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ライブハウスの経営戦略の話

※この記事は5/25の緊急事態宣言解除の前に書き始めたものなので、文章中の世情に多少の齟齬がありますが、バンドマンやライブハウスにとっては解除されても特に変わらないのでそのまま書き上げています。



緊急事態宣言から2ヶ月弱。人々はこの生活にも慣れ、疲弊する人もいればこの生活を難なく享受出来る人もいたりして、人間が好きな僕にとってはそれらの感情の動きのそれ自体をエンターテインメントとして楽しんでいます。楽しいかどうかは別としてですけど。おはようございます。


その上で段々と人々がこれまでの生活を取り戻しつつあるのか、電車に乗ると先月と比べて乗っている人は多くなりましたし、車で移動をしていると先月まで快適に走れていた道路もチラホラ渋滞していたり、その辺は正直不便です。

自分もそうだけど、喉元を過ぎれば熱さも忘れてしまうものなので、テレビが今年の流行語大賞にすべく今躍起になって煽っている「気の緩み」とかいうしょうもないものによって夏場に感染なんてアホなことをしないように生きていきたいものだと人の増えた外を歩く度に思います。まあ、そもそも感染していない人間にとっては果たして熱さが喉を通ったのか疑問ではあるけど。

で、そうして皆が普段の生活を取り戻していく中で、やっぱりどうしても昔のままでいられない、いるわけにはいかない業種・場所も勿論あって、それが他でもない僕らが普段出入りしているライブハウスなんだけど、ぶっちゃけると俺はこうなる事を大いに予想出来てたし、多分バンドマンも大体の人がこうなるだろうとは思ってた筈だけど、その上でそこからバンドマンの立ち振る舞いやライブハウスがどうやってこの困窮から脱していくかが今後の色んなものの鍵を握っていると個人的には思ってます。思うだけだけど。

何故思うだけなのかは、これから書く「ライブハウスが現状行っている困窮脱出手段」が原因なんだけど、これに対してやっぱりどうしてもモヤモヤと思うところがあるので、今回はそのモヤモヤを形にして吐き出していこうと思う。これは思うだけではない。



YouTubeチャンネル開設

今もう大体のライブハウスがこれをやったし、やった所までは確認してそれ以降は数も多いからいちいちそれぞれがどういう動きをしているかまでは追っかけてないしぶっちゃけあんま興味無いんだけど、緊急事態宣言の後にチャンネル開設してるライブハウスに言いたいのは「もう遅い」の一言だけ。

YouTuberという単語が生まれて何年経ってるのよ。もっと言うとそのYouTuberがバンドやってお客を集めている現場をしっかりと目撃しているライブハウスもあったはずだろうに、それでもライブハウスはYouTubeチャンネルを開設せず、YouTubeを使ったライブの宣伝はあくまでも演者がやる事と言わんばかりの姿勢でバンドマンに泥被せておいて、いざバンドに依存できなくなったらこうなるのは正直どうなのよ?と。

でも気持ちは分かる。「それは俺たちの仕事じゃない」って思うだろうし、思ってきたからずっとやらなかった筈なんだ。実際自分がライブハウス側の人間だったらやらないと思うし、やった所で何を発信したらいいんだよ?って思う。だから前述した文がライブハウスのチャンネル開設の姿勢を全否定するものではないという事を分かってもらえると嬉しい。


そしてそう思うからこそ、次に思うのは「何を発信するつもりなの?」ってこと。

最近よく見るのが無観客ライブ配信なんだけど、これも結局はバンドとの協力がありきだしドリンク代を確保出来ない現状でマネタイズの方法も限られてくるから、いくらバンド側が協力的であっても限界が来る。現状都内のライブハウスのチャンネルをざっと調べてみると、登録者は多いけどそれに対して動画の再生数が異様に少ない印象を受ける。あとは昔チャンネル開設してて3月くらいから動画の更新頻度が上がってる所だったり。

ただ、為す術もなく潰れていく所も多い中それでもそういう活動が出来るライブハウスはバンドがいる限りなんとか経営出来る形にまでは持ってけるかも知れないけど、バンドもそこまで全面的に協力出来るかは疑問だよね。正直「従来のライブそのままの設備で演奏の披露、及び配信が出来る」以外のメリットって見当たらないし、わざわざそれをする為に楽器背負って周りから白い目で見られながら電車乗ってライブハウス行けるか?ってなる。俺は行きたくない。

そういう所も込みで、今までバンドとどういう風に関係を築けてきたかっていうのが大事になってくるし、それを切り売りするしかない今それを築けなかったりその対策すら打てなかったライブハウスが潰れるのは仕方ない事だとも言える。これはこんな事態に関係なくお世話になったライブハウスが潰れてくのを見てきた俺からしても残念でしかない。が、当然とも言える。

その上でライブハウスが足掻いてるのを見てて、その足掻き方が上手じゃないとバンドマン側であるこっちも歯がゆいというか、もどかしいを通り越して若干イライラする事もある。

その中で当然イライラしないどころか素直に「すげぇな!」って思うライブハウスもあって、散々文句ばかり垂れてても仕方が無いので以下、そんな最高なライブハウスを紹介してこのボヤキを終わろうと思う。


四谷アウトブレイク


元々緊急事態宣言以前からチャンネルを開設してて、その頃からライブハウスならではのエンタメ性ある動画を投稿してて面白かったんだけど、やっぱりこういう姿勢を常日頃から出来てるライブハウス及び人は強いよね!

個人的にはテキーラフィッシュをめぐる串カツ田中とのバトルは飲食店という側面を持ったライブハウスならではのトラブルでかなり面白かったし、忘れ物あるある動画も面白かった。題材はありきたりでも、ライブハウスという非日常空間が生み出す特異性みたいなのをよく発信出来てるなと思う。

他にも、2週間住み込みギグというアウトブレイクならではのイベントを配信したりと、やる事一つひとつがライブハウスだからこそ出来るエンタメ性の高い動画を出している。10年くらい前にバンドで何度か出たことがあって店長の佐藤さんとも話した事があるんだけど、非常に面白い人だった。多分向こうは覚えてないだろうけど!


池袋Adm


上で散々文句を言った「もう遅い」側のライブハウスにもかかわらず、物凄い勢いで動画を投稿、生配信をして開設2週間弱でスーパーチャット(投げ銭が出来るようになる)機能を解禁させたライブハウス。

俺も何回か出た事があって、バンド仲間も結構入り浸ってるんだけど、独特の雰囲気があって、そこに出ているバンドとお客さんの不思議な一体感があるライブハウス。正直、俺はそこに村社会的な息苦しさを感じてしまって少し苦手ではある。

あるんだけど、ハコの作りからお客と演者の距離がとても近くなるように出来てるし、ジャンルで言うとパンクやガレージロック系のバンドが多いんだけどそういう音楽の盛り上がり方(サークルモッシュやクラウドサーフィンとか)に対しても比較的寛容で、そういうのが好きな人には目当てのバンドで来た以外にも「このライブハウスは楽しい」と思えるようになる凄くいいライブハウスではある。

チャンネル開設後の動きも、音楽やバンドありきと言うよりライブハウスならではのエンタメ系の動画だったり、縁のある有名バンドを片っ端から読んで雑談配信したり、悪い表現になるかも知れないけど「節操がない」感じ。

チャンネル開設してすぐの雑談動画で「お金儲けたい!スパチャで投げ銭貰いたい!」って言っていた目標(欲望とも言うか)に対して真っ直ぐに取り組んで、しかもそれが普段そこに来るお客さんだけでなく色んなバンドのファンにリーチ出来てて、しっかりとライブハウスのスタッフの話も面白い。これがお手本だと思うし、こういうライブハウスがちゃんと生き残ってくれれば、所謂「バンドシーン」も亡くならないと思う。もっとも、そこに出るバンドも面白い人達である事が前提だけど。頑張ろ!



いかがでしたか?

この記事によって、ライブハウスのYouTubeチャンネルにおける動画コンテンツ制作の手助けになってもらえたら嬉しいです!

緊急事態宣言が解除されてもバンド及びライブハウスの風当たりが厳しいのは変わらないと思うので、バンドマンである僕としてはお互いに手を取り合って生き残っていきたいものですね。

それでは!!



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以下、マジの愚痴が混ざったものです


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