小説『君たちはどう生きるか』これからもどうか…
吉野 源三郎 著
初版:1937年
映画『君たちはどう生きるか』を観てやっぱり読もうと手に取った本。
なんともすごい本でした。
初版やその後編集したものなどあるみたいでしたが、これを手に取れて良かったなと思います。初版に近く、でも言葉が少し直っている感じでした。
きっとどの年代の人が読んでも面白いし、年代によってどう読むのかも変わるだろうなと思う。
年が近ければコペルくんに、40代以上の人だと以前を思い浮かべながらとか、大人になって読んでも新しい発見があるかもしれない。
倫理の本という括りだし、こういう本ってお説教くさくなったりする傾向があるように思うけど、そういうところは全くなく、主人公のコペル君の目線と叔父さんの手記で描かれていてそれに無理がないからなのかな。
ただただ真っ直ぐでお坊ちゃんではあるけれど、そこにあまり嫌な感じを持ったりはしない。恵まれているからだと思って読む人はもちろんいると思うけど。
映画ができるよりももっと前に漫画化されてとても話題になって、でもなんで漫画にしたんだろうなと思っていて。私はどうしても小説で読んだ方がいいじゃないかと思うから。
でも読んでみて思った。若い子に手に取ってもらいたいからかなぁって。10代20代の人に読んでもらいたいだろうなって。
そしてこの本が発売された時期がすごい。
まさかあんな軍国主義ど真ん中に近いところで出されていたなんて。やっぱり規制されて発売できなくなった時期があったみたいだし。こんな本出されて読まれたくはないだろうな。
こんなにストレートに自分で考えることや自分に芯のあることが描かれているんだもの。でもきっと、届けたかったことに違いない。先生の後書きがとても面白かった。
映画を観て本を読んでみて、そしてやっぱりあの映画の題名が『君たちはどう生きるか』であることが間違えているなんて全然思わない。あぁそうなんだなと、それだけだ。
この本を子に読んでもらいたくて残していったお母さんがまたすごいではないか。眞人はどこを読んで泣いていたのかな。私も色んなところで泣いてしまった。
あの時代の子や子だけでなく大人に向けてもどう生きるかと問いている本。今の時代にまで読み継がれていて、あの時漫画になって、そしてまた映画の中で使われて、これからもどうか読み継がれて欲しいなと思う本。
素敵な本に出会えました。
ありがとう。
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