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歴史・人物伝~エピソード編⑩:荒木村重の妻「黒田官兵衛が幽閉された有岡城と運命を共に」

摂津(大阪府)の領主で織田信長に臣従していた荒木村重は、本願寺攻略戦の最中、本願寺とつながっていた毛利方に付き、信長を裏切って居城の有岡城に籠城しました。その村重の妻は「だし」という名で、信長の一代記「信長公記」の作者・太田牛一は「有名な美人」と書いています。

村重自身は有岡城から脱出し、信長の横死後も生き延びたのですが、だしをはじめとした荒木一族は有岡城陥落後、見せしめのため処刑されてしまったのです。信長公記では、辞世の句などとともにその様子をこと細かく書き記しています。

だしの最期を牛一は「車から下りると帯を締めなおし、髪を高々と結いなおし、小袖の襟を後ろへ引いて、見事に首を斬られた」と記しました。武将の妻として、見苦しい姿は見せまいという誇り高き姿がうかがえ、それが哀れにも思えます。

大河ドラマ「軍師官兵衛」では、幽閉されていた黒田官兵衛を気遣うだしの姿が描かれています。桐谷美玲さんが演じただしは、ドラマのフィクションというばかりではなく、当時を再現した「写し絵」だったのかもしれませんね。

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