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さようなら リトルブラック・ドレスの夏

腹立ちも悲しみも、たいてい過去のろくでもない記憶につながっている。現実のなにかがうまくいっていない時、それはいつも低い場所から這い上がってくる。何も今そんな低いところに行かなくてもいいよな、と、いさぎよく手を離せたらその日は、よく頑張った一日。

十代、二十代の頃はそこまで下りて行って手をつないで、ふしあわせと友だちになれるなら自分は特別な存在なんだと思っていた。やがてそのうち、ふしあわせはみんなにもあるのだと知って、安心もしたけれどがっかりもした。そうか、私たちはこの寂しい静脈で実はつながっているのだ。

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