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ダイエットの基礎〜これさえ抑えればうまくいくはず〜

こんにちは!アスレティックトレーナーの川越です。
都内のレンタルジムを利用してパーソナルやセミパーソナルトレーニングをしたり、高校サッカー部でチームトレーナーをしたり、スポーツトレーナーを養成する専門学校で講師をしたり、皇居などでランニングレッスンなどをしています。
 
さて今回はダイエットについての内容です。本屋に行けば毎度新たなダイエット本が出ていて、ネットやSNSなどでも「〇〇ダイエット」「これで10kg痩せる」「これで脚が細くなる」といった情報がたくさん出てきます。
でもダイエット方法はそんなにも更新されていくものなのでしょうか。たしかに時代によって何かしらの変化(綺麗の基準や栄養価の低下、食文化の変化など)があることや新たな研究論文が出たりするかもしれません。
 
ですが、根本のところは時代が進んでも大きくはずれないと思いますし、細かいところまで行くとその方法があてはまる人は限られていくかなと思います。例えば、糖質制限ダイエットが一時期流行ったと思いますがこれは糖代謝がもともと低い人や糖質をそもそも摂りすぎている人は効果的かもしれませんが、そうでない人が糖質を制限したところで大きな変化の期待はできません。その他についても同じようなことが言えます。そのため今回はダイエットの基礎についてお伝えしたいと思います。今回の内容を抑えて実践して継続すればきっとほとんどの人は大丈夫なはずです。ぜひ参考にしてみてください!


ダイエットの基礎

まずダイエットの土台となる部分をお話させていただきます。読んでみればそれはそうだと思うかもしれませんが意外と忘れがちなところです。

▷体重の増減は何で決まるか?

体重増減の大原則はエネルギー出納のバランスになります。エネルギー出納とは飲食物から摂取するエネルギー量と体から失われるエネルギー量との差のことです。そのため1日に2,000kcalを摂取して1,500kcalのエネルギーを消費するとしたら500kcal分のエネルギーが体に貯えられ、それが毎日積み重なれば体重が増えていくというイメージです。実際にはそれほど単純なものではありませんが原則として抑えておいていただきたいことになります。

数字だけで考えればエネルギー出納バランスで体重の増減が決まる。

こう考えると摂取するエネルギーを極限まで減らせば体重減らせるじゃん!と思うかもしれませんがその考え方が落とし穴となることがありますので1日にどのくらいは摂取した方が良いのか、1ヶ月でどのくらい体重を減らしても大丈夫かなども後ほどお伝えします。

▷そもそも減量が必要か?

次に考えていただきたいのはそもそも体重を減らすことが必要かどうかです。ダイエットという言葉で一括りにすると体重を減らすことを意識しがちですが、ダイエットによって何を求めるか、現状の体はどういう状態かによって体重を減らすべきかどうかが変わります。ダイエットの目的を大きく4つに分けると①容姿②健康③競技基準④パフォーマンスの4つに分けられるかと思いますが体重を特に気にしなければならないのは健康と競技基準の方々で、容姿やパフォーマンスが目的の場合はそれほど気にしなくても良いかもしれません。ちょっと細かく見てみましょう。
 
容姿や健康が目的の場合はまずBMI(身長と体重から算出する肥満度指標)の数字を見て判断で良いかと考えていて、BMIが高ければ体重を減らした方が良いと判断しています。計算方法は[体重(kg)]/[身長(m)の2乗]なので例えば身長177cm体重72kgの人は72/1.77の2乗でおおよそ23.0となります。
 
普通体重はBMIが18.5~24.9で適正体重はBMIが22.0と言われているため23.0の人がダイエットをしたい場合はどんな体になりたいかで要相談です。ちなみにこの人(177cm72kg)は僕です。僕の場合、体重は落とさずもう少し絞りたいというのがあるので体脂肪率を見て管理しています。

人によっては体重は気にせず体脂肪率を見た方が良い。

細身になりたい!という方もBMIが18.5前後辺りの場合体重を落とすというよりかは健康を考慮して体脂肪率や姿勢、筋肉のつき方などを見て体づくりをしていくことをおすすめします。 

競技基準やパフォーマンスが目的でダイエットをする人は競技基準の場合はそれに従い、パフォーマンスのためにダイエットをしようと考えている人は本当に体重を減らすことでパフォーマンスが上がるのかどうかを考えた方が良いです。どのように体重を考えたら良いかわからない場合は自分がやっている競技の適正体重はどれくらいかを調べ、そこに持っていくように調整してみてください。

▷1ヶ月でどのくらい減らして良いか

短期間で体重を減らすことを僕は推奨しません。心身ともに負担が大きいし、リバウンドする可能性が高いし、一瞬痩せたとしてもその先同じことを続けるのは難しいからです。
 
では、どのくらい減らして良いのか。ボディビルダーを対象とした論文では週あたり体重の0.5~1%の減量に設定した方が良いと示唆されています。そのため1ヶ月で考えると体重の2~4%ほどになるかと思います。色々調べてみても1ヶ月の減量は体重の3~4%が良いと言われているものが多いのでそのくらいだと思います。
 
体重60kgの人の場合、体重の2~4%で計算すると1ヶ月で減らす目安となるのは1.2~2.4kgになります。それ以上減らすと筋肉量も減りやすく、リバウンドもしやすくなります。自分の体重にあてはめて計算してみてください!

▷外見を変えるために変えるべき思考

恐らく多くの人は「体重を減らすために、痩せるために、食べることを我慢してきつい運動もして頑張らなきゃ」となっているかと思います。でもそれは間違っていると僕は言いたいです。
 
体重が増えてしまっているのはなぜかを根本まで探っていけばほとんどの方がストレスや過度な疲労、忙しさなどに行き着くかと思っています。
高カロリーな食べ物を欲す、お酒を飲みたくなる、運動する気力がない、仕事が忙しくて運動する時間がない、階段を登る心や体の余裕がなくエスカレーターを選ぶ、甘いものを食べたくなる、これら全てストレスや疲労が関わっていることがほとんどです。

身と心を削った分を他の何かで満たそうとする

であれば、外見を変えるために何の運動をするかとか、食事をどのように管理するかとか以前に、ストレス管理や疲労の軽減をどうするかを考えなければいけません。これを考えずに食事管理や運動をしてもよりストレスが溜まり自分で自分に対して「本当に自分はダメだな」と声をかけ負の連鎖が始まります。 

そんな身も心も削るマインドではいつまで経っても良い状態にはなれません。そのためまずはどんな方法で痩せるかを考えるかよりも、しっかり睡眠も取って、人間関係も整理して、楽しく運動する時間も取って、休む時間も作って、といった感じに心を満たすためのことを考え行動してください。心が満たされれば自然と余分な脂肪は減るはずです。

ダイエットに対する食事の考え方

ダイエットの基礎を抑えたところで次に食事についての話をさせていただきます。体重を減らすためには運動よりも食事管理が重要だと言われることが多いです。細かいことは話しません。特に大事だなと思っていることを3つお伝えします!

▷食事を抜くとより太りやすくなる

食事を抜くことで減量が成功する確率は低いと言われています。食事を抜いた際、確かに最初は大きく減量すると思います。でもそれは水分と筋肉が減っただけでありリバウンドする確率が相当高いです。それは単に筋肉量が減ったからとか、元の食事に戻せば体重も戻るとかそれほど単純な話だけではなく、血糖値が急上昇しやすくなることや代謝機能が変化する、脂肪をなるべく保護しようとするなどの体内での変化も起きるからです。食べ過ぎも良くないし、食べないのも太りやすくなる。ではどのくらい食べても大丈夫なのか。次の項目を見てみましょう!

▷どのくらいカロリー摂取して良いのか

食べなければ良いというわけではないことを先ほどお話しました。では、どれくらい食べて良いのか。まず体重の増減を関係なしとすると1日に摂取すべき食事の量は何で決まるかというと1日にどれだけ消費するかによって決まります。そして1日の消費量は①基礎代謝②身体活動③食事誘発性熱産生の3つから算出されます。ちょっと小難しくなってしまったと思うので簡単にいうと、1日に食べて良い量は基礎代謝と身体活動量の合計と思ってもらって良いかと思います。

数字だけで考えれば消費と摂取がイコールで体重維持

基礎代謝は生きていく上で最低限消費されるエネルギーで身体活動量は立つ、座る、歩くなどの動き全てのことをいいます。そのため基礎代謝が1,500kcalの人が1日500kcalの身体活動をしているとしたらこの人は1日2,000kcalの摂取量が必要になるということになります。ネットで調べて自分の性別、年齢の基礎代謝を見て、スマホを見て1日の消費カロリーを見て足してみてください!
 
それほど単純なわけではないのですが、数字だけで考えたらその数字分は食べても体重の増減がないという感じです。さらに細かくしていく場合はPFCバランスに当てはめてタンパク質、脂質、炭水化物それぞれどのくらいのバランスで摂取するかも見ていきます。これもネットで「PFCバランス 計算」で調べたら計算してくれるものがあるので調べてみてください!
 
これよりも食べていないけど痩せたいという方は、僕は運動することをおすすめします。これより食べている方は食事管理をするか運動量を増やしましょう。そして意外と忘れられがちなのがアルコールです。アルコールも1gあたり7kcalのエネルギーがあります。飲み物だからOKではありません。お気をつけください!

甘いものや高カロリーなものを避けるためには?

甘いものや高カロリーなもの(ハンバーガー、カップ麺、ピザなど)を欲してしまうのは多くの方が下記4つの何かあるいは複数が原因かと思います。
 
1)    睡眠不足
2)    過剰なストレス(疲労も含む)
3)    タンパク質の摂取不足
4)    食事の間隔が空き過ぎているあるいは食事回数が少ない
 
睡眠は基本的には7~8時間取った方が良いと言われています。睡眠不足や睡眠の質が低下していると食欲を増加させるホルモンも多く分泌されるだけでなく筋トレをしている場合は筋肉もつきにくくなるので寝ましょう。
 
ストレスはあらゆるストレスがありますが一番良くないのは自分で自分に良くない声をかけることです。例えば、「自分はデブだ」とか「自分は醜い」などです。これらの声をかければストレスになりますよね。そうするとストレスホルモンとも呼ばれているコルチゾールの分泌が増えます。そしてコルチゾールが増えると血糖値が上がり、脂肪が蓄積されやすくなります。仕事でのストレスもどうにかすべきだと思いますが、せめて自分で自分にストレスをかけることだけはやめましょう。
 
タンパク質の摂取は、タンパク質の摂取量が少ないと総摂取エネルギーが増加すると言われているので、糖や脂質を摂取する量が増えてしまします。最低でも体重×1g分のタンパク質を1日で摂るように心がけましょう。1回で吸収できる量は20~30gほどなのでこまめに摂ってくださいね!
 
食事の間隔が空き過ぎているあるいは食事の回数が少ないということについては、そういう食生活では1度に多量のエネルギーを摂取しようとするだけでなく、血糖値の上昇にも関わってくるので1日3〜5食が良いかなと思っています。

ダイエットに筋トレは必要か

ダイエットというと筋トレも頭に浮かびますよね。筋トレが必要かどうかは目的によって変わることもありますが、基本的には全員がやった方が良いと考えています。その理由は食事制限だけ、有酸素運動だけでは筋肉量が減る可能性がありリバウンドする可能性が高まるからです。また、単に体重が減っただけでは綺麗な体やかっこいい体には慣れなさそうですよね。ただし、筋トレは「筋肉を鍛える筋トレ」と「姿勢や動きを整える筋トレ」があり、そこは使い分けた方が自分の理想とする体に近づけると思います。

▷筋肉を鍛える筋トレ

筋肉を鍛える筋トレというのは、筋肉を鍛えることを目的とした筋トレのことを言っています。内転筋を鍛えるためにヒップアダクション!とか太もも前を鍛えるためにフロントランジ!とかです。(ちなみに「細くしたい」のにその部位を筋トレするのは逆効果のことがほとんどなのでお気をつけください。)

特にマシントレーニングは筋肉を鍛えるということを第一の目的として使われていることが多いです。

こういった筋トレをダイエットに対してやる場合の考え方は筋トレ自体での消費エネルギーの増加というよりかは①筋肉量が増える②安静時代謝率(RMR)の増加③脂肪分解の促進④体にメリハリをつけるなどを目的にすると良いかと思います。

▷姿勢や動きを整える筋トレ

ファンクショナルトレーニングやコレクティブエクササイズ、機能改善エクササイズと言われるようなものがあてはまります。単に体重を減らしたいだけでなく、見た目や動きも良くしたいと考えている方は取り入れた方が良いことがほとんどです。
 
例えば、おしりが薄くて太もも前、ふくらはぎが太いのを改善したいとなった場合、単におしりを鍛えるだけでは太もも前、ふくらはぎの太さを改善するのは難しいですし、たくさん歩いたからといって太もも前、ふくらはぎとおしりの厚みの関係性は変わらないことが出てくる可能性があります。
これはそもそもの姿勢や体の使い方に問題があり、骨盤の傾きや股関節の使い方、重心の取り方などを整えなければいけません。

(姿勢保持や股関節の使い方、骨盤を前傾させる動きの習得、重心移動の練習などを目的としたエクササイズ)

ちょっと地味なエクササイズにはなりますがそういったエクササイズも取り入れながらスクワットなどでも正しい動きや筋肉の使い方で出来れば筋肉もつくし、日常生活での動きも改善されていくし良いことだらけです。ぜひ姿勢や動きを整えるエクササイズも行ってみてください。

ダイエットに有酸素運動は必要か

ウォーキング、ランニング、スイミングなど、長時間動き続ける運動のことですが、消費エネルギーを増やすためには筋トレよりも効率的です。体重70kgの男性が60分間のウエイトトレーニングをした場合と60分間のランニングをした場合を比較するとランニングした場合の方が216kcal分多く消費します。(ACSMの「運動テストと運動処方のためのガイドライン」の計算方法による。)

70kgの男性が高強度の筋トレorランニングを60分間やった場合。

体重を減らすことが目的であれば直接的には有酸素運動の方が良さそうですよね。そのためベストは直接的にカロリーを消費する有酸素運動と間接的にカロリーを消費する筋トレを両方やるのがおすすめです。
 
ただし、重要なのは1日全体での消費カロリーです。まとまった運動をする気になれない人はまずはエスカレーターではなく階段を選ぶ、自転車ではなく歩いて買い物に行くなどから始めて1日全体での消費カロリーを増やしましょう!

結論、痩せたい人は何をすべきか
いろいろと長々と話してきましたが結論何をすべきか、どういう手順でやるべきかを簡単に表すと以下の流れになります。
 
1)    マインド設定
2)    生活リズムの見直し
3)    食生活の見直し
4)    どんな運動をどれくらいするか決める
5)    行動と調整を繰り返す
 
1)    マインド設定の見直し
自分に対して良くない声をかけるのもストレスがかかり、ストレスがかかればコルチゾールが多量に分泌され結果的に太りやすくなる。そもそも痩せる必要はあるのか?BMIや体脂肪量が健康的な数値であればやるべきことは何か?細ければ綺麗というのは誰が決めたものか?本当にそれは綺麗なのか?なぜ自分に自信が持てないのか?それは普段のセルフトークや過去の負の経験からではないか?そうであれば体を変える前にやるべきことがあるのでは?など、そういうところも考えてみてください!
 
2)    生活リズムの見直し
質も良く十分に睡眠が取れていて、リラックスする時間もあり、食事を摂るタイミングも基本的には一定。であれば乱れた食習慣にはなりづらくなるので運動量が少なくなければ無駄な脂肪が増えることはなかなかないと思います。乱れた生活リズムから脱しましょう!
 
3)    食生活の見直し
食事を減らす前にまずは1日にどれくらい摂取して良いのかを「基礎代謝+身体活動量」で確認する。そしてそれからPFCバランスを確認して1日の中でコントロールする。食事を抜くと一時的には体重が減るがそれは水分と筋肉であり、後々太りやすくなるので控える。1ヶ月で減らして良いのは体重の3%前後。これに収めるようにする。
 
4)    どんな運動をどれくらいするか
まず大事なのは1日全体での活動量。痩せよう!と思って30分間の運動を始めてもそれ以外の時間での運動量が減ってしまっては意味がない。まとまった時間をとっての運動に気が向かない場合は1日全体での活動量を増やすことに意識を向けましょう。
運動することに意識が向けられれば直接的に消費に大きく貢献する有酸素運動を行い、間接的に重要な役割を持つ筋トレをしましょう。そして筋トレは姿勢や動きを整えるエクササイズもできるとなお良いです。
 
5)    行動と調整を繰り返す
計画を立てるだけ、短い期間頑張るだけでは変われません。まずは行動し、行動を続け、今の内容が続けられるか、変化が出ているかなどを確認して自分の最適解を探して調整していきましょう。「きつい」「苦しい」そういう感情が出ない状態に持っていけると良いですね!
 
以上、ダイエットについて僕が思う基礎でした。
参考になることが少しでもあり、何かしらポジティブな方向にベクトルが向けば幸いです。

参考文献:
Steen SN, Oppliger RA, Brownell KD. Metabolic effects of repeated weight loss and regain in adolescent wrestlers. JAMA. 1988 Jul 1;260(1):47-50. Erratum in: JAMA 1988 Dec 2;260(21):3132. PMID: 3214488.

Deutz RC, Benardot D, Martin DE, Cody MM. Relationship between energy deficits and body composition in elite female gymnasts and runners. Med Sci Sports Exerc. 2000 Mar;32(3):659-68. doi: 10.1097/00005768-200003000-00017. PMID: 10731010.

https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-20

阪野朋子, 小出あつみ, and 山内知子. "女子学生の食習慣の現状と疲労状態との関連." 名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 66 (2020): 55-63.

Alexander, Jeffrey L. "減量におけるレジスタンスエクササイズの役割." NSCA Japan journal= NSCA ジャパン・ジャーナル: a Publication of National Strength and Conditioning Association Japan 9.4 (2002): 28-31.


川越 康平


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