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目指せ!介護の職人~第11話「認知症」

就労支援訓練「介護福祉科」は、学科の知識と実技の技術を応用する演習がピークを迎え、1日勉強すると心身ともに疲れます。けれども、これは心地よい疲れとも言えるのです。そんなわけで第11話は「認知症」について書きます。


地元新聞社の記者の頃、認知症についてのセミナーや講演会などの取材を何度も行い、一般の方よりも認知症を理解していると思っていた。ただ、両親をはじめ、近しい身内に認知症の方がほとんどいないため、本当の意味で「認知症を知っている」というわけではない。

介護職の学習科目で、「認知症への理解」が独立した項目になっているほど、介護職と認知症は切っても切り離せない関係がある。介護度の高い高齢の利用者は「認知症がある」と考えた方がよく、そうであるならば接し方や介護の仕方に専門知識が求められる。

訓練前の私は、「家族が徘徊(はいかい)している」と聞くと、「認知症という病気だから仕方がないことだ」と思っていた。全くの誤りというわけではないが、仮に病気が直接の原因であるならば、認知症の方は例外なく徘徊を起こしてしまうということになる。

認知症には、病気が直接の原因となる「中核症状」と、中核症状による不安や焦りなどから起こる「BPSD(行動・心理症状)」がある。徘徊の遠因になっているのは、時間や場所が分からなくなる見当識障害という中核症状だが、それだけでは徘徊に結びつかない。

自宅から出てしまった高齢者は、実は「自分の家に帰ろう」としていたのかもしれない。それは、現在住んでいるところではなく、子供の頃に住んでいたところだったりする。つまり、その高齢者は今の記憶が飛び、「子供の頃」の記憶が鮮明になっていただけなのだ。

このように、徘徊や暴言、怒りなどといったBPSDには本人なりの理由や根拠があるとされているが、介護現場の百戦錬磨のプロであっても「理由が分からない」というケースがあるという。だから、認知症のケアは「一筋縄ではいかない」のだろうと思う。

認知症が進んでくると、言葉でのコミュニケーションが出来なくなり、全介助が必要な状態になってしまう。ただし、「感情」は最後まで保たれているとのことなので、どんな状態であっても「その人の尊厳を守り、寄り添っていく介護」が必要なのである。

今の私に出来るかと問われれば・・・難しいだろうな(苦笑)

※カット写真は、お気に入り風景を適当に選んでいます。介護職とは関係ありません(笑) このコラムはブログとnote共通です


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