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スポーツと人間性に関係はあるのか?

こんにちは。
アスレティックトレーナーの川越です。

トレーナー活動をしていて気になるワードの一つに「人間性」という言葉があります。
「人間性の成長なくして技術の進歩なし」という言葉や「人間力の向上なくして競技力の向上なし」といった言葉を目にすることや耳にする機会があるからです。

これらの言葉は自分がスポーツをしていた頃からよく聞く言葉ではありますが実際のところ関係性があるかどうか気になっていました。人間性がイマイチでもスポーツの上手い下手には関係ないのでは?勝てば良いのでは?と。

僕自身は人間性も磨いてきたつもりはあります。でもそれが競技力向上に繋がったかと聞かれたらわかりません。そのため今回は「人間性」や「人間力」とスポーツについての関係性について調べ、まとめてみました。ぜひご一読ください!


人間性とパフォーマンスの関係

▷メンタルへの影響

色々調べている中で見えてきたのがメンタルへの影響です。人間性はイマイチでも練習をすればパフォーマンスは上がるのかもしれません。ですが大事な場面でメンタル的な問題でパフォーマンスを最大限に発揮できない可能性があるという考え方です。
ある研究では「情緒安定性」と「外交性」が低い選手は”あがり”と呼ばれる状態になりやいと言われており、思うように体が動かせない、判断力や集中力が低下するなどの悪影響が出ると考えられています。※1

▷パフォーマンスアップのために必要

上記ではパフォーマンスアップのために人間性は必要ないのかもしれないと記載しましたが、やっぱり必要なのだと思います。SPORTSCOREさんの記事で筒香選手が下記のようにコメントされたと記載がありました。

「逆に人間性が高くないと超一流にはなれないと感じました。その感覚がないと素晴らしい選手にはなれない。技術でも人間性があるから自分で感じ取ることができたり、身体や心のセンサーがすごく性能の良いものになっていくのを見ていて受けました」

https://sportscore.jp/education/sportsmanship_tsutsugo2

メジャーで周りの選手を見て感じられたそうですが、超一流の方々は普段から細かいところまで目配りや気配りができていて自分自身への体に対しても同じような感覚であるというイメージが湧きます。人は習慣の生き物と言われているので、普段の行動とパフォーマンスを上げるための行動を別と捉えない方が良さそうだなとこちらの記事を見て思いました。

▷人間関係

パフォーマンスを上げるためには、一人で練習をやり込むだけでは限度がありますよね。例え個人競技だとしても、コーチやトレーナー、セラピスト、家族の支えなど、様々な人間関係が必要になります。これは指導者側もそうですが、人間性がなってないと円滑に物事を進める事ができません。そのため綺麗事かもしれませんが、挨拶、感謝、謙虚さなども大事なのかもしれないなと思います。

人間関係

スポーツに必要な人間力

人間性と人間力は別物なのかもしれないので人間力と表しています。
オリンピック出場経験者等を対象とした調査※2から見えてきたことを参考に、人間力の因子として必要な項目を5つ挙げると下記になります。

①    セルフコントロール
②    視野の広さ
③    リーダーシップ
④    優れた対人コントロール
⑤    臨機応変な対応能力

高いコンディションを維持しなければいけない、自分を律して行動しなければいけない、プレーも考えも視野を広げておかなければいけない、主体性を持って判断して行動しなければいけない、仲間やスタッフ陣、周りの方々との人付き合いも重要、急な出来事にも冷静に対応できるスキル、これら全部必要ですよね!

また、バスケットボールの神様と称されている Michael Jeffrey Jordanは次のように述べているそうです。

「ピークパフォーマーとは優れたチームプレーヤーのことである。 必要な時にチームメイトを励まし、勇気つけ、サポートすることに心を砕く。 多くの模範選手の中でも常に尊敬に値する言動を取るが、それはチームを有効に機能させるために必要なことだと考えているからだ」

Michael Jeffrey Jordan

チームの一員であるということを忘れてはいけませんね。

勝つだけがゴールじゃない

それでもやっぱり人間性が良いとは言えないアスリートはいると思います。
(トップレベルのチームでトレーナーをやっている方に聞いたところ遅刻や酒飲みとかはいるけど、全員やる時はめちゃめちゃしっかりやると言っていました。)
でも考えなければいけないのはスポーツだけが人生ではないということです。どんなに優れたアスリートでも引退した後の方が人生長いです。その人生を豊かに送るためにはどんな人で在るべきでしょうか?こういったことも考えながらスポーツに励み、日常生活を送れると良さそうですよね!

指導者として

指導者としても人間性についてのことは考える必要があると思います。
コーチング哲学の中で下記のような考えがあるそうです。

ヒューマンファースト
アスリートセカンド
ウィニングサード

もりしたけん/メンタルトレーニングさんのnoteより

まずは人間性が土台にあって、次に優れた選手を目指して、そして勝利を目指すというものですが、つい勝利のことや選手をより強く、より上手くという気持ちが強くなってしまいますよね。
もしかしたら人間性の部分はスキルコーチやトレーナーの関わる分野ではないのかもしれませんが、その辺をコーチしないにしても我々自身が優れた人間性でなければ選手たちもそうはならないと思います。

優れた人間性とコミュニケーション能力が大事

人間性を磨く、人間力を上げる、なかなか難しいことではあるかもしれませんが、自分のためにも、意識して行動していきたいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします!!

参考文献:
※1 木村展久, et al. "スポーツにおける 「あがり」 の原因帰属と性格の関係." 広島大学大学院 総合科学研究科紀要 人間科学研究 3.1 (2008): 9.

※2高木英樹, et al. "< 研究資料> スポーツマンに必要な人間力とは何か?." 大学体育研究 28 (2006): 33-42.

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