仕事に時間を注ぐと幸せが減る

友人が自殺未遂をした。

彼とは小学生からの付き合いで、全校生徒の中で一番優秀でスポーツも万能。生活態度も良く、先生からは抜群に信頼を得ていた。彼の父親は一級建築士、母親は有名医大の看護師婦長。お金持ちというほどではないが、余裕があり、教育も熱心なイメージだった。

中学に進学し、エリート街道まっしぐら。高校もトップ校に進学し、順風満帆だった。ただ、中学になっても門限が5時だとか、休日は遊べないだとか気になる点はいくつかあった。なんとなくだが厳しい家庭なんだなーぐらいに思ってた。

高校に進学し、彼はトップ高、俺は底辺高とそれぞれ違う道に行った。俺はどちらかと言うとチャラついてたので、ここで彼とは完全に違う方向に進むんだろうなとなんとなく思っていた。久々に会うと彼は落ちこぼれていた。勉強にもついていけず、留年寸前にもか変わらず東大行くと言い、周りからも蔑まれていた。当時の彼はトップ高にもかかわらず、F欄にすら入学出来なかっただろう。なのになぜ、「東大に行く」「医学部に行く」などと意味の分からないことを言っていたのだろうか。あとから知ったが親が彼にそう言っていたと。

3浪し、いつまでも大学に入れなさそうと思い、運転免許を勧めた。俺が18で免許を取って彼をドライブに連れ回したことが影響されたらしい。そのまま中免も取り、バイクも購入。それがモチベーションになったのか、日東駒専に合格。

大学ではバイク、車と趣味が合う学部だったのか友達も多く、順風満帆だったと思う。バイクも3台所有し、車も180sx乗ってドリフトしていた。さらに一人暮らしで当時月10万弱アルバイトで稼いでた俺からするとなぜこんなにお金があるのだろうと思っていた。当然お金などあるわけがない。

彼は留年した。4つ年下の同級生は社会人に。友達も多く、同じように学校へ行っているのにも関わらず、なぜ留年したのだろうと不思議に思った。彼は学校に行かなくなってしまったのだ。理由を聞いてみると、バイクや車を分割で支払う予定が額が大きくなり払えなくなったと。それで友達に会うのが怖くなり、学校へ行かなくなったと。当時は、彼のだらしなさに呆れたが、彼は発達障害とADHDを持っていたことを後から知った。

7年かけて卒業し、就職した。激務に耐えられず鬱になり一年で退職。一年休みテーマパークに就職するも一年経たずに退職。何もかもうまく行かず、鬱病も悪化した。

鬱病にも裏があり、この状況においても親が彼にまともな職につけと彼を追い詰めていた。俺は長い付き合いで、彼は週2〜3のアルバイト程度でないと厳しいだろうと思っていたが、実の親がそれをわかっていなかった。親の二人とも仕事に没頭し、家のことは祖母に任せ、触れ合う時間を全く取っていなかった。仕事に時間を注ぎ、お金はあるが幸せは増えなかった。

彼には弟がいるが、30手前にして実家済みのニート。理想だけ押し付けて子どもと触れ合い理解する時間を作っていなかった。ただ最近は、彼の病気を理解し押し付けることが少なくなったと思っていた。

彼がコロナになった。医療従事者である母親にも移り、自宅から出られなくなってしまった。治ってからも親は彼を家から出ないようにした。部屋の片付けや洗濯、掃除など彼に期待したが、何も出来ず彼に厳しくあたった。そしてまだ鬱になり、

自殺未遂をした

薬を大量に飲み、気絶し運ばれたらしい。幸い命は大丈夫だった。今回は大丈夫だったが、なんとなく彼はいずれいなくなってしまう気がしてしまう。

約30年、親は子どもとずっと共に過ごしてきたはずが実は仕事と過ごしていた。同じ空間にいれば良いということでなく、子どものことを理解することが何よりも大事。そして、親は子どもに何が出来るのだろうか、それだけ考えれば良いのだろう。俺の子は2歳だか、親が自分を見ているかちゃんと感じとっている。正直、今が一番仕事に精を出せる時期だし、残業もして時間も割きたい気持ちもある。彼の経験から短期的な評価よりも家族との時間を作り、幸せに時間を注ぐことが大事だと感じた。

幸せは、お金にも時間にも変えられない大切なものである

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