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2分で読める子育てエッセイ№858『結局これが一番心地いい』

中1の娘の学校は公共機関で通学するにはかなり不便な場所。朝たった1本のバスを逃すと、歩いてさらに10分遠くのバス停に行き、別の路線のバスにのるハメになる。なので基本的にダンナが送迎することに。
「車内でお姉ちゃんがいろんな話をしてくれるから、楽しいよ~」
思春期の娘と1日1時間。しっかり会話ができると、顔をほころばせるダンナ。いいじゃん。

車送迎の生徒は他にも結構いる。学校周りでの乗り降りではなく、校内の靴置き場のど真ん前で降りるとルール化されている。確実に我が子を送り届けることができる安心感。ちょっと目立って恥ずかしいけど。

ある日の朝、ダンナに代わってワタクシが送っていくことに。
ちょっぴり眠たそうな娘に、ワタクシどこかで聞いたことがあるようなセリフを言ってみた。
「お嬢様、学校に到着いたしました。本日のお迎えは5時に参ります。お気をつけていってらっしゃいませ」
すると、急に眼がパチリ、口元ニヤリとした娘。
最近ワタクシと二人で散々笑いあって読んでいたアニメのマネだと気がついたようで、とっても気取ってこう言い返した。
「ありがとう。今日はお花のお稽古があるからそんな時間になるかしら。いってくるわ」
それはもう、メッチャいい顔で車を降りて行った。
使える・・・お嬢様ゴッコ。うけけ。

ところが帰宅して愛車を改めてみたワタクシ、驚いた。
「うそーん。黄砂?花粉? すっごい汚れてる!」
これでお嬢様ゴッコをしていたと思ったら、恥ずかしすぎる。

洗いたいのは山々だけど、ワタクシ考える間もなく秒で決めた。
「今日は雨が降りそうな気がするから、こんど100%文句なしに晴れているときに洗車しよう」

お嬢様ゴッコはもうおしまい。お嬢様を送る執事はさっさとやめて、いつものズボラな主婦に舞い戻った。
結局これが一番心地いい。悪くない。

ちなみに今日の降水確率、何パーセントか知らんけど。


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