奈良発!木谷ワイン!~美味しいワインを目指して~
今日は奈良の木谷ワインさん(ワイナリーはまだ出来てないので畑だけなんです)を訪ねてきました!
前回の高知に続き、大阪のワイナリーはろくに回らずに、他県から攻めてます。
というのも大阪のワイナリーってサイズ感もしっかりあって、個人でなかなか行きにくそうなんですよね…込みいった話ができないなら行く意味もあんまりないし…
なので今回もかなり小さなワイン畑の紹介です。
木谷ワインのはじまり。
木谷ワインさんは今年で3年目。
木谷さん自身はTwitterで5年目と書いてらっしゃるのですが、それは修行も含めて、つまり奈良ワイン計画が5年目ということだと思います。
そんな奈良ワイン計画のきっかけはカタシモワイナリーさんを訪ねたことだそう。
仕事の関係もあり訪ねたカタシモワイナリーさんで「これかもしれない」と思ったと言います。
そんな木谷さんの脱サラ後のはじめの2年間は、そのカタシモワイナリーでの修行だったそうです。
ちなみにカタシモワイナリーさんは、大阪の名門で関西ワイナリー協会の会長も務める髙井さんがいらっしゃるワイナリーです。
日本の西側のワイン業界を率いる京都大学ともつながりがあり、毎年フランス御一行様のスタディトリップのルートにもなっているところです。
その2年間を経て、現在は天理の畑をメインに仕事をしており、大阪にも畑を持ってらっしゃるとのことでした。
そんな木谷さん。
いったいどのような方なのでしょう。
畑の中の哲学者
畑は奈良と大阪を合わせても約1haほどで、さらにそのうち半分はまだほぼブドウ畑の跡地のような状態。
「とにかく拡大を。」という中での土地の借り受けは死活問題だそうです。
奈良ではほとんど土地がないというのもあるそうで…
日本ではどこでもそうですが、「土地の確保」と「苗木の確保」は共に最重要事項の1つです。
そんなブドウ畑の跡地を少しずつ開拓し、ワイヤーを張ったり、ビニールを直したり…それと並行して確保できた苗木を植えていっています。
現在は5年目のソーヴィニヨンブランや3年目のピノノワール、モンドブリエ、ビジュノワールなどなど、これから実をつけてワインになっていくものが植わっていました。
台木も日本の代表格5BB、またRiparia Gloire de Montpellier など様々なものを使っています。
現状、一番土地に合ってそうなのはRiparia Gloire de Montpellier だとのことで、やはり日本の土壌の保水性の良さなどが伺えます(台木についてはこちら)。
私は巨峰やデラウェアが主体のエリアでこれらの苗を植えるのはリスクだとつい思ってしまうのですが、木谷さんは敢えて「挑戦する」、「失敗する」というのを大事にされているようです。
そんな木谷さんは口癖のように
「私はワインなんてまだまだ知らないことだらけで、色々教えてほしいんですよ。」
と言います。
この色々を教えてくれるのは自然だと言わんばかりに、挑戦と失敗を自分の糧としているように私には見えました。
特に面白い言い方だなと思ったのが、
「ワインはその年のブドウの通知表みたいなもの。」
という表現でした。
補糖や補酸、培養酵母など醸造技術を使えば品質の向上を図れるということは理解していながら、敢えて「自分のワインの現在地」を知ろうとする。
少し哲学者めいたミステリアスさを感じるのが木谷さんの人柄なのだと感じました。
これからの木谷ワイン
そうして今年の通知表を受け取った木谷さんは、
次のヴィンテージでは、
「ブドウの糖度をもう少し上げること」
「ワインの方向性を少しずつ絞っていくこと」
「自分のワインを確立するためワイナリーを立ち上げること」
などを課題にしているようです。
ブドウやワインを造るのは現在は色々と試行錯誤の中。
糖度に関しては、もう少し上がったらどうなるのか。
補糖をしない分そういったブドウの変化をダイレクトに感じることができます。
またワインの方向性という課題では、
現状ではサムネイルに使用したワイン以外にも販売しているワインもあれば、没になったワインもあり、それを今後絞っていこうということだそうです。
ただ、今はカタシモワイナリーさんをメインに、委託醸造でワインを造っているので、完全には思うようにできないといったところもあるようです。
ワイナリーを建てる土地の選定もまだ終わってないそうなのですが、そこでもう1つ質問をしたところ面白い答えが返ってきました。
Q:「ワインツーリズムとか考えると、宿泊施設とか移動手段の導線も考えた立地になるんですか?」
A:「ツーリズムや観光地を作りたいわけではなく「美味しいワイン」を作りたいんです。」
木谷さんは、ワイナリーの採算はもちろん考えるものの、あくまでも根幹は美味しいワインを造る、ワインで勝負できるワイナリーになることを目指しているのです。
前回訪ねたミシマファームさんとは少し違うスタイルですが、ワインを造る人の想いの強さを感じました。
ゆっくりと試行錯誤、仮説検証を繰り返す畑の哲学者は、今年からは醸造場でもきっと自問自答することになるのでしょう。
そんな木谷ワインさんのワイン。これからも要チェックです。
終わりに
ブティックワイナリー、ガレージワイナリーが世界に与えてきたインパクトは小さくありません。
「世界にインパクトを。」とまでは言わなくても、日本全体にインパクトを与えられるワインをこういうところから生み出せれば、今のワインブームがきっと後世にも活きると思うんです。
そのためには私自身もっと動いていかなければなりませんし、今後もしっかりと学び続けなければならないと思います。
それを改めて考えさせられるいい機会になりました。
今後もこういったワイナリーの方とは積極的に話をしていきたいと思いますし、対話の中での課題の発見と解決、あるいは今後の発信なども含めて、1歩ずつ私も進まなければならないので、今後ともよろしくお願い致します。
またワイン関係(畑やワイナリーに限らず)の方でなにかありましたら、いつでもお気軽にお声がけ頂ければと思います。
これからもワインに関する記事をuploadしていきます! 面白かったよという方はぜひサポートしていただけると励みになりますのでよろしくお願いします。