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雨上がりの月曜日

心が詰まった夜は、いつもの雨だった。
あの夜みたいに、2人の距離を近づけた冷たい雨。

付き合ってから2回目のデートは私の長期出張のため2週間ぶりとなった。彼も彼で、忙しくしていた。相変わらず、お互いに。

大衆的な居酒屋に入り、お土産を渡し合って、たくさん話して、たくさん笑って。いつも近くの席の人たちと絡むことが多い私達。今回もそうだった。私の食べてる姿が本当に美味しそうでと隣のお姉さんが帰り際に言った。私と彼は大いに笑った。海外出張からの帰りだから、仕方ないって。かわいいという社交辞令なオマケまでつけてくれて、恥ずかしくもなった。

2軒目はカフェに入った。席に着くなり、彼は小さな箱を差し出した。私は驚いて彼を見た。

「クリスマスプレゼント!」

そう得意げに言う彼。やられた。実は私も準備して渡すかどうか迷っていた。クリスマスは仕事で会えないかなと思いながらどうしようと思っていたところに、彼は見事にサプライズをやってのけた。

「ずるい!」

そう言いながら開けた箱の中身は時計だった。これも本当に不思議で。今年になってお気に入りの時計が2個、時が止まった。もう年季ものだったので、電池交換するか新しいのを買おうかと迷っていた矢先だったのだ。念力伝わってたかな?なんて冗談言いながらも、彼にはやはり不思議な力がある気がしてる(なんて)。

こんなサプライズ、いつぶりだろう。喜び方もこれで合ってるか不安になるぐらい、久々の贈り物に胸がいっぱいになった。そして私も数日遅れのクリスマスプレゼントを約束した。買いたいものは決まっていたが、時計をもらったので、再検討中。

お店で私はカフェラテ。彼はお酒。そしてアイスをシェアして食べた。アンバランスな部分だってあっていい。お互いが好きな物、自然体で食べて飲める方がいい。そして何より、こうやってお互いに忙しい時間の中で大事にしていきたい想いはきっと同じだと思った。

会う度に彼の良さが染み込んでいく。良いなと思うリストは自然と増えていく。嫌じゃないなって感覚からの発展性は、どうやら自分が思っていた以上に面白い。急に熱する想いではなく、ゆるく永く続いていくような感覚になる。

あといくつ知っていけるだろう。あといくつ嫌なことも知っていくだろう。彼だって私のことどれだけ知ってるだろう、知っていくだろう。きっと気になること、嫌なことも増えていくだろう。人付き合いなんてそんなものだ。それも過去から学んだ大事なこと。きれいごとだけ見て生きてきた自分だったから。嫌なドロドロとした部分、曖昧なグレーな部分。人はみんな持ち合わせていることを知って、生きることがいくらか軽やかになった。

だから君もどうか焦らず、今までの君らしくいて欲しい。その中で私をゆっくりと知っていって欲しい。きっと2人、マイペースが似合うから。

あっという間に2人の時間が流れていった日曜の夜の時間。少し早いクリスマスプレゼント。そして、冷たい雨さえも愛おしいと想える雨上がりの月曜日。

こうしてきっと、愛おしさは変わらずに続いていく。
2人の想いの先に。

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