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歴史・人物伝~番外コラム:大河ドラマ「青天を衝く」で知った渋沢栄一

大河ドラマ「青天を衝く」が、2月中旬からという中途半端な時期の放送開始となりました。前週まで「麒麟がくる」が放送されており、とくに最終回は本能寺の変というクライマックスで、その余韻が残っているという中でのスタートとなったのです。

主役の渋沢栄一は「近代日本経済の父」と言われ、新しい1万円札の絵柄に採用されたことで話題となりましたが、その経歴はあまり知られていません。私も渋沢については、幕臣だったことや明治時代に多くの企業を創設した人物だという程度の知識しかありませんでした。

渋沢は、農家の跡取り息子として生まれましたが、「農業」だけでなく、藍玉や繭の生産という「工業」、製品を売りさばいたり、材料を買い付けたりする「商業・流通」を経験してきました。農工商にかかわってきた暮らしこそが、彼の経済人としての原点だったと思います。

ドラマの放送に合わせて、渋沢栄一の自伝である「雨夜譚」を読んでみました。若い頃の自分の足跡を振り返った話で、徳川慶喜の家臣になっていく過程や、ひょんなことから徳川昭武の海外留学のお供をしたことなど波乱万丈な青年期をおくっていた姿がうかがえます。

その中から読み取れたのは、「良いこと」を取り入れるのなら自論を変えるのも辞さないという柔軟な姿勢です。「思想信条に殉ずる」志士たちが多かった時代には、ある意味異色の人物と言えます。ですが、渋沢も「人の役に立ちたい」という一本筋が通った考えを持ち続けていました。

渋沢栄一については、まだまだ書き足りないことがたくさんありますが、今回はひとまずここまでといたします。ドラマは、まだ名もない農民という段階ですが、今後どのように描かれていくのか楽しみです。


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