文学フリマに出す本の書き出し候補①

気が付いたら新宿の雑踏の中にいた。月曜日だというのに夜の新宿は有象無象の人間でごった返している。その有象無象の中に自分もいるのだということをひしひしと感じながらあてもなく歩く。

本当は大きな声を出しながら走りだしたかった。迫ってくる不安から逃れたくてまっすぐ家に帰らずわざわざ新宿で降りたのに走ってしまったら人にぶつかってしまうから、仕方なく早歩きで人を追い抜いていく。

人生で一番酒に酔った状態でも「走ったら人にぶつかってしまう」という常識を考えられる余裕があるのが可愛げがなく、そんな自分に少しがっかりもした。

平日の昼間から飲むお酒はおいしかった。昼前に友達と集まって学生の時みたいにバカな話をしながら遊びまわって居酒屋に行ってそこでもまたバカな話をした。確かにその瞬間は楽しさしか無かったはずなのに、一人になった瞬間様々な感情が体中を駆け巡っていった。

ふと、三日前までいた会社の同僚の顔を思い浮かべた。

二年間お世話になった会社には思い入れもあるし感謝もしている。上司に「会社を辞めます」と伝えたときの驚いた顔や、一番相談していた先輩からのアドバイスや、「がんばれ」「見に行きます」と言ってくれた後輩の顔。専務の「売れたらうちの番組で使ってやるよ」という言葉には曖昧な顔で笑うことしかできなかった。たった一人でなんの後ろ盾もなく別の世界に飛び出す人にかける言葉に正解はあるのだろうか。本当に心配しているのか、「世話焼いてやったのに辞めるのか」と思っているのかもわからない。確かめようもないが、迷惑をかけたことには間違いない。半端な真似もできない。

家族はどう思っているのだろうか。家族の言葉からも本意はわからない。

母親は「それが一番やりたいことならやりなよ」と言ってくれた。父親からも何か言われた気がするけど内容は全く覚えていない。ただその今まで聞いたことがない真剣な声色だけ耳に残っている。兄と妹は会っても別に話さないのでたぶん何も言われていない。

いろんな人のいろんな言葉を聞いて自分は後戻りできない世界に来てしまったのだと改めて気づいた。その世界の重力は想像よりもずっとずっと重かった。

どうすりゃいいんだ。これからどうなるんだ。たった一人でやっていけんのか。人が多い。走りださせてもくれないほどの人の山。みんなどこかに行こうとしている。はっきりとした目的地に向かって歩いている。自分だけがこの街でどこにも行けないのかもしれないと思った瞬間、頭が真っ白になって地面に吐瀉物をぶちまけた。


今日、僕は芸人になった










みたいな本出そうかな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

どうですか????????????????????????????

どうなんですかね?????????????????????????

楽しい本になるのかなこれ?????????????????????


「芸人になってツイッターに鍵かけたり単独やったりアンチにキレたりすごく面白い人たちに出会えたりしたみたいな話を書く」とした場合の書き出しです

また全然違う本を出すことも現段階では考えているのでまた別の書き出し、書きます

読みたい感じだったらいいねなどをしてもらえるとありがたいです

頂いたサポートでドトールに行って文章を書きます