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ベンチャー企業100社に投資して得られた教訓【失敗する投資先の特徴】

こんにちは。myコンサルティング代表の坂元です。
私はスタートアップと言われるベンチャー企業に対して投資をすることを生業としており、この10年間で私個人と経営する法人グループから合わせて100社以上に投資を行っております。

当然すべてが成功しているわけではありません。むしろ失敗がほとんどです。
今回の記事シリーズでは、投資家としての失敗から学んだことを紹介したいと思います。

私の著書『起業するなら「エンジェル投資家」を口説きなさい』(幻冬舎刊)にも書いておりますが、お恥ずかしい話、一時は韓国での投資で5億円の詐欺も経験しました。(死ぬ思いでしたが、もちろん今は復活してます)

皆様の中には、ベンチャー投資に興味がある方、エンジェル投資家の考え方の手法を知りたい方がいるのではないかと思います。何回かにわたって記事にして紹介します。

記事シリーズの目次は以下のようになります。

1、トレンドを見極められない
2、経営者のモラルがない
3、有名人が投資している、有名人が経営をしている
4、壮大な夢を語る
5、営業力がない
6、聞こえが良く、見栄えが良い
7、【番外編】絶対避けるべき投資案件の特徴

このうち、7【番外編】については、投資家としての経験から絶対に投資してはならない案件をお伝えできたらと思います。

今回の記事では、3つのお話をしたいと思います。


1、トレンドを見極められない

ミャンマーという国の投資案件になります。
私自身も投資しており、総額で日本円にして5,000万円程を集めている投資案件です。

結論から言うと、失敗で終わっています。

ミャンマーは今でこそ「軍事政権」「クーデター」という印象があり、投資先としてはハイリスクハイリターンの印象があると思います。

私が投資をした2014年頃の段階では「アジア最後のフロンティア」と呼ばれ、これから投資マネーが集まってくると言われていた国です。

投資案件は知人からの紹介だったのですが、簡単にいうと「不動産事業」「人材派遣事業」への投資でした。

この失敗要因こそが「トレンドが見極められなかった」ということです。

①通貨が大暴落

私たちの投資総額は日本円にして5,000万円でしたが、運用責任者が円を現地通貨であるチャット(Kyat)に変えていました。

その結果、通貨の大暴落が発生してチャット(Kyat)の価値が半分になってしまいました。

投資資金として集まった5,000万円が2,500万円になったわけで、その時点で2,500万円の損失となります。

投資家として運用責任者に対して、現地通貨にせず円のまま運用すべきと提言すべきでした。とても後悔しています。


②政権交代(軍事政権から民主主義政権へ)

ミャンマーは、2015年の総選挙でアウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝し、民主政権が誕生しました。

一般的に「民主化は良いもの」と捉えられる傾向にあります。(抽象的な表現ですが)
ただ、この投資案件に対してミャンマーの民主化はマイナスに作用しました。

政権交代したことで、政治家だけでなく官僚まですべて総入れ替えになったためです。
総入れ替えになった際に引継ぎなどは一切なく、それにより行政機能が完全にストップしてしまいました。

その影響で、不動産事業は建設許可がおりなくなってしまい塩漬け状態になりました。

ミャンマーの民主化は、国民にとって大きな期待があったと思います。
しかしこの案件では、さまざまな要因が重なったことで、失敗の一途をたどってしまいました。

教訓としては「トレンドが変わったタイミングで再考すべきだった」ということです。
海外投資案件は、期間が5年程度であることが多いのですが、これは明らかに長いと思います。

5年の間に大きなトレンドの変化があると資金の回収ができなくなってしまいますので、どんなに長くても「3年」を一つの目途にすべきだと思います。

2、経営者のモラルがない

「サイコパス」という言葉をご存じでしょうか?
映画やドラマでよく出てきますが「冷徹で感情がなく、目的のためには手段を選ばない」ような人の表現として使われることが多いです。

ベンチャー界隈にも、このような方は多いと感じます。
もちろんビジネスの場ですので、凶悪な犯罪とは種類が異なるものです。

要は「約束を守らなくても本人はなんとも思わない」という人です。
これは主観ですが「人脈があり人柄も良く、プレゼンも事業計画も完璧。既に有名企業との契約が一部取れている・・・」など、素晴らしい要素を特筆して際立たせてくるタイプに多いように感じます。

私が投資案件・経営者を見極める際に行っていることを紹介したいと思います。

1、一緒に食事をする(一緒にお酒を飲む)

基本的に上記のような方は「利益追求タイプ」で、食事やお酒の場を好まない傾向にあります。

もちろんそれは彼らの狙いがあります。
・食事の場はプライベートな質問がしやすい
・お酒は本性が出やすい

こうした状況になりやすいことを彼らは嫌います。
なので私は、投資案件の判断の一つとして必ず食事やお酒の席を設けるようにしています。

もちろん様々な状況があると思いますが、基本的にそれを拒否される場合は信用できない可能性があると思っています。

2、大きな取引の場合は人物調査を行う

これは「当たり前でしょ」と思われるかも知れませんが、意外と皆さんやっていないことが多いのです。調査項目は主に2点です。

①犯罪歴
→あれば当然論外です。

②税金の滞納
→モラルがない人は税金を払っていないことが多いです。私の経験上、数百人と関わる中で、数人はそういう方がいました。
税金を払わないということは「ルールを守らない」ということですので、投資においても最終的に約束を守らない可能性が高いです。

当たり前ですが、モラルのある方と付き合い、投資すべきだと思います。

3、有名人が投資している、有名人が経営者である

これは本当に良くあります笑
私はクラウドファンディングを活用した投資も行っているのですが、ベンチャー企業は知名度が低く、投資を集めるにも苦労している印象です。

そうした中で活用されるのが「有名人」です。
株主、経営者、顧問、アドバイザーなど、様々なポストに登用されます。

この中で論外なのは「アドバイザー」で、法的責任がないからです。

有名人が関わっていると、それだけで安心感を持ってしまう方もいるのかも知れませんが、私は特に注意しています。

成功には再現性がない

飲食事業の海外フランチャイズ案件に投資を行ったことがあります。
投資をしてから1年程で倒産したのですが、原因はコスト管理ができていないことでした。

・東京の一等地のフラグシップ店舗の家賃
・スタッフの人件費
挙げていけばキリがないのですが、とにかく煩雑でした。

また海外案件の"あるある"ですが「海外で上手くいったビジネスでも、日本では成功しない」ということがあります。

飲食店でいえば、日本とアメリカでは、好まれる味や量については全く異なります。
よく海外からアパレルブランドが日本進出しますが、撤退している場合が多いですよね。

このように、成功には再現性がありません。

時代はどんどん変わるし、成功には「運」の要素があると思っています。
トレンドが見極められ、モラルがあり、それでいて「運」があるからこそ成功するのです。

イーロン・マスクを例に挙げると、数年前には世界の長者番付でトップを誇っていましたが、Twitterを買収してからはパッとしない部分もあります。

何が言いたいかというと「成功とはひとつの状態に過ぎない」ということです。

世の中、成功ばかりがクローズアップされます。
今回の記事を書こうと思った理由は「人は自分が失敗した経験はなかなか話さない、だから自分で書いてみよう」と思ったからです。

この記事が少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。
また続きを書いていきたいと思います。

株式会社myコンサルティング
代表取締役 坂元 康宏

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