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2分で読める子育てエッセイ№906『安心しきった、たった17秒後』

夏休みのある日、3時のおやつの時間になったころ、小4の息子が家でゲームをしながらこう言い出した。
「お母さん、のど乾いたね。なんか飲みた~い!」

ちょうど息子の好きな炭酸ジュースをいろいろ買ってきたばかり。息子にこう声をかけた。
「いつものところにあるから、好きなの選んできたら?」
するとしばらくして
「ゴトッ!」
息子がいる方から鈍~い音が聞こえてきた。
「もしや・・・」
想像した通り息子は、よりによって炭酸の缶ジュースを思い切り落としていた。もはや事件の予感しかしない。

息子がドキドキした面持ちで、そーっと、そーっとゆっくりと、缶ジュースの蓋を開けてみると・・・

「セーフ! みてみてお母さん、ぶしゅーっ!って噴き出さなかったよ!」
いつもよりだいぶアワアワしていたものの、ギリギリのところでジュースはとどまっていた。

「よくやった! よけいな拭き掃除も洗濯物も増やさないなんて! すごいすごい!」
事件は起こらなかった。

ところが安心しきった、たった17秒後、
「お母さん、一口分けてあげるね」
息子がワタクシのコップに移そうとしたそのとき、
「どばばばっ」
大量のジュースをテーブルのうえに勢いよくまき散らした。

「ひょーっ! 床に落とした炭酸、まだ怒り狂ってるの~? コップの中身より、テーブルのうえの方が多いんですけど! もったいなーい!」

子どもと、炭酸と、子供の手よりも大きな滑りやすい缶。
お手軽事件の3点セットは期待を裏切らない。

とほほ。


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