしている」と言われたのでこれからはそれがトレンドになってほしいです。犠牲になるのは僕だけでいい

頂いたサポートでドトールに行って文章を書きます